ヘラクレイトスってどんな人?その生涯やエピソード・死因を簡単解説!

    今回もソクラテス以前の哲学者シリーズです。一体いつになったらソクラテス以降にたどり着くのでしょうか・・・。それはさておき、これまでタレス(ターレス)アナクシマンドロスアマクシメネスピタゴラスについて解説しました。なるべくわかりやすく書いているつもりですが、よくわからないことがあっても「そんな人がいたのね」で全然大丈夫🙆。名前を知ってもらえるだけでも十分です。

    今回ご紹介するのは、「万物は流転する」という名言で有名なヘラクレイトスを紹介します。ギリシャ神話のヘレクレスではありませんのでご注意ください。ヘラクレイトスの思想や名言については次回紹介します。

    サク哲夫
    これを読んで知れること
    • ヘラクレイトスという人物がいた
    • ヘラクレイトスは書物を残した
    • めちゃくちゃ嫌われてたらしい
    • ヘラクレイトスの仰天の死因について

    ヘラクレイトスの生涯

    ヘラクレイトス 17世紀オランダの画家モレールス作 wikipediaより

    ヘラクレイトスの人生について簡単に紹介します。伝説によると、チョー嫌われものだったらしいです(笑)

    ヘラクレイトスは王家(貴族)の家系

    ヘラクレイトスは、タレスやアナクシマンドロスなどと同じく、小アジアのイオニア地方にあったエフェソスで生まれました。エフェソスは新約聖書では「エペソ」という名で登場します。「小アジアってどこ?」という疑問が聞こえてきそうですが、小アジアは現在のトルコ西部あたりです。
    ヘラクレイトスの生年月日についてもいつもながら詳細は不明ですが、ディオゲネス・ラエルティオス『ギリシャ哲学者列伝』によれば、第69回オリンピック大会期(紀元前504年〜501年)にかけて全盛期だったと記されています。

    同書によれば、ヘラクレイトスの父はブロソンという人物で、エフェソスの貴族の家系だったという記録があります。

    ヘラクレイトスは書物を残した

    これまでのソクラテス以前の哲学者たちとは異なる点は、ヘラクレトスは書物を残したところです。今から2500年も前の書物なので、残念ながら「断片」という形でしか残っていませんが、『自然について』という書物を書いたとされています。当時の自然哲学者と同じく宇宙について考察したとされていますが、ヘラクレイトスは自然に関する著作以外にも政治や神などいついて論じました。

    しかしその著作は非常に難解だったものだったようで、その文体について「どこに句読点をつけて読んだらよいかわからない」とアリストテレスも述べるほどでした。

    またソクラテスもこの書について「この書を読む時には(あまりの難解さのせいで溺れてしまわないように)、デロス島の潜水夫を必要とする」と言ったそうです。

    性格悪すぎてめちゃくちゃ嫌われてた?

    あまりにも頭脳明晰だったから、はたまた貴族階級の誇りだったかは不明ですが、ヘラクレイトスはめちゃくちゃ嫌われてたみたいです(汗)。
    とても尊大だったヘラクレイトスは、同時代に生きたピタゴラスや、『オデュッセイア』などで知られるホメロスヘシオドスを名指しで批判しています。

    当時一世を風靡したピタゴラスを批判する断片が残っているので紹介してみます。

    博学は真の智(ノオス)を教えはしない。そうでなかったら、ヘシオドスにもピタゴラスにも、さらにはまたクセノパネスやヘカタイオスにも教えたであろうから

    ヘラクレイトス

    これを簡単に言うと、「知識ばっかり溜め込むようなことしてんじゃねーよ!!!」って意味です。名指しで批判されたピタゴラスはたまったものではありませんね。ピタゴラスについてはコチラ👇

    上述したように、ヘラクレイトスの書物が難解だったのも、「一般人には読めないようにするため」だったとも考えられています。まぁ、プライドが高いというかなんというか・・・。

    そんなヘラクレイトスにもヘルモドロスという友人がいました。しかし、エフェソスの人々はヘルモドロスを街から追放してしまい、ヘラクレイトスはこれに激怒して次のように言っています。

    エフェソスの人間なんて、成年に達したものはすべて、首をくくって死んでしまったほうがいい。そして国家は、未成年の者たちの手に委ねるべきだ。彼らはヘルモドロスという、自分達のなかでもいちばんゆうな人物を〜中略〜「どかかよその土地に行って、他の人たちと暮らすことだ」と言って追い出したのだから。

    ヘラクレイトス

    こんな事件がありますます人間嫌いになったヘラクレイトスは、人里離れた山にこもり、草や葉を食べる生活となったそうです。

    牛の糞にまみれて死んだ?

    人里離れて山に引きこもって、草や葉っぱを食べる暮らしたヘラクレイトス。しかしそれが原因で水腫症となりやがて下山することに・・・。水腫症とは、いわゆる「むくみ」です。心臓病や肝臓病、腎臓病、栄養失調など原因は様々ですが、ヘラクレイトスの場合は間違いなく「栄養失調」だと僕は思う・・・。

    そして街に戻っとヘラクレイトスは、医者の元へ向かいます。その時、ヘラクレイトスは医者に謎かけでもするかのように次のように尋ねたそうです。

    洪水を旱魃(かんばつ)に変えることはできるか?

    ヘラクレイトス
    プク子

    は??何言ってんの??

    しかしこんなことを聞かれた医者たちは、当然答えることができません(そりゃそうだ)。問いの意味が理解できないことを悟ったヘラクレイトスは、みずから牛舎に行って牛の糞の中に身体を埋めたそうです。

    プク子

    は??・・・ちょ、え??

    どうやら糞の持つ温かさで体内の水分を蒸発することを狙ったようですが、もちろん何の効き目もなく、60歳でこの世を去ったと言われています。

    とんでもないエピソードですが、これは性格の悪かったヘラクレイトスをおとしめるための作り話であるとも言われています。

    死因についての別のエピソード

    死因については別のエピソードもあります。

    1・医者たちに、誰か自分の体内を空にして、水分を追い出すことのできるものはいないかと訊ねたヘラクレイトス。しかし医者たちにそれができるものがいなかったので、(水分を抜くために)炎天下のなか召使いに命じて体に牛の糞を塗らせ、地面に寝そべっていたが、翌日には死んでいた。

    2・体に牛の糞を塗ったがそれを剥がすことができず、姿が変わっていたため人間とは気づかれず、犬に食われて死んだ。

    まぁ、いずにれにしてもめちゃくちゃなエピソードですが、そんな人がいたのねってことで参考になればと思います。こんなエピソードを残したヘラクレイトスですが、ずーーっと後のドイツの哲学者ヘーゲルニーチェ、20世紀のハイデッガーにも影響を与えた実はすごい人なんですよ!!。

    まとめ

    今回はヘラクレイトスの生涯やエピソードについて簡単に紹介しました。最後はとんでもエピソードになってしまいましたが、ヘラクレイトスは「自分自身を探究した」偉大な哲学者でした。そしてその思想は、ヘーゲルやニーチェなどの哲学に大きな影響を与えました。ヘラクレイトスの哲学や後世への影響については次回紹介しますので、また次回をお楽しみください!