モーツァルトのトルコ行進曲の難易度は?小学生でも弾ける?

辻井

    この記事では、モーツァルトのトルコ行進曲の難易度についてわかりやすく解説します。

    モーツァルトの「トルコ行進曲」といえばは、クラシック音楽の中でも最も有名な曲の一つ。
    軽快で華やかなメロディーが特徴で、現在でもピアノ愛好者にとっての目標でもあります。

    しかし、いざ取り組もうと思っても、「実際のところどのくらいの難易度なのか」気になる方も多いのではないでしょうか。

    そこで本記事では、「トルコ行進曲」の背景や構成を解説しつつ、難易度について解説します。

    これから練習を始める人にもわかりやすく説明するので、ぜひ参考にしてください。

    画像出典:アマゾン:モーツァルト・アルバム

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    モーツァルトのトルコ行進曲の解説

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    まずはこの作品の作曲背景を見てみましょう。
    モーツァルトが作曲した時代背景を知ると、さらにモチベーションや演奏の深みが増すはずです。

    歴史的背景や作曲の経緯

    モーツァルトの「トルコ行進曲」は、正式には「ピアノソナタ第11番 イ長調 K. 331(300)」の第3楽章にあたります。

    中でも第3楽章が特に人気を集めたことから、「トルコ行進曲付き」としてソナタ全体が親しまれています。

    また、この楽章だけが独立して演奏されることも珍しくありません。
    このソナタの作曲時期や場所は正確にはわかっていませんが、現在の有力な説では1783年頃、ウィーンまたはザルツブルクで作曲されたと考えられています。

    一方で、1778年頃にパリで作曲されたという説もあるようです。
    本作は、通常の4楽章構成(急-緩-舞-急)とは異なり、冒頭に急速な楽章がなく「緩-舞-急」という珍しい構成です。

    こうした点からも、モーツァルトの創意工夫が光る作品の一つと言えるでしょう。

    なぜ「トルコ行進曲」なの?

    トルコ行進曲の典型的なリズム:出典:wikipedia

    18世紀のヨーロッパでは、オスマン帝国の音楽が流行しており、特に軍楽隊「ヤニサリー」のサウンドが人気を博していました
    これに目をつけた、モーツァルトをはじめとする作曲家たちは、「トルコ風」の音楽を取り入れ、作品にいかしたわけです。

    モーツァルトの「トルコ行進曲」もその影響を受けた作品で、シンバルやバスドラム、トライアングルといった打楽器を模倣するピアノのリズムや和音の特徴が見られます。

    このような異国情緒あふれる音楽スタイルは当時のヨーロッパで人気を博し、モーツァルトの「トルコ行進曲」もその代表的な作品となりました。

    その他、ベートーヴェンのピアノ曲にも「トルコ行進曲」があるのをご存知の方も多いと思います。
    また、ハイドンの交響曲第100番「軍隊」にもトルコのリズムが採用されています。

    ハイドン
    ベートーヴェンの肖像

    モーツァルトのトルコ行進曲の構成について

    この曲が含まれる「ピアノソナタ第11番」は、以下の3楽章で構成されています。

    1. アンダンテ・グラツィオーソ(主題と変奏)
    2. メヌエット(標準的な舞曲形式)
    3. アレグレット(「トルコ行進曲」)

    すべての楽章がイ長調またはイ短調で統一されており、演奏時間は約20分です。

    1楽章:アンダンテ・グラツィオーソ

    ピアノソナタ11番冒頭部分:出典:wikipedia

    第1楽章は、ソナタ形式ではなく「主題と変奏」という構成になっています。
    モーツァルトはここで、通常の急速なアレグロ楽章から始めるソナタの慣例を破り、柔らかく優雅なメロディーを展開させました。
    優しく、天からふりそそふような冒頭も有名です。

    アンダンテ・グラツィオーソ・・・歩くように、穏やかに

    2楽章:メヌエット

    第2楽章は、典型的なメヌエットとトリオの構成です。
    優雅なワルツのような旋律が特徴で、第3楽章「トルコ行進曲」へとつながる前の落ち着いた雰囲気を作り出しています。

    メヌエット・・・4分の3拍子のダンスのための曲

    3楽章:トルコ行進曲

    第3楽章「トルコ行進曲」冒頭部分:出典:wikipedia

    第3楽章は、軽快で華やかなメロディーが特徴です。
    左手がトルコ風の打楽器的なリズムを表していて、右手ではピアノの技巧的な演奏が求められます。

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    モーツァルトのトルコ行進曲の難易度は?

