【無料楽譜あり】ドビュッシー「パスピエ」の難易度を超絶解説！月の光とどっちが難しい？

「ドビュッシーの『パスピエ』って実際のところどれくらい難しいの？」「有名な『月の光』と比べて、どっちが挑戦しやすいんだろう？」

ピアノ学習者の方なら、一度はそんな疑問を抱いたことがあるかもしれません。

フランスの作曲家クロード・ドビュッシーが生み出した「パスピエ」。
この記事では、ドビュッシーの「パスピエ」の難易度について、実体験を交えつつ、技術面・表現面から徹底的に深掘り解説！

さらに、同じくドビュッシーの代表作である「月の光」との難易度比較や、美しい演奏のための練習ポイント、記事の後半では無料楽譜を含むおすすめ楽譜情報まで紹介します。

各見出し下には素晴らしい演奏動画も紹介しています。
練習の参考にしていただければ幸いです。

筆者は3歳からピアノを開始。紆余曲折をを経て、かれこれ30年以上ピアノに触れています。音大には行っておらず、なぜか哲学で修士号を取得という謎の人生です。

画像出典：アマゾン：ドビュッシー:ベルガマスク組曲&子供の領分≪クラシック・マスターズ≫

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Table of Contents

作曲家クロード・ドビュッシーとは？ – 印象派音楽の巨匠

出典：YouTube

「パスピエ」の難易度に触れる前に、作曲家クロード・ドビュッシー（1862-1918）について簡単に紹介しますね。

ドビュッシーは、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したフランスの作曲家です。

その音楽は、輪郭のはっきりしたメロディよりも、色彩豊かで繊細な音の響きや雰囲気を重視する「印象主義（印象派）」音楽の代表とされています。

まるで絵画のような情景を音で描き出す彼の作品は、後世の多くの作曲家に影響を与えました。

おもな代表作

ピアノ曲「月の光」
「アラベスク」
「沈める寺」
管弦楽曲「牧神の午後への前奏曲」
「海」

など

ラヴェルをはじめ、同時代のさまざまな芸術家に大きな影響を与えました。

ドビュッシーについて詳しい解説はコチラで書いています。

「パスピエ」と「月の光」の難易度をズバリ比較！

出典：YouTube：前田勝則様より

多くの方が気になっているであろう、「パスピエ」と「月の光」の難易度について、まず結論から。

一般的に、技術的な難易度では「パスピエ」の方がやや高いと言われることが多いです。
筆者自身もつまずいた記憶があります。

でも、表現の難しさや求められる音楽性の種類が異なるため、一概にどちらが難しいと断言するのは難しい側面も・・・。

両作の難しさを簡単にまとめるとこんな感じかなと。

「パスピエ」の難しさ: 指の敏捷性、正確なリズム感、軽快なスタッカート、左右の手の独立性など。
「月の光」の難しさ: 美しいレガート、繊細なペダリング、ppp（ピアニッシッシモ）のコントロール、夢幻的な雰囲気の表現など、音色や表現の深さが問われます。

全音ピアノピースでは「月の光」は難易度「C」に位置付けられています。
技術的には、「パスピエ」は難易度「D」に少しかかるくらいじゃなないかと。

クロード・ドビュッシーの「パスピエ」とは？ – 基本情報と魅力

出典：YouTube：ClassicalMusicE様より

「パスピエ」はどんな曲？

「パスピエ（Passepied）」は、ドビュッシーが1890年頃に作曲し、1905年に出版されたピアノ組曲「ベルガマスク組曲」の終曲（第4曲）です。

全体的には明るく快活でありながら、優雅でどがこか古風な雰囲気を持つ旋律が大きな魅力。

パスピエという舞曲形式: 「パスピエ」とは、17世紀から18世紀にかけてフランスの宮廷などで流行した、3拍子系の速いテンポの舞曲のこと。ドビュッシーは、この古典的な舞曲形式を用いながらも、近代的な和声や書法を融合させ、独自の作品へと昇華させています。

参考｜ピティナ・ピアノ曲事典｜ドビュッシー :ベルガマスク組曲パスピエ

「ベルガマスク組曲」の中の輝き – 組曲全体の紹介と「パスピエ」の位置づけ

「パスピエ」が収録されている「ベルガマスク組曲」は、ドビュッシー初期の代表的なピアノ作品の一つで、以下の4曲から構成されています。

プレリュード (Prélude): 華やかで技巧的な序曲。
メヌエット (Menuet): 古典的な形式美とドビュッシーらしさが融合した優雅な曲。
月の光 (Clair de lune): ドビュッシーの作品の中で最も有名な曲の一つ。美しい旋律とハーモニーが特徴。
パスピエ (Passepied): 本記事の主役。軽快でリズミカルな終曲。

