『エリア』(メンデルスゾーン)の解説。楽曲構成や楽器編成は?

    本記事でメンデルスゾーン関連記事もいよいよ最後。今回はオラトリオ『エリア』の解説です。

    このペースだと年間50本弱くらいが予想されますが、筆者的にはもう少し頑張るつもりです(ほんとか?)

    それはさておき・・・。

    今回紹介する作品は、メンデルスゾーンの後期代表作オラトリオ『エリア』。

    オラトリオ『エリア』は、「3大オラトリオ」の1曲として知られています。

    なので、この記事を読めば新たに「3大〜」の知識が手に入ること間違いなしです(自慢できるかは不明ですが)。

    今回はコンパクトにまとまっていると思いますので、ぜひ最後まで読んでくださいね!

    メンデルスゾーンシリーズをまだ読まれていない方はこちらか👇からぜひ👍

    出典:Amazon[メンデルスゾーン交響曲第2番「賛歌」]

    フェリックス・メンデルスゾーン『エリア』の解説

    『エリア』なんて曲、聴いたことないから読むの止めよ〜」と思ったそこのあなた。

    ちょっと待った(笑)。「これを読む前と、読んだ後の自分を想像してみてください!」。

    この記事を読む前は、存在さえ知らなかったことが、読んだことによって自分の世界に現れるって考えると、ちょっとは楽しくなりませんか?

    アップグレードされていく自分」を意識しながら気軽に目を通してみてください。

    こちらがメンデルスゾーンのオラトリオ『エリア』です👇

    そもそも「オラトリオ」とは?

    オラトリオなんて聞いても、ピンとくる人は少ないはず。というかそれが普通です。

    そもそもオラトリオとはどんなものなのでしょうか。

    結論から言うと、オラトリオとはキリスト教的題材をもとにした物語のことを指します(ざっくりで良いのです)。日本語だと「聖譚(たん)曲」と訳されますが、こう言うのはオマケ程度に覚えていただければ良いです。

    一般的に独唱や合唱、管弦楽で演奏され、オペラのようにダンスや舞台装置などは用いられません。それと、物語の「語り手がいる」のも大きな特徴の一つ。

    16世紀後半のイタリアが始まりとされ、17世紀中頃から現在のような形式になったそうです。

    ちなみに、オラトリオとは元は「祈祷(きとう)室」を意味しているとのこと。

    フェリックス・メンデルスゾーンのオラトリオ『エリア』の解説

    オラトリオについてざっくり解説したところで、本題の『エリア』についてみてみましょう。

    前回のこちらの記事では、彼の主な代表作を紹介しました👇

    ピアノ曲や管弦楽曲といった作品を多く手がけたメンデルスゾーンですが、実は宗教曲も熱心に作曲しています。

    そして、その代表作とされる作品がオラトリオ『エリア』です。『エリア』の他にも『パウロ』や『キリスト』(未完)などのオラトリオ作品を残しており、『エリア』と『パウロ』を合わせて、メンデルスゾーンの「2大オラトリオ」なんて呼ばれることもあります。

    ちなみに、「エリア」とは旧約聖書(列王記 上・下)に出てくる預言者のことです

    まぁ今回は『パウロ』の解説は置いといて・・・。

    オラトリオ『エリア』はメンデルスゾーンの美観が最大に発揮された、「最高傑作の一つ」ってことは覚えておいてくださいまし。ロマン派抒情的表現の中に、バロック形式をドラマチックに採用した作品です。

    イギリスにて初演

    本作は1846年8月26日、イギリスのバーミンガム宮殿にて初演されています。

    初演の指揮はメンデルスゾーン本人によるものでした。入念なピアノリハーサルとオーケストラリハーサルを経た初演は大成功を収め、現在ではメンデルスゾーン晩年の代表作として広く知られています。初演が大成功を収めたものの、その後数度にわたり改定され、現在の形になりました。

    翌年1847年には祖国ドイツでも初演され、大成功を収めています。しかしドイツ初演後にこんなエピソードが・・・👇。

    オラトリオ『エリア』が大成功となり、気を良くしたメンデルスゾーン。しかし彼は作品の完成度に満足できず、さらなる改訂を試みます。そんな姿を見かけた同僚がメンデルスゾーンに対して、「君はこれ以上この曲を美してどうしようというのだ?」と皮肉混じりに伝えたと言われています。

    3大オラトリオの一つ

    今回も出ました「3大〜」。

    このブログでは以前「3大交響曲」と「3大ヴァイオリン協奏曲」を紹介しましたが、みなさん覚えていますか?

