哲学者アナクシメネスってどんな人?生涯や思想は?アルケーを何と考えた?

    今回はアナクシメネスについて解説。

    前回、前々回の記事でミレトス学派のタレスアナクシマンドロスをご紹介しました。

    ミレトス学派はの基本的な考え方は、この世界(宇宙)を神話的解釈を使わず、根源(アルケー)を定義することで「合理的に」あるいは「理性的に」解釈することでしたね。

    タレスはアルケーを「」と定義し、アナクシマンドロスは「ト・アペイロン(無規定・無限定な何か)」と定義しました。そして彼らが、自然哲学者と言われていることもご紹介しました。

    今回はミレトス学派最後の人物アナクシメネスについてサクッとご紹介します。これでミレトス学派は最後ですので、ぜひ最後まで読んでくださいね!!。

    サク哲夫
    この記事でわかることand向いている人
    • アナクシメネスという哲学者がいた
    • アナクシメネスは万物の根源(アルケー)を「空気」と考えた
    • 残っている断片の紹介
    • 何となく暇つぶしに哲学を知りたい人
    • すこーしでも知識を増やしたい人
    • 哲学書を読んでみたい人
      などなど

    アナクシメネスってどんな人?その生涯は?

    それではアナクシメネスについて紹介します。と言いつつアナクシメネスの生涯についてはタレス同様に「ほとんどわかっていない」のが現状です💦。伝えられているところによると、アナクシマンドロスより若くて、アナクシマンドロスの弟子だったということはわかっています(これだけ??)。著作を残したとされていますが2600年も前の人物ですからね、現在ではわずかな断片しか残されていません(残された断片については後述します)

    アナクシメネスの生涯はハッキリ言って謎

    アナクシメネスの正確な年代はこれまた不明ですが、大体、紀元前585年から525年(諸説あり)に活躍していただろうとされています。ちなみに、肖像画はこんな感じです。↓

    出典wikipediaアナクシメネス

    これも想像かもなのでわかりませんが・・・。
    ミレトス学派を代表する最後の人物であり、その哲学は後のアナクサゴラス(覚えなくていーです)や原子論(こっちはうすーーーく覚えておいてください)に大きな影響を与えました。

    いろいろと調べてみてのですが、どんなところに住んでたとか、何をして生活をしていたとか、死因とかも出てきませんでした💧。没した年代がある程度わかっているのに謎ですが・・・。

    でもアナクシメネスが何かしらを書いたのは確か

    ただーーし!!同時期に生きていた哲学者シンプリキオス(忘れてください)って人が、アナクシマンドロスとアナクシメネスの「文体」について述べていて、アナクシマンドロスの文体は「いくぶん詩的」だったのに対して、アナクシメネスは「簡潔で無駄がない」文を書いたそうです。じゃあどんな文が残されているかっていうと・・・。アナクシメネスが残した断片に次のようなものがあります。

    空気である私たちの魂が、私たちをしかkりと掌握しているのと同じように、気息(きそく)と空気が宇宙全体を包みこんでいる。

    簡潔と言われれば簡潔だけど、いまいち意味がわからない・・・笑
    他にもこんな断片があります。

    (太陽は)木の葉のように(広がりをもつ)

    空気は物体をもたないものに近い(魂?)。そして、私たちはこのもの(空気)の流出によって生じるにいたるのだから、そのものは無限であって豊かであるはずである。絶対につきることはないのだから。

    みなさんはどう思いますか?最後の断片はアナクシメネスの哲学を語る上で重要な文章ですが、そんなに気にしないで大丈夫🙆。
    師匠のアナクシマンドロスと同じように、文章を残したってことを覚えておけば十分です(十分か?)。

    アナクシメネスは何を根源(アルケー)と考えた?

    アナクシメネスの人物像や生涯についてお話ししたところで、アナクシマンドロスの弟子だったアナクシメネスはどんな風に根源を考えたのかってことを「簡単に」書いてみます←重要。

    アナクシメネスが考えたアルケーとは?

    結論から言ってしまうと、アナクシメネスはアルケー(もう覚えましたね?)を「空気」であると考えました。前回の記事をおさらいしながらゆっくりと簡単にお話しします。

    プク子

    ゆっくり解説してよね!