組曲の最後を飾る「パスピエ」は、それまでの3曲とは異なる快活な雰囲気で、全体を締めくくる作品でもあります。

ドビュッシー「パスピエ」の難易度を徹底分析！

出典：YouTube

ということで、「パスピエ」の具体的な難易度について、技術面と表現面から詳しく見ていきましょう。個人的には、この曲を聴くとドラクエのダンジョンを思い出します。

技術的な難易度

「パスピエ」を演奏するための技術的要素をピックアップしてみました。

ポイントはおもに3つです。

指の敏捷性と正確な打鍵:全体を通してスタッカートが多く、音の粒を揃えて軽やかに演奏する必要があります。速いパッセージや細かな装飾音も出てくるため、指がよく回り、正確なポジション移動ができることが重要です。

リズムの正確さ:シンコペーションや付点リズムが効果的に使われており、これらを正確に捉え、生き生きとしたリズム感を出すことが求められます。特に左手の伴奏形はリズムのキープが難しい箇所があります。

和音の響かせ方:ドビュッシー特有の色彩豊かな和音を美しく響かせるためには、各声部のバランス感覚や、和音の構成音を正確に掴む能力が求められます。

印象派の音楽では、とくに「響かせ方」に工夫すると、より雰囲気が増して美しくなりますよ！

表現上の難易度

技術的な課題をクリアした上で、さらに音楽的な表現を高めることも重要です。
こちらも3つ挙げますね。

軽快さ、優雅さ、洒脱さの表現:舞曲としての軽やかなステップや、フランス音楽特有のエスプリ（機知に富んだ趣）を感じさせる演奏が理想です。重々しくならないよう、常に軽やかさを意識してみましょう。

古典的な様式感とドビュッシーらしさの融合:バロック時代の舞曲「パスピエ」の様式を踏まえつつ、ドビュッシーならではのハーモニーや雰囲気を表現するバランス感覚が求められます。

ダイナミクスの幅と変化:p（ピアノ）からf（フォルテ）まで、指示されたダイナミクスを的確に表現し、音楽に表情をつけることが大切。唐突な変化ではなく、自然な流れの中で音量や音色をコントロールする必要があります。

他の有名曲との難易度比較の目安

教則本の進み具合と合わせて、難易度を見てみましょう。

一般的に、「パスピエ」はピアノ学習において中級後半から上級レベルの楽曲とされています。
具体的な教材で言えば、以下のようなレベルが一つの目安かなと。

ソナチネアルバム修了～ソナタアルバムに入る程度
ツェルニー30番練習曲修了～40番練習曲に取り組んでいる程度

ただし、これらはあくまで目安であり、得意なテクニックや音楽性によって体感難易度は変わってきます。「印象派の音楽が苦手」という人もいますし。

実感としては、ドビュッシー作品の中では、わりと弾きやすい作品という印象です。

徹底比較！「パスピエ」vs「月の光」 – 難易度と練習ポイントの違い

出典：YouTube

さて、ここで再び「パスピエ」と「月の光」の難易度比較に戻り、それぞれの具体的な違いを見ていきましょう。

比較ポイント	パスピエ	月の光
主な技術的課題	スタッカート、速い指の動き、リズムの正確性、左右の手の独立性、軽快なタッチ	滑らかなアルペジオ、レガート奏法、pppのコントロール、和音の響きのコントロール、繊細なペダリング
求められる表現	軽快さ、優雅さ、舞曲としてのリズム感、洒脱な雰囲気	夢幻的な雰囲気、静謐さ、叙情性、感情の機微、色彩豊かな音色
学習者がつまずきやすい点	リズムのキープ、スタッカートの粒立ち、左右の分離、速いパッセージの正確さ	アルペジオのムラ、レガートの途切れ、pppでの音の不明瞭さ、ペダルの濁り、歌わせ方
練習で特に意識すること	指先のコントロール、リズム練習（メトロノーム）、部分練習による正確性の向上	脱力、手首の柔軟性、ペダリングの研究、深い呼吸、音色の聴き分け
総合的な印象	技巧的な要素が多く、指の訓練がより求められる。明るく活発なエネルギーが必要。	表現の深さや音色のコントロールがより求められる。内面的な集中力が必要。