プッチーニの有名オペラ8選!作品の特徴や魅力もわかりやすく解説します!

プッチーニ

    プッチーのシリーズ2本目。今回はプッチーニの有名オペラ8選を紹介します。

    音楽家一家に生まれたプッチーニ。
    家業の伝統に倣い宗教作曲家を目指すものの、
    ヴェルディの壮大なオペラ『アイーダ』に衝撃を受けオペラ作曲家を志します。

    そして第3作となるオペラ『マノン・レスコー』の成功により、
    オペラ作曲家としての認知を得たプッチーニは、
    その後も『ラ・ボエーム』や『トスカ』、『蝶々夫人』など大ヒット作を発表しました。

    そして、これらの作品は、現在でも「もっとも演奏機会の多いオペラ作品」として、
    世界中の音楽ファンから愛されています。

    そこでこの記事では、プッチーニの有名オペラ8曲について、
    動画付きでわかりやすく、ざっくりと解説します。

    折しも、今年(2024年)はプッチーニ没後100年。
    「オペラはちょっとな・・・」という方でも、
    スッと入ってくる内容にしていますので、ぜひ参考にしてくださいね!

    画像出典:アマゾン:プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」(限定盤)

    ジャコモ・プッチーニの生涯について

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    作品紹介の前に、プッチーニについて簡単に紹介します。
    ジャコモ・プッチーニは、1858年12月22日、イタリア・トスカーナ地方にあるルッカに生まれました。

    プッチーニの家系は代々音楽家一家で、自身も宗教作曲家として生計を立てるつもりでしたが、
    ヴェルディの『アイーダ』に衝撃を受けて一転。オペラ作曲家を志します。

    ミラノ音楽院で学んだのち、1作目のオペラ『妖精ヴィッリ』を発表。
    その後、3作目のオペラ『ラ・ボエーム』が大ヒットとなり、
    本格的にオペラ作曲家の道を歩み始めます。

    その後も数々の名作オペラを世に送りだし、
    最後のオペラ『トゥーランドット』の完成間近に、
    1924年11月29日に65歳でこの世を去りました。

    プッチーニの生涯についてはこちら👇の記事で紹介しています。
    ヴェルディの記事と併せてお読みください。

    プッチーニ
    ヴェルディ

    ジャコモ・プッチーニの有名オペラ8選!

    ということで、ここからはプッチーニのオペラ作品の紹介です。
    紙面の都合上、すべてを紹介できないのが残念ですが、それは別記事にということで、
    ぜひ参考にしてください!

    なお、参考動画については、全編ではなく、聴きやすい「アリア」を中心に紹介します

    8選と紹介していますが、
    3部作を一気に紹介しているので、実質は10作です。

    プッチーニの有名オペラその1:『妖精ヴィッリ』(Le Villi, 1884年)

    プッチーニのデビュー作『妖精ヴィッリ』は、彼の才能を世に知らしめた記念碑的な作品です。中央ヨーロッパの伝説を題材にした本作は、わずか64分の上演時間ながら、後のプッチーニ作品を彷彿とさせる仕上がりとなっています。

    そして1884年5月31日、ミラノのダル・ヴェルメ劇場で初演された際には、観客から熱狂をもって迎えられました。

    プッチーニの母親が受け取った電報には「劇場は満員、大成功、予想を上回り、18のコールがあり、第1幕のフィナーレは3回もアンコールされた」と記されていました。

    この成功により、プッチーニは出版社リコルディの注目を集めることになります。

    プッチーニの有名オペラその2:『エドガール』(Edgar, 1889年)

    『エドガール』は、プッチーニの2作目のオペラですが、
    初演時には成功を収めることができませんでした。

    1889年4月21日にミラノのスカラ座で初演されたこの作品は、
    プッチーニ自身も後年「温めたスープ」と評したほどです。

    しかし、1905年までに数度の改訂を重ね、現在の形となりました。

    『エドガール』の物語には、ワーグナーの『タンホイザー』の影響が見られ、
    官能的な耽溺生活と理想的な愛の間で葛藤する中世の騎士が主人公となっています。

    ワーグナー

    プッチーニの有名オペラその3:『マノン・レスコー』(Manon Lescaut, 1893年)

