この記事ではシューベルトの即興曲90-2の難易度を解説しています。
この記事を読むと以下のことがわかりますよ!
・即興曲について
・シューベルトの即興曲の難易度
・何歳くらいで弾けるか
即興曲90-2はシューベルトの人気ピアノ曲の一つです。
流れるような旋律が魅力で、ピアノの発表会やコンクールでもよく演奏される定番曲となっています。
そのため、ピアノを学ぶ多くの人が一度は目標にする曲ではないでしょうか。
しかし、
「チャレンジしてみたいけど、自分にはまだ早いかも……」
「どれくらいの難易度なの?」
と疑問に思っている人も多いことでしょう。
そこで本記事では、実際にどのレベルで弾けるのか、必要な技術はどのようなものなのかを詳しく解説していきます。
この記事の前半では「シューベルトの即興曲とは?」「即興曲90-2の難易度」について説明し、後半では「演奏のコツ」や「おすすめの演奏動画・楽譜」も紹介しますね。
画像出典:アマゾン:シューベルト:即興曲 D899,D935(限定盤)
シューベルトの生涯について:歌曲王と言われた天才作曲家
本題に入る前に、ちょっとだけ寄り道を。
シューベルトについて超絶簡単に紹介しますね。
フランツ・シューベルト(1797-1828)はオーストリア出身の作曲家で、「歌曲王」として知られています。
生涯に600曲以上の歌曲を作曲。
その中には「魔王」や「野ばら」など、今でも広く親しまれている作品が数多く含まれています。
モーツァルトやベートーヴェンと同じウィーンで活躍しながらも、31年という短い生涯の中で独自の音楽スタイルを築きました。
交響曲やピアノ曲、室内楽など多くのジャンルで傑作を残したシューベルト。
ピアノ作品には独特のロマンティックな魅力が溢れ、その中でも「即興曲」は彼のピアノ作品の代表的なジャンルであり、初心者から上級者まで幅広いピアニストに親しまれています。
シューベルトについての解説はこちらから。
室内楽や交響曲も人気。とくに交響曲第7番「未完成」は3大交響曲の1つに数えられています。
シューベルトの即興曲の特徴と演奏スタイル
シューベルトの即興曲は、自由な形式と美しい旋律が特徴です。
とくに「即興曲 D.899(作品90)」と「即興曲 D.935(作品142)」の2つのセットは、亡くなる前年の1827年に作曲された、最晩年の傑作とされています。
これらの即興曲は、ショパンやリストのような華やかな技巧とは異なり、より叙情的で詩的な表現が求められます。
シューベルトの即興曲は、モーツァルトのような明快なメロディーと、ベートーヴェンのようなドラマティックな展開を兼ね備えています。
そのため、演奏者には音楽的な感性や表現力が求められると同時に、流れるような演奏技術も必要となります。
特に即興曲90-2は右手のパッセージが多く、滑らかに弾くためのコントロールが重要です。
即興曲90-2は、のちにブラームスが左手のための練習曲に編曲しています。
シューベルトの即興曲90-2の難易度は?
即興曲90-2は、美しい旋律と技巧的なパッセージが特徴の作品で、弾きこなすには一定の技術が求められます。
ポイントは次の通りです。1つずつ解説します。
全音ピアノ・ピースでは難易度「D(中級上)」
即興曲90-2は全音楽譜出版社のピアノ・ピースでは「D(中級上)」に分類されています。
これは、ツェルニー30番~40番程度の技術が必要とされるレベルです。
比較的演奏しやすい箇所もありますが、速いパッセージやダイナミクスのコントロールが必要な部分も多く、確実なテクニックが求められます。
ただ、全音の難易度は「??」と思うことも結構あるので、あくまでも参考ということで。
その他の「D」難易度も少し挙げておきますね。
・きらきら星変奏曲(モーツァルト)
・トロイカ(チャイコフスキー)
・フーガト短調(バッハ)
・飛翔(シューマン)
・前奏曲嬰ハ短調(ラフマニノフ)
などなど。
ツェルニー30番から40番程度の基礎レベル
上記のように、本作をしっかりと正確に演奏するには、最低でもツェルニー30番の終盤~40番程度のテクニックが必要かと。
冒頭から結構なスピードの3連符が続くので、基礎練習をおろそかにすると、きちんと弾けないかもしれません。結構長いですしね。
ツェルニーが退屈ななのはよ〜〜〜くわかります。
筆者もイヤで仕方なかったです。
でも、何事も楽しいことだけではないことを知る良い機会だと思って、練習してください!
ハノンやツェルニーはやっぱり大事!