    「3大交響曲」について忘れてしまった方は、こちらを参考にしてください👇

    メンデルスゾーンの『ヴァイオリン協奏曲』が「3大ヴァイオリン協奏曲」の一つというお話はこちらです👇

    ということは・・・。メンデルスゾーンの作品には「3大〜」が2つあることに気づかれたでしょうか?

    メンデルスゾーンのオラトリオ『エリア』は、バロック時代の作曲家ヘンデルの『メサイア』とハイドンの『天地創造』と並ぶ「3大オラトリオ」と称されています。

    ヘンデルの『メサイア』を知らなくてても「ハレルヤ」はご存知の方も多いハズ。絶対知ってると思うので聴いてみてください!。余談ですが、「ハレルヤ」とはヘブライ語で「(神を)たたえよ!」の意味。

    ヘンデル:オラトリオ《メサイア》 (英語版)(20世紀の巨匠シリーズ)

    そしてこちらがハイドンのオラトリオ『天地創造』。カラヤンかっこいい。

    ハイドン:オラトリオ「天地創造」

    フェリックス・メンデルスゾーン『エリア』の楽曲構成や楽器編成は?

    『エリア』の楽曲構成について超簡単に解説します。

    本作は第1部と第2部で成り立っており「序章、序曲を含み全44曲」で構成されています。

    序章・序曲で始まり第1曲〜21曲までが第1部。第21曲〜42曲までが第2部の構成です。

    旧約聖書で描かれる物語に音楽がついてるという理解でOK(一部異なります)。それぞれの曲にはタイトルがありませんが、便宜的に「歌い出しのセリフ」がタイトルとして併用されています。

    演奏時間は1部2部ともにおよそ1時間ずつの、計2時間です。

    楽器編成について

    一般的なオーケストラ構成ですが、独唱と合唱が入るのが特徴です。()内は楽器数

    木管楽器
    ・フルート(2)
    ・オーボエ(2)
    ・クラリネット(2)
    ・ファゴット(2)

    金管楽器
    ・ホルン(4)
    ・トランペット(2)
    ・トロンボーン(3)
    ・オフィクレイド(1)・・・低音金管楽器の1種

    打楽器
    ティンパニ

    弦楽5部
    ・第1・第2ヴァイオリン
    ・ヴィオラ
    ・チェロ
    ・コントラバス

    独唱
    ・ソプラノ
    ・テノール
    ・アルト
    ・バリトン

    合唱

    オルガン

    「夏の夜の夢」について

    結婚行進曲

    なんと!!!。前回の作品紹介で『夏の夜の夢』を忘れていました。

    ということで(おい!)、ここでさらっと紹介して終わりにします。

    『夏の夜の夢』とは?

    『夏の夜の夢』は1826年にメンデルスゾーンが作曲した演奏会用序曲です。このときメンデルスゾーンはまだ17歳の青年でした。元は姉ファニーと演奏するためのピアノ連弾曲だったそうです。

    イギリスの戯曲家シェイクスピアによる『夏の夜の夢』を読み、そこからインスピレーション受けたのが作曲の動機と言われています。

    シェイクスピアというと「ロミオ、あなたはどうしてロミオなの?」で有名な『ロミオとジュリエット』を書いたあの人です。ちなみにこの時のジュリエットの年齢は13歳。

    その後、1843年に劇付随音楽として新たに編曲され今日に至ります。

    ということで、序曲はこんな感じです。どこかに妖精が潜んでいそうな、神秘的な雰囲気満載です。筆者も学生時代トスカニーニの指揮で散々聞きいた思い出があります。

    メルデンスゾーン:真夏の夜の夢 全曲

    まとめ

    これにてメンデルスゾーン・シリーズは終わりです。今回の記事は少しマニアックだったかな〜と思います。でもたまには「おっ、よく知ってるね?」なんて思われる作品を紹介するのもありですよね?。

    ということで、メンデルスゾーンの記事はひとまず終了します。次回からはピアノの詩人フレデリック・ショパンについて書くつもりですので、首を適度に長くしてお待ちください。

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