    間奏曲

    1893年、プッチーニは『マノン・レスコー』で大きな成功を収めます。
    本作により、プッチーニの才能が開花した瞬間と言っても過言ではないでしょう。

    フランスの小説を原作とした物語に、プッチーニ独自の音楽語法を織り交ぜた本作は、
    聴衆を魅了しました。

    本作における特筆すべきところは、プッチーニが過去の作品の音楽的要素を取り入れながら、
    新たな表現を模索した点。

    この作品の成功により、プッチーニは「新進気鋭のオペラ作曲家」として国際的な注目を集めることとなりました。

    プッチーニ:歌劇「マノン・レスコー」

    その4:『ラ・ボエーム』(La bohème, 1896年)

    ラ・ボエーム全編(日本語字幕つき)

    1896年2月1日にトリノのレージョ劇場で初演された『ラ・ボエーム』は、プッチーニの代表作の一つとして現在でも広く知られています。

    若きアルトゥーロ・トスカニーニの指揮で初演されたこの作品は、
    パリのボヘミアンたちの生活を描き、現在でも世界中で頻繁に上演されています。

    約1時間45分の上演時間の中で、プッチーニは登場人物たちの喜びや悲しみを美しい旋律に乗せて描き出しています。

    この作品の成功により、プッチーニは世界的な作曲家としての地位を確立しました。

    その5:『トスカ』(Tosca, 1900年)

    アリア「歌に生き恋に生き」

    1900年1月14日にローマのコスタンツィ劇場で初演された『トスカ』は、プッチーニの音楽的革新がさらに進んだ作品。

    ナポレオン侵攻下のローマを舞台に、愛と政治が絡み合う物語は、緊迫感あふれる音楽で表現されています。

    特に、ワーグナー的なライトモチーフを用いて登場人物や状況を表現する手法は、
    プッチーニの音楽的洗練を示しています。

    1時間50分の上演時間の中で、プッチーニは観客を息もつかせぬ展開で魅了します。
    批評家からの評価は分かれましたが、観客の熱狂的な支持を得たこの作品は、
    今でもオペラ界の人気演目の一つです。

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    その6:『つばめ』(La rondine, 1917年)

    『つばめ』は、プッチーニが初のオペレッタ作品です。
    1917年3月27日にモナコのモンテカルロ歌劇場で初演されました。
    本作には、当時のモダンダンスのリズムを取り入れるなど、新しい試みが随所に見られます。

    しかし、第一次世界大戦の影響もあり、作品の評価は安定しませんでした。

    その後、プッチーニは1919年から1920年にかけて改訂を重ね、
    最終的に第三稿まで作成しましたが、この版は生前に上演されることはありませんでした。

    それでも『つばめ』はプッチーニの音楽的探求心が垣間見える興味深い一曲と言えるでしょう。

    その7:「3部作」(Il trittico, 1918年)

    ジャンニ・スキッキより、アリア「私のお父さん」

    1918年12月14日にニューヨーク・メトロポリタン歌劇場で初演された「3部作」は、プッチーニの実験的精神が最も顕著に表れた作品群です。

    『外套』『修道女アンジェリカ』『ジャンニ・スキッキ』という3つの一幕物オペラを一晩で上演するという斬新な試みは、当時の音楽界に衝撃を与えました。

    特に『ジャンニ・スキッキ』は、プッチーニの喜劇的才能を遺憾なく発揮した作品として高く評価されています。

    プッチーニは、これらの作品を常にセットで上演することを望んでいましたが、
    現在では個別に上演されることも多くなっています。

    アリア「私のお父さん」は、きっと一度は聴いたことがあると思いますよ!

    プッチーニ : オペラ三部作「外套」「修道女アンジェリカ」「ジャンニ・スキッキ」/リコルディ社/ピアノ・ヴォーカル・スコア

    その8:『トゥーランドット』(Turandot, 1926年)

    アリア「誰も寝てはならぬ」(パバロッティ)

    プッチーニの遺作となった『トゥーランドット』は、
    1926年4月25日にミラノ・スカラ座で初演されました。

    プッチーニの死後、フランコ・アルファーノによって完成されたこの作品は、
    中国を舞台にした壮大な物語を描いています。

    そのため作品には、中国の民謡「茉莉花」を取り入れるなど、
    異国情緒を醸し出す工夫が随所に施されているのが特徴です。

    初演時、指揮者のアルトゥーロ・トスカニーニは、プッチーニが書き上げた部分で演奏を止め、「ここでプッチーニ先生はペンを置きました」と告げたと言われています。

    これらの作品を通じて、プッチーニは常に新しい表現を追求し続け、
    イタリアオペラの伝統を守りながらも、時代の要請に応える革新的な音楽を生み出しました。

    作中アリア「誰も寝てはならぬ」はあまりにも有名ですね。
    一時期、日本でも話題になった感動の演奏はこちら👇!

