バッハ作品の特徴を簡単解説!おすすめ代表曲10選

    バッハ作品の特徴やおすすめ代表曲を解説します。
    バッハは生涯で1000曲以上もの作品を残しました。
    なので、有名な曲はたくさんあるのですが、
    とくに「これ知ってたらすごい!」と思われる作品を選んでみました。

    どの作品も音楽史上、いや人類史上最高の傑作ばかりなので、
    ぜひ参考にして聴いてみてください。

    もちろん今回も「超ざっくり」解説です。
    クラシックに詳しくない方も最後まで読んでみてください。

    出典:Amazon「ニュー・ベスト・バッハ100」

    バッハ作品の特徴5つ

    バッハの作品の特徴にはどのようなものがあるのでしょうか。

    バッハの音楽と聞くと、「難しそう」と思う方も多いかもしれません。
    確かに、「本格的に」勉強するとなると、めちゃくちゃ難しいです。

    でもこのブログでは、小難しいことは言いません。
    おすすめ作品とともに、ぜひバッハ音楽に触れてみてください。

    バッハの生涯については前回の記事で取り上げましたので、
    まだの方はぜひ合わせてお読みください。

    バッハ作品の特徴1、複雑な対位法を用いた

    複雑な対位法の技法を用いた作曲バッハは、美しく緻密な音楽を生み出しています。

    特に、『無伴奏チェロ組曲』や『ゴルトベルク変奏曲』などの器楽曲において、緻密な音楽構造が際立っています。

    対位法とは

    対位法とは、いくつかのメロディーがお互いに調和しながら進行するように作曲されます。

    西洋音楽の中でも古くから存在する技法であり、
    バロック音楽ルネサンス音楽などで広く用いられています。

    バッハ作品の特徴2、宗教音楽の傑作を多数作曲

    宗教音楽における卓越した作曲能力を発揮したバッハは、
    マタイ受難曲』や『ヨハネ受難曲』などの合唱曲に代表されるように、
    壮大かつ感動的な音楽を作り出しました。

    バッハ作品の特徴3、深い信仰心

    バッハは深い宗教的信仰を持ち、その信仰が彼の作品に大きな影響を与えています。
    マタイ受難曲』をはじめ、『クリスマス・オラトリオ』などの宗教音楽は、
    バッハの信仰心が反映された作品として知られています。

    バッハ作品の特徴4、楽器の特徴を最大限活かした

    バッハは、様々な楽器の音色を生かした器楽曲を多く作曲しています。
    無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ』や『無伴奏チェロ組曲』などは、
    それぞれの楽器の特徴的な音色を生かしながら、
    美しい旋律や複雑な音楽構造を表現しています。

    補足 バッハ作品の「BWV」とは?

    少しクラシック音楽を知っている人向けに解説。
    バッハの作品には「BWV」というアルファベットがついています。

    これは、
    Bach・・・バッハの
    Werke・・・作品
    Verzeichnis・・・目録
    の頭文字をとったものです。
    バッハ本人がつけたものではなく
    20世紀に入り音楽学者により整理されました。

    J.S.バッハインヴェンションとシンフォニア 全音ピアノライブラリー

    バッハのおすすめ代表曲10選

    整然としたバッハの作品を聴いていると、心が整う感じがします。

    今回紹介する作品は、クラシックがお好きな方でない限り、初めて聴く人が多はず。
    というのも、「あ〜、こんな曲もあるんだ」と思って欲しいので・・・。

    いわゆる「バッハといえば!」という作品は今回は紹介しません(いくつかはあるかな

    壮大なキリスト教音楽も紹介するので、
    この記事を機会に、ぜひバッハの深さに触れてみてください!

    1、マタイ受難曲

    まず 1曲目はマタイ受難曲
    でも、曲解説の前に「マタイって何?」ですよね。

    マタイとは、キリスト教の新訳聖書に出てくる人物です。
    イエス・キリストの12使徒(弟子)のうちの一人

    新訳聖書には4つの有名な「福音書」と呼ばれる物語があり、
    そのうちの『マタイによる福音書』を題材にした作品が『マタイ受難曲』

    他にも、
    ・ルカによる福音書
    ・マルコによる福音書
    ・ヨハネによる福音書 などもあります。

    1727年に初演され大好評となりました。

    しかし、バッハの死後長く忘れさられ(バッハ本人も)、
    およそ100年後、メンデルスゾーンが再演したことで再び注目を集め、
    バッハの再評価に繋がり繋がりました。

    クラシック音楽だけでなく、キリスト教音楽の最高傑作として、
    現在も広く親しまれています。演奏時間3時間という大作です。

    バッハ:マタイ受難曲(カール・リヒター)

    2、ヨハネ受難曲

    バッハは新約聖書の『ヨハネによる福音書』も題材にしています。
    あっ、福音書と受難曲の説明忘れてた。

    福音書(ふくいんしょ)とはイエス・キリストが行ったことや語った言葉をまとめたもの
    受難曲(じゅなんきょく)とは「イエス・キリストが裁判や処刑で苦しめられたときの言葉」を音楽に乗せて表現した曲のことです。

    マタイ受難曲』の3年前の1724年に初演されています。

    演奏機会は『マタイ受難曲』ほど多くないですが、
    こちらもバッハ作品として重要な作品です。

    演奏時間はおよそ2時間で、さまざまなコラールが用いらています

    コラール・・・キリスト教ルター派で歌われる讃美歌のこと

    バッハ, J. S.: 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV 846-869/ヘンレ社/原典版(2007年改訂版/A. シフによる運指付き)

