ガブリエル・フォーレのおすすめ代表曲7選。作品の特徴・時代・評価を簡単解説。

    前回はガブリエル・フォーレの生涯について紹介しました。フォーレは作曲家・オルガニスト・教育者といったさまざまな分野で活躍し、19世紀から20世紀にかけての橋渡し的役割を果たしたことがお分かりいただけたと思います。

    今回はフォーレ関連2記事目として、フォーレの作品の特徴や時代、評価などを解説します。おすすめ作品は動画付きですので、ぜひフォーレの深淵な音楽に触れてみてください!!。フォーレの生涯についてはこちら👇

    ガブリエル・フォーレの作品の特徴とは?

    フォーレの作品の特徴や時代などをみてみましょう。19世紀半ばから20世紀初頭は、クラシック音楽に大きな変化が訪れた時期でした。

    古典主義とロマン派の折衷的作風

    フォーレが青年期を過ごした時代、クラシック音楽界の主流派はフランツ・リスト、ベルリオーズ、ブラームスといったロマン派音楽が主流でした。

    「ロマン派ってどんな感じ?」と疑問が湧きますが、簡単な例としてはリストの「愛の夢3番」とか、シューマンの「トロイメライ」などの、メロディに酔いしれる感じの音楽です。

    また、ブラームスと立場を二分したワーグナー全盛期の時代でもあり、当時の作曲家達は、ワーグナーをどのように解釈するかで論争した時代でもありました。

    そんななか、フォーレは師サン=サーンスのように意固地に古典主義にこだわらず、かといってロマン派一辺倒にならず、その間を取る折衷的作品を作曲しています。

    20世紀に入ると調性を崩した「無調」や「十二音階技法」が隆盛しますが、フォーレはあくまでも調性と旋律を保った作品を発表し続けました。

    おもに室内楽・ピアノ曲・歌曲を作曲

    フォーレは主に室内楽、ピアノ曲、歌曲を中心に作曲しています。もちろん、悲歌劇「プロメテ」や歌劇「ペネロープ」といったオペラも作曲していますが、大曲と言える作品はこの2曲のみで、現在では演奏の機会はほとんどありません。

    一方で、弦楽四重奏やヴァイオリンソナタ、チェロソナタといった優れた室内楽を多数作曲しており、フォーレの高い精神性を味わうなら室内楽を聴くことをオススメします。ライトモチーフを巧みに取り入れた手法は、聴く人を完備の感に誘います。

    作品の時代的特徴

    音楽史的な面からアプローチした場合、一般にフォーレの音楽は前期・中期・後期に分けられています。その区分については、『評伝フォーレ』の著者ジャン=ミシェル・ネクトゥーよれば、

    前期・・・ロマン派から脱却とフォーレ自身の様式の探求を試みた時期(1860年〜1886年)
    代表作として、ヴァイオリンソナタ第1番、ピアノ四重奏曲第1番など。

    明確な調性と旋律を歌わせるユニゾンが特徴的で、若々しさ溢れる作品が多い。

    中期・・・半音階や対位法、和声を探求し、自身の様式を押し進めた時期(1886年〜1905年)
    代表作は、「ペレアスとメリザンド」「レクイエム」「パヴァーヌ」など。
    思索的・瞑想的な作風に変化。「レクイエム」「パヴァーヌ」はまさにフォーレの才能の円熟期と言える作品。

    後期・・・対位法書法への傾倒と斬新な和声の創出が行われた時期(1906年〜1924年)
    代表作としてヴァイオリンソナタ第2番、ピアノ五重奏曲第2番、ピアノ三重奏曲など
    難聴に苦しみながらも作品を発表。前期・中期とは異なり、メロディは単調化され、精神性の高さが窺える。

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    ガブリエル・フォーレのおすすめ作品7選

    作品の特徴や年代を簡単にみてきたところで、ガブリエル・フォーレの作品についていくつか紹介します。必ずしも年代順になっていませんが、どの作品も調性の美しい、精神性の高い作品ばかりです。