10ページと長いので、手に負担をかけずに演奏できるかがポイント
即興曲90-2は10ページほどの長さがあるので、演奏を通して集中力を保つことが求められます。
中級者にとっては、「ちょっと長いかな」と感じるかなと。
演奏時間は5分〜7分程度。
でもその分、きちんと弾けるようになれば、演奏体力もついてくるはず。
ここから先のレベルになると、20分、30分、中には90分なんて作品も出てきます。
あとは、手首や指の負担を軽減するために、適切なフィンガリングを選ぶことが重要ですね。
演奏技術・体力の両方が身につく作品でもあります。
流れるようなパッセージなので、音抜けに注意すること
この曲の最大の魅力は、美しく流れるようなメロディーです。
そのため、音抜けや不明瞭な音があると、せっかくの旋律の美しさが損なわれてしまいます。
指の独立性を高める練習を行い、なめらかな音のつながりを意識しましょう。
短音で駆け抜ける感じの作品なので、1つでも抜けるとミスが目立ちます。
ゆっくりと確認しながら練習することがポイントです。
指がすべらないように。
他の有名曲との比較
例えば、ショパンの「子犬のワルツ」やモーツァルトの「トルコ行進曲」と比較すると、即興曲90-2は音楽的な解釈や流れを重視する必要があるため、やや難易度が高く感じることもあります。
子犬のワルツのフレーズも速いですが、作品が短いのと、大きな変化がないので。
モーツァルトの「トルコ行進曲」と比べても、やはり即興曲の方が総合的に難易度高めです。
得意な曲と弾き比べると、難易度の違いがわかりやすくなりますよ!
即興曲90-2は何歳くらいで弾ける?
実際に何歳で弾けるかは個人差が大きく関係しているかなと。
でも、目安としてピアノ歴5年以上で、ツェルニー30番〜40番を練習しているレベルであれば挑戦できると思います。
筆者は確か中学生くらいで演奏した記憶がありますね。
もちろん、適正が強ければ小学生でも演奏できますよ。
何歳くらいで弾けるかは人それぞれ。適正や練習量にも関係します。
即興曲90-2の演奏のコツ
右手の流れるようなフレーズの弾き方

指の独立性を高めるために、ゆっくりしたテンポで練習し、均等な音量で弾けるようにしましょう。速く弾けるとたしかにカッコいいですよね。
でも、それよりも「正確に弾く」ことが本当の意味でのかっこよさにつながります。
3連符の特性を意識しながら、疾走感を表現できるかがポイントです。
風がヒュっと通り抜けるようなイメージで!
ペダルの使い方
この曲の美しさを引き出すには、適切なペダルの使用が重要。
過度なペダルは音を濁らせるため、ベストなタイミングで踏み替えることがコツです。
というのも、ペダルの使い方をミスると「音が濁って」聴こえてしまうので・・・。
もちろん、どの作品もそうなんですが、とくに気をつけたいポイントです。
ペダル記号をきちんと守りましょう!
シューベルトの即興曲90-2の演奏動画
文章で説明されてもなかなか難しいですよね。
ということで、ここでは参考になる演奏動画を紹介します。
演奏風景を見ることで、イメージが湧きやすくなりますよ!
CANACANA familyさん
出典:YouTube
人気ピアノ系YouTuberのCANACANA familyさんの演奏です。
ロマンチックなピアノ表現で聴き入ってしまいますね。
改めてきくと、やっぱり表現力がすごい!
クリスティアン・ツィマーマン
出典:YouTube
ポーランドを代表するピアニストです。
大の日本ファンでも知られています。ツィマーマンさんのはショパンの演奏で有名ですが、語りかけるような繊細なシューベルトの演奏も素晴らしいですね。
動画はだいぶ若い頃の演奏です。
反田恭平
出典:YouTube
内田光子さん以来、ショパンコンクール2位を受賞した反田恭平さんの演奏です。
1音1音が澄んでいて、とても美しいですね。
おとの粒が目に見えるようです。メリハリのある展開も聴く人を魅了します。
シューベルトの即興曲の楽譜
最後におすすめの楽譜を紹介します。
ですが、「無料でこの作品だけ欲しい!」という方は、パブリックドメインからダウンロードもできます。
こちらのページの右側上「楽譜ダウンロード」から試してみてください。
シューベルト: 即興曲・楽興の時/ヘンレ社/原典版
じっくり取り組みたい方にはやはりヘンレ社の原典版がおすすめですよ。
ピアノピース-008 即興曲90-2/シューベルト
1曲だけ欲しい!という方は、これ1択です。
【全音】[CD付]シューベルト 即興曲・楽興の時(アンプロンプチュとモーメントミュージカル) 解説付
わかりやすい解説とCD付きなのが嬉しいですね。
シューベルトの即興曲90-2の難易度:まとめ
今回はシューベルトの即興曲90-2の難易度を解説しました。
全体の内容をまとめます。
- シューベルトの即興曲90-2は発表会やコンクールで人気の曲
- 難易度は全音ピアノ・ピースで「D(中級上)」に分類
- ツェルニー30番~40番程度の基礎が必要
- 3連符が多く、右手の流れるようなフレーズが特徴
- 10ページと長く、スタミナと手の負担を考慮する必要がある
- 音抜けを防ぐために指のコントロールが重要
- ペダルの使い方で演奏の印象が大きく変わる
- ショパンの「子犬のワルツ」よりやや難しいレベル
- 目安としてピアノ歴5年以上、ツェルニー30番修了レベルで挑戦可能
- 動画や楽譜を参考にしながら、自分に合った練習方法を見つけることが大切
何歳で弾けるかは、はっきり言って人によります。
なので、周りと比べてもあまり意味はないかと・・・。
自分のペースで、じっくりと楽しみながら作品と向き合ってみてください!