今回はパッヘルベルの「カノン以外」の代表曲を紹介します。
パッヘルベルというと「カノン」だけが有名ですが、
じつは200曲以上も作品を残した多作な作曲家でもありました。
ものすごーくマニアックな話ですが、
カノン以外の作品も少しずつ録音が増えています。
さらに、パッヘルベルはバッハ家とも深い繋がりがあり、
ヨハン・セバスチャン・バッハにも影響を与えたと推察されているようです。
実際にバッハとどの程度接触していたかはわかっていませんが、
バロック期のクラシック音楽に大きな功績を残したことは間違いありません。
ということで、今回はパッヘルベルの作品の特徴や魅力、
そして「カノン以外」の代表曲を3つ紹介します。
前回のシリーズ1作目はこちらから。
パッヘルベルの代表曲3選
3曲だけだとちょっと少ない気がしますが、
「こんな曲もあるんだな」と知ってもらうために、あえて少なめにしました。
とはいえ、どの作品もバロック時代らしい、
厳かで温かみのある作品ばかりです。
それに、いつものようにたくさん紹介しても覚えきれない気がします・・・。
では一つひとつ見てみましょう。
パッヘルベルの代表曲1、アポロンの六弦琴
1曲目は、パッヘルベルのオルガン曲の中でも最もよく知られる作品『アポロンの六弦琴(ろくげんきん)』※です。
現在残されているパッヘルベルのシャコンヌ※のうちの1つで、
6曲のアリアと変奏曲で構成されています。
パッヘルベルは、オルガニスト、作曲家、音楽教師と多方面で活躍しており、
本作はそんなパッヘルベルの作曲家としての資質が存分に楽しめる名曲です。
詳しい作曲年代はわかっていませんが、
1699年、パッヘルベルが46歳のときに楽譜出版されました。
52歳でこの世を去ったことを考えると、
パッヘルベルの成熟期の作品であると考えられます。
※アポロン・・・ギリシャ神話に登場する男神で、芸能・芸術の神。
※シャコンヌ・・・3拍子の舞曲、バロック時代には変奏曲として流行した。
全体の演奏時間はおよそ40分程度です。
パッヘルベルの代表曲2、第1旋法によるマニフィカト
2曲目は『第1旋法によるマニフィカト』。
本作は教会音楽も多数手がけたパッヘルベルの代表曲です。
1695年、ニュルンベルクの聖ゼバルト教会オルガニスト時代に作曲されました。
そのため、こちらも晩年の成熟期の作品といえるでしょう。
また本作では、一般にドリア調と呼ばれる第1旋法で作られており、
全部23曲のフーガで構成されています。
一説によれば、バッハの代表作『フーガの技法』は、
パッヘルベルのマニフィカトにインスピレーションを受けたと言われています。
いろいろ初めて聞く単語が多いと思いますが・・・。
ちょ〜〜簡単にいうと、
第1旋法(ドリア調)👉教会音楽で使用される音楽的手法のこと。第8旋法まである。
マニフィカト👉キリスト教の聖歌の1つ。『ルカによる福音書』をテーマとする。
パッヘルベルの代表曲3、復活祭カンタータ『ハレルヤ!主をたたえよ』
バロック中期を代表する作曲家パッヘルベルは、
当時でもかなり進歩的な作曲家だったそうです。
そしてそんな彼を代表する作品が、
復活祭カンタータ『ハレルヤ!主をたたえよ』です。
本作には、声楽曲には珍しく規模の大きい合唱がつけられ、
また管弦楽や打楽器などを積極的に使用されています。
その点において、本作はパッヘルベルのダイナミックさが味わえる1曲です。
本作では以下の楽器が活躍します。
・トランペット5本
・トロンボーン
・ティンパニ
・鐘
・オーボエ
・ハープ
など。
パッヘルベルの作品の特徴や魅力は?
パッヘルベルは、彼が生きた当時のあらゆるジャンルに手を伸ばし、
生涯で200以上もの作品を残したと言われています。
そんな彼の作品にはどのような特徴や魅力があるのでしょうか。
パッヘルベルの作品の特徴や魅力1、ジャンルの幅広さ
「カノン」だけが有名になってしまったパッヘルベル。
しかし、彼はオルガン奏者・作曲家・教師として当時のドイツでは非常に有名な人物でした。
なかでもオルガン曲の優れた作曲家で有名で、
『コラール変奏曲』『コラール前奏曲集』など、多数のコラール作品を残しています。
そして彼は「パッヘルベル・コラール」という独自の手法を生み出し、
のちのバッハなどもこれに影響を受けたと言われています。
コラール・・・キリスト教ルター派で使われ讃美歌のことです。
また、声楽曲の作曲家としても名声を獲得しており、
現存しているだけでも、およそ100曲もの作品を生み出しました。
作品の特徴や魅力2、中期バロックの伝統を受け継ぐ
パッヘルベルは、ニュルンベルクの伝統を受け継ぐ最後の大作曲家であると当時に、
南ドイツ最後の重要な作曲家でもありました。
また多くの弟子たちに囲まれ、彼の弟子には
・ヨハン・クリストフ・バッハ
・ヨハン・ハインリヒ・ビュッテ
・アンドレアス・ニコラウス・ヴェッター
などがおり、パッヘルベルの2人の息子ヴィルヘルム・ヒエロニムスとカール・セオドールも父から音楽の手解きを受けています。
とくにカール・セオドールは、
アメリカの植民地に居を構えた、最初のヨーロッパ人作曲家の一人となったことから、
パッヘルベルは、間接的に当時のアメリカ教会音楽に影響を与えたと考えられています。
作品の特徴や魅力3、多様な器楽編成と創造性
パッヘルベルの作品は、オルガン曲、鍵盤曲、管弦楽曲など、様々な編成で書かれています。
中でも彼の弦楽曲は革新的で、「アリア」と称されるソロ・ヴァイオリンのための小品には、当時珍しい創造性が発揮されています。
また管弦楽組曲においては、ルネサンス期の古風な舞曲をバロック風に編曲する新機軸を打ち出しました。従来の枠にとらわれない自由な発想がパッヘルベルの大きな魅力の1つです。
今回紹介した復活カンタータなどは、まさにパッヘルベルの真骨頂と言えるかもしれません。
パッヘルベルの代表曲まとめ
パッヘルベル・シリーズ2本目は、作品の特徴や魅力、
そして「カノン以外の」代表作を取り上げました。
ちょっと変化球的な内容ですが、
「カノンについては詳しい情報がたくさんある」と思い、
今回は別の角度から解説してみました。
あまり参考資料がないのが残念ですが、
新しいことがわかったら、少しずつ書き足すか新たに記事を作りたいと思いっています。
次回でパッヘルベル・シリーズは最後になります。
また次回もぜひご一読くだされば幸いです!