    師匠アナクシマンドロスはアルケーをト・アペイロンだと定義しました。
    ト・アペイロンとは、質的・量的に無限に存在し、この世のありとあらゆるものを突き動かす「何か」でした。

    それは「何か」としか言えない「何か」。「何か」としか言えないから無規定であり、「〜である」と限定できないがゆえに無限定。さらには無数に存在するから無尽蔵でしたね。

    これに対してアナクシメネスは、師匠とはちょっと違う考え方をしました。
    こんな風に考えたかもしれません(イメージです)。

    アナクシメネス

    先生(アナクシマンドロス)の仰る通りアルケーは無限にあるに違いない。でも「それが何だかわからない」っていうなら、本当に存在するかどうかわからないじゃないか!。規定できないなら、存在しないのと同じじゃないのか??(謎)

    よしよし、だったらもっと現実の世界の中で、先生の仰るものがないか考えてみよう!

    ⇧はもちろん僕の想像ですが、アナクシメネスは師匠アナクシマンドロスより「具体的な」答えを求めたのでしょうね。色々と悩んだ結果(多分)、アナクシメネスは次のような答えにたどり着きました。

    アナクシメネス

    ト・アペイロンのように無数に存在し、さらに我々の生活に不可欠なもの・・・。「水」はたくさんあるけど、先生の仰るように水が火になるのはおかしいし。。。はーーーっ😮‍💨😮‍💨。

    ???!!!まてよ。
    自分達の周囲に無限にあって、水や火のように対立しないものが一つだけあるじゃないか!!!

    「ため息」から気が付いたのというのは僕の脚色(笑)。冗談はさておき・・・。アナクシメネスは私たちが日常的に経験し、かつ無制限に広がっているもの、それがアルケーであると考えたのでした。そして辿り着いた答えが「空気(アエル)」だったのです。

    つまり、「すべてのものは空気から生じ、空気へと還ってゆく・・・。」って考えたわけです。

    アナクシメネスが考えた「空気(アエル)」の性質について

    ではなぜアナクシメネスは「空気(アエル)」をアルケーと考えたのでしょうか。ここでアナクシメネスが注目したのは、「空気」の性質でした(現代科学とは見方が違いますよ)。
    アナクシメネスが考えたことはこんな感じ(適当か?)↓

    アナクシメネス

    空気は温められると膨張して、薄くなる。やがて熱を持つようになり、これがもっとも熱くなると火❤️‍🔥が発生する。反対に空気が冷やされて濃くなると冷たくなり、風になる。さらに冷やされると雲になり、水になり、もっと濃くなると土を経て石になる。きっとそうだ!そうに違いない!!これなら現実に存在しているものから説明できるし、反対の性質も生み出さないじゃないか🙌。

    さらに万物の根源である「空気」は、師匠が唱えたト・アペイロンと同様に「あらゆる生命の源である」と考えます。その理由としては、死んだものは息をしていないからです(空気を出し入れしていない)。この「息」のことをプネウマと言いますので、頭の隅にいれておいてくださいね!。

    大宇宙を生かしているのも「空気」だし、さらに、「息」として私たちの体内に入ることで生命を与えてくれるのも「空気」であることから、アナクシメネスは「空気(アエル)」をアルケーとして考えたのでした。

    この考えはアナクシメネスの哲学であると同時に、彼が考えた宇宙論ともいえます。

    その他のエピソードは?

    アナクシメネスについて詳しい人生は不明であることはお伝えしましたが、宇宙についての考察が残されていて、次のようなものです。

    • 大地は大きな石の円盤で木の葉が舞うように空気に乗って安定している。
    • 太陽や月などの宇宙は大地の円盤の土が希薄化して生じている。
    サク哲夫

    月の表面北部には、アナクシメネスっていう名前のクレーターがあるよ!!
    もちろん、哲学者アナクシメネの名前から付けられています。

    まとめ

    今回はミレトス学派最後の人物、アナクシメネスについてサクッと紹介しました。何だかわかったようなわからないような気がしますが・・・。みなさんは、これまで紹介した自然哲学者の考えについてどのように思いましたか?

    現代の私たちからすれば突拍子もない考えだと思いますが、2600年前の賢人たちは、ここから「あーでもない、こーでもない🤔」といろいろなアイディアを出してこの世界を考えます。そんな哲学者たちをこれからも少しずつご紹介しますので、どうぞお楽しみに。

    あっ!ギリシャの哲学者たちから2600年経った現在でも、我々人類は宇宙全体の5%くらいしかわかっていないから、あんまり彼らと変わらないかもしれませんね笑