    全音での難易度を紹介

    全音ピアノピースでは「B(初級上)」とされています。
    これは比較的弾きやすいレベルに分類されますが、速いパッセージやリズムの正確さが求められるため、初心者には難しい部分もあります。

    個人的には「Bは低いかな」と言うのが感想です。
    一般的に「初級の出口」「中級の入り口」の難易度と言われていますが、「中級の入り口」が正しいレベルだと思います。

    ただし、これはあくまでも技術的な判断のみです。

    トルコ行進曲と同じ難易度の曲は?

    全音ピアノピースの「B」難易度には、他に以下の作品があります。
    理屈から考えると、以下のどれかが弾ければ演奏できるハズです。
    でも、演奏する人によってどうしても得意・不得意があるので、一概には同じとは言えないのではと思っています。

    「B」難易度
    • ベートーヴェン「エリーゼのために」
    • メンデルスゾーン「ヴェニスの舟歌」
    • ランゲ「花の歌」
    • ハイドン「メヌエット」
    • ショパン「マズルカop.68-3」

    小学生でも弾ける?

    ピアノ経験や練習時間によりますが、小学生でも十分に演奏可能です。
    小学校高学年から中学生レベルであれば、適切な練習をすれば弾けるようになるでしょう。
    とはいえ、ここまで到達するのは結構大変です。
    特別な才能が必要とまでは言いませんが、レッスンに通いながらコツコツと練習することは必須だと思います。

    ときおり「独学で」という方もいますが、よほどの練習量と時間がない限り難しいでしょう。

    どのくらいで弾ける?

    本人の資質や努力、練習時間で大きく異なりますが、調べてみたところ、おおよその目安期間として、

    • ピアノ経験3年以上で半年〜1年程度必要

    と考えておくと良いかもしれません。
    ただ、個人的には「もう少し時間かかるかな」という印象があります。
    なので、習い始めてから5〜6年程度と考えておくと良いでしょう。

    毎日1時間でも、コツコツと取り組むことも大切です。
    ハノンやツェルニーなどの基礎練習も忘れずに!

    「子犬のワルツ」とどっちが難しい?

    個人的には速いパッセージが多い「子犬のワルツ」の方が難易度は高めかなと。
    経験上、指がしっかりと動くまではキチンと弾けないと思います。

    その点からすると「トルコ行進曲」の方は特別に速いテンポではないので、弾きやすさを感じる人が多いでしょう。

    でも、オクターブが多いので、手が小さい方や小学校低学年・中学年のお子さんには難しいかもしれません。ちなみに、全音ピアノピースの難易度では「子犬のワルツ」は難易度「C」に設定されています。

    こちらも本人の資質が大きく関わっています。

    弾きたい曲を難易度別に選べる!

    モーツァルトのトルコ行進曲のおすすめ動画5選

    CANACANAさんの演奏

    人気ピアノYouTuberのCANACANA familyさんの演奏です。
    動画のアングルが見やすいので、演奏イメージがしやすいと思います。
    1つ1つの音の粒がきれいです。

    出典:YouTube

    ウディミール・ホロヴィッツ

    20世紀最高のピアニストの1人ウラディミール・ホロヴィッツの演奏です。
    聴いたら「えっ?」と驚くかもしれません。
    第3楽章は動画の13:38〜

    出典:YouTube

    リリー・クラウス

    シャープで力強い演奏が魅力です。
    左手のトルコ・リズムが聴きやすいと思います。

    出典:YouTube

    アルカーディ・ヴォロドス編曲の「トルコ行進曲」

    超絶技巧のピアニスト・アルカーディ・ヴォロドス編曲による「トルコ行進曲」です。
    お手本にはもちろんなりません。というか、もはや人間わざではないので・・・。
    おまけとして「こんなアレンジもあるんだな」と楽しみながら見てください。

    出典・YouTube

    ファジル・サイの編曲版

    トルコ出身の天才ピアニストです。
    ジャズアレンジがめちゃくちゃカッコいですよ!

    出典:YouTube

    モーツァルトのトルコ行進曲の楽譜紹介

    全音ピアノピース「トルコマーチ」

    1曲だけ欲しいという方はこれ1択です。

    14日間で弾ける!おとなの独習ピアノ 憧れのピアノ名曲 14days

    他の作品も掲載されています。
    趣味で演奏したい方や独学で楽しみたい方におすすめ。

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    モーツァルトのトルコ行進曲の難易度:まとめ

    • 難易度は「B(初級上)」
    • 初心者でも挑戦可能だが、指の速さが必要
    • 小学生でも弾けるが、練習量が重要
    • 同じ難易度の曲には「エリーゼのために」などがある
    • 速いパッセージが多く、正確な演奏が求められる
    • 子犬のワルツよりは弾きやすいが、難しい部分もある