    ポール・ポッツ

    プッチーニ作品の特徴や魅力について

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    ここまで、プッチーニの有名オペラ8選(10選)を紹介しました。
    プッチーニの作品は、悲劇・喜劇を問わず美しい作品ばかりです。

    なので、ぜひ参考動画とともにお楽しみください!
    以下では、そんなプッチーニの作品の特徴や魅力について、これまたざっくりと紹介します。

    筆者の感想も若干含まれていますが、
    なんとなくでも知っておくと、より作品が楽しめると思いますよ!。

    プッチーニ作品の特徴や魅力その1:オペラ界の巨匠としての地位

    これまで見てきた通り、プッチーニはオペラ作曲にその生涯を捧げました。
    そしてその功績により、19世紀末から20世紀初頭のイタリア・オペラ界において、
    最高峰の作曲家として現在も知られています。

    『マノン・レスコー』で成功したプッチーニは、『ラ・ボエーム』と『トスカ』で地位を不動を獲得。

    一方、『蝶々夫人』は、初演時の評価は芳しくなかったものの、
    時を経て今やイタリア・オペラの代表作として高く評価されることとなりました。

    プッチーニ作品の特徴や魅力その2:魅惑的な旋律と豊かな音楽表現

    プッチーニ音楽の魅力といえば、聴く者の心を捉えて離さない美しいメロディーでしょう。

    長い息の旋律でありながらも、自然で滑らかな流れを持つ旋律は、プッチーニの真骨頂ではないでしょうか。

    さらに、劇的な展開と緻密な描写的表現、巧みな転調と印象主義的な和声技法、豊かなオーケストレーションも、プッチーニ作品の魅力を一層際立たせている一因です。

    プッチーニ作品の特徴や魅力その3:クラシック音楽の間口を広げた功績

    プッチーニのオペラは、クラシック音楽やオペラ初心者にとっても親しみやすいのも大きな魅力の一つです。

    一方で、同時代の作曲家たちの間では評価が分かれたとのこと。
    ドビュッシーがプッチーニの人気に難色を示す中、ラヴェルは彼の芸術性を高く評価し、
    むしろ同僚たちの無闇な批判を不快に感じていたそうです。

    この両極端な評価は、プッチーニの音楽が持つ革新性と伝統性の両面を物語っているのかもしれませんね。

    ドビュッシー
    ボレロ

    プッチーニ作品の特徴や魅力その4:女性主人公が魅力的

    プッチーニのオペラは、魅力的な女性主人公たちも魅力です。
    キャラクターの内面を繊細に描き出し、観客の心を捉える手腕は、まさにプッチーニの真骨頂と言えるでしょう。

    たとえば『蝶々夫人』の蝶々や、『トスカ』のトスカ、『ラ・ボエーム』のミミなど、
    各ヒロインの喜びや悲しみ、愛や苦悩が美しい旋律で見事に表現されています。

    プッチーニは、ライトモチーフや和声の変化、巧みなオーケストレーションを駆使し、
    女性たちの心理や感情の機微を鮮やかに描写しました。

    さらに、当時の社会における女性の立場や葛藤も巧みに表現。
    これらの要素が相まって、時代や文化を超えた普遍的な共感を呼ぶ女性像を生み出していると言えます。

    プッチーニの有名オペラ8選まとめ

    今回は、プッチーニの有名オペラと題して、8作品を紹介しました。
    どのオペラも、聴く人の心をとらえて離さない名作ばかりです。
    なので、「オペラを聴いてみよう!」と思われた方は、プッチーニのオペラから聴くことを強くオススメします。

    というこで、今回はここまで。
    プッチーニシリーズ、もう少し続きます・・・。

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