    3、マニフィカト

    これはもしかしたら聴いたことがあるかも・・・。

    タイトルの『マニフィカト』とは「我が心、主を崇(あが)め」という意味です。

    キリスト教の聖なる歌(聖歌)の一つ。
    歌われている内容は、上に書いた『ルカによる福音書』「聖母マリアの祈り」が使われています。

    全12曲からなり、冒頭の華やかなトランペットのメロディーが特徴的です。

    4、ブランデンブルク協奏曲

    全6曲で構成された合奏協奏曲集です。

    ブランデンブルク=シュヴェーという地域を収めていた、クリスティアン・ルートヴィヒ伯に捧げられたことから、このタイトルがつけられました。1721年作曲。

    しかし、タイトルはバッハ本人によるものではなく、
    『バッハ伝』という本を書いたシュピッタという人が命名したそうです。

    また一説によると、
    バッハがこの作品を作曲したのは「職を得るため」だっととか。

    5、無伴奏チェロ組曲

    チェロ独奏用の組曲です。

    詳しい作曲年代はわかっていませんが、
    1717年〜1723年頃に作曲されたという説が有力です。

    こちらも全6曲あり、
    とくに第一組曲が有名です。

    『マタイ受難曲』と同じくバッハの死後は忘れさられましたが、
    チェリストのパブロ・カザルスが再発見したことで、
    現在では「チェロの聖典」とみなされています。

    バッハの深い精神性が感じられ作品です。

    J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲)~インスパイアド・バイ・バッハ~

    6、無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ

    チェロ作品の次は、ヴァイオリンのおすすめ曲を。

    ソナタパルティータがそれぞれ3曲ずつ収められたバッハの代表作の1つ。

    とくに、『パルティータ3番』ガボットは有名なので、
    聴いたことがあるかもしれません。

    1720年、バッハ35歳のときの作品で、
    ベルリンの国立図書館にはバッハの自筆譜も残されています。

    パルティータとはバロック時代(1600年〜1750年)に使われた音楽形式です。
    イタリアが発祥とされ、「変奏曲」として用いられました。

    7、イタリア協奏曲

    1734年に作曲されたバッハを代表する鍵盤曲です。
    とても明るく、メロディアスな作品として人気があります。
    実際、バッハが生きていた頃も人気があったそうです。

    ところで、この作品タイトルで何か気がつきませんか?
    そう、「協奏曲」というタイトルがつけられながらも、
    一人で演奏する」作品なんです。

    というのも、この時代の鍵盤楽器といえばオルガンやチェンバロでした。
    チェンバロには鍵盤が2段になっているものがあり、
    バッハはその表現力を存分に活かして、音楽に「協奏曲風の」厚みをもたせたんです。

    なので、「協奏曲」というタイトルがついています(ざっくりとですよ〜)。

    引用:Wikipediaチェンバロ

    それと、チェンバロはドイツ語です。
    フランス語ではクラヴサン、英語ではハープシコードと言います。
    呼び方が違うだけで同じ楽器なので、ぜひ覚えておいてください。

    ウィーン原典版(57) バッハ イタリア協奏曲

    8、フランス組曲

    1722〜1723年頃に作曲された6曲からなる組曲です。

    ピアノを習われている方なら、練習した方もいるかもしれません。

    現在では『フランス組曲』のタイトルで知られていますが、
    バッハ本人は『クラヴィーアのための組曲』と命名しています。

    当時のフランス風音楽のように洗練された作品であるため、
    このタイトルが付けられたそうです。

    とくに『フランス組曲5番』が有名で、演奏会でもよく取り上げられています。

    J.S.バッハ六つのフランス組曲

    9、ゴルトベルク変奏曲

    バッハの鍵盤作品中もっとも広く知られ、演奏機会が多い作品です。

    また、『フーガの技法』並ぶ最高傑作でもあります。

    1741年に出版された本作は、
    不眠症に悩むカイザーリンク伯爵のために作曲されました。

    タイトルの「ゴルトベルク」とは,バッハの教え子の名前です。

    ゴルトベルク君が、カイザーリンク伯爵の求めに応じて演奏していたとか・・・。
    今で言う睡眠用BGMですね。

    32小節からなるアリアが最初と最後に演奏され、
    あいだに30の変奏が置かれています。

    とりあえず、『アリア』の美しいメロディだけでもご堪能ください!

    バッハ:ゴールドベルク変奏曲(55年モノラル録音)
    バッハ:ゴールドベルク変奏曲(81年ステレオ録音)

    10、トッカータとフーガ ニ短調

    この作品は誰れでも1度は聴いたことがあると思います。
    荘厳なパイプオルガンの音色と、インパクトのある冒頭が有名です。

    完成度がとても高い作品ですが、
    バッハ21歳の頃の作品だと言われています。

    トッカータとは、速いメロディーや音の変化を特徴とする即興的作品のことです。

    即興的とは、演奏家がその場で思いついた演奏をすること。
    また、トッカータとはイタリア語で「触れる」を意味するトッカーレに由来します。

    じつはこの曲、「バッハの作品じゃないんじゃない?」という話もありますが、
    真偽はわかっていません。

    でも一応、バッハの作品として知られています。

    バッハ, J. S.: 平均律クラヴィーア曲集 第2巻 BWV 870-893/ヘンレ社/原典版(2007年改訂版/A. シフによる運指付き)

    20世紀の指揮者レオポルド・ストコフスキーが編曲した管弦楽版もあるので、
    比較のために聴いてみてください。

    ユーリ・シモノフ指揮

    バッハ作品の特徴まとめ

    今回はバッハ作品の特徴とおすすめ代表曲を紹介しました。

    おそらく全部お聴きになる方はいないと思います。

    でも、どれも音楽史に残る名曲であるのは間違いありません。

    今回の作品を通じてバッハ作品に興味を持っていただき、
    新たな扉を開いていただけたら幸いです。

    次回から数回にわたって、個別作品(ピアノ曲)の紹介をしていきます。

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