    ガブリエル・フォーレ:チェロソナタ第1番

    1917年に作曲されたチェロとピアノのためのソナタです。全3楽章で構成され、演奏時間はおよそ20分です。遅筆で知られるフォーレですが、第3楽章をわずか3週間で書き上げ、本人も驚いたというエピソードが残っています。

    1918年、フランス国民音楽協会の演奏会で初演され、同年楽譜出版されました。なお、初演時のピアノはアルフレッド・コルトーが担当しています。
    晩年のフォーレの深い精神性が味わえます。

    ピアノ四重奏曲第1番

    1879年、フォーレが29歳で作曲した作品です。ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの構成で演奏時間は約30分です。全4楽章となっています。1880年に初演され、ヴァイオリンソナタに続き大成功を収めました。

    しかしほどなくして第4楽章が改訂され、1883年に完全版が完成しました。若く挑戦的な旋律が魅力的です。

    パヴァーヌ

    1886年に作曲されたフォーレをもっとも代表する管弦楽曲の1つです。1887年には合唱も追加されました。フォーレの中期を代表する作品であるとともに、クラシック音楽の中でも不朽の名作です。

    管弦楽編の他にも、ピアノ独奏やフルート独奏などさまざまなアレンジが出版されています。演奏時間は7分程度と短いですが、フォーレの才能の全てが詰め込まれた傑作です。

    作品は付随劇音楽「マスクとベルガマスク」の第8曲にも採用されています。

    合唱付きのぱパヴァーヌです。こちらも崇高な合唱が素晴らしい。

    ガブリエル・フォーレ:ヴァルス=カプリス

    1882年に作曲されたピアノ曲です。フォーレはヴァルス=カプリスを生涯で4曲作曲し、この作品は第1番にあたります。

    1880年代のフランスはワルツ全盛期であり、ジュール・マスネ、やサン=サーンスなどもワルツを残してますが、なかでもフォーレのワルツは白眉として人気があります。特にこの第1番は、サン=サーンスの明快さと快活さを引き継ぐ名作です。

    しかしもともとは、サロンや夜会などの気晴らしのために作曲されたらしく、友人達だけに披露する目的で演奏されました。

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    チェロソナタ第2番

    1921年に作曲された、ピアノとチェロのためのソナタです。チェロソナタ第1番から4年後に発表されました。全3楽章であり、演奏時間はおよそ20分です。

    驚異的なのは、この作品を作曲した当時、すでにフォーレは76歳という高齢だったということです。しかしその作品からは、才能の衰えを全く感じさせず、それどころか70代半ばを過ぎてもなお、音楽への情熱に溢れている点です。

    1922年に国民音楽協会の演奏会で初演され、同年に楽譜出版されています。悲哀に満ちた第2楽章のメロディは、ナポレオン1世没後100年を記念して作曲した「葬送歌」から転用されています。

    弦楽四重奏曲

    1923年から1924年にかけて作曲された、フォーレ最後の作品です。3楽章構成で構成され、演奏時間はおよそ23分です。さまざまな病を患いながらも、フォーレは死のおよそ2月前に妻マリーに次のような手紙を送っています。

    「昨晩、終楽章を仕上げました。これで四重奏曲は完成です。第1楽章と第2楽章の間にちょっとした新たな楽章を入れようという考えが起こらなければの話ですが……。

    そして11月4日、フォーレはこの世を去りました。1925年、国民音楽協会演奏会にて初演されています。

    ヴァイオリンソナタ第1番

    室内楽に定評のあるフォーレの作品の中でも、知名度の高い作品として人気があります。1876年に作曲され、全4楽章から構成されています。

    サン=サーンスの後任としてマドレーヌ教会のオルガニストに就任した翌年に着手され、1877年に初演となりました。高揚感と躍動感のある、若き日のフォーレの情熱溢れる名曲です。

    ガブリエル・フォーレのおすすめ作品まとめ

    今回はガブリエル・フォーレの作品の特徴や時代背景、おすすめ作品を紹介しました。どの作品も初めて聴いた方が多いと思いますが、たまにはゆっくりと室内楽を聴いて、優雅な時間を過ごしてみてください。次回はフォーレ作品でももっとも有名な、「レクイエム」、「ペレアスとメリザンド」の2曲について解説しますので、お楽しみに!!。

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