ブラームスシリーズもいつの間にか4本目。前回でラストのつもりだったけど、この作品は外せない!と思い追加でもう1本。
本当はブラームスの真骨頂でもある室内楽も紹介したいのですが、それはまた別の機会にします。と言うことで、今回紹介する作品はブラームスの出世作『ドイツ・レクイム』。
「レクイエム」って、皆さんもどこかで聞いたことがあるのではと思います。確か、むか〜しの映画版『名探偵コナン』のタイトルにもあったような・・・。
クラシックだとモーツァルトやヴェルディ、フォーレの『レクイエム』が有名です。彼らのレクイエム「3大レクイエム」なんて言ったりしますが(でた!3大〜)、ブラームスのものはそれに次ぐ傑作です。
まだまだ聴いたことのない人も多いと思いますが、この記事を機会にぜひ聴いてみてください!!。
フォーレの「レクイエム」についてはこちらから!。もしくは↓からぜひ!!
ヨハネス・ブラームス『ドイツ・レクイエム』の解説!
『ドイツ・レクイエム』の解説の前に、そもそも「レクイエムって何?」ってところを簡単に説明します。言葉は聞いたことあるけど、どんなものなのを知らない方も多いハズ。
一口に「レクイエム」といっても、さまざまですが、ざっくり言うと以下のような感じです。
そもそも「レクイエム」って何?
中世から現代に至るまで多くの作曲家が「レクイエム」を作曲してきました。「レクイエム」の大元は、9世紀から10世紀から作られ、14世紀頃に完成した『グレゴリア聖歌』が始まりとされています。
グレゴリオ製菓・・・じゃない「聖歌」はこんな感じ↓。ヒーリングミュージックなんかにも応用されているみたいですね。教会で行われる「ミサ」で使用され、美しいメロディが特徴。崇高さを感じます。
そして、この「グレゴリオ聖歌」が時代を経て発展し、その一つの形態が「レクイエム」(ざっくりとですが)って感じです。ちなみに、「レクイエム」の意味はラテン語で「安息を」を意味します。
一般に、カトリック教会のミサ曲として使われ、死者の安息を神に願う目的で演奏されます。
『ドイツ・レクイエム』が作曲されたきっかけ
チョーざっくりと「レクイエム」について解説したところで、いよいよ本題。ブラームスの『ドイツ・レクイエム』に戻ります。
ブラームスは、1857年から『ドイツ・レクイエム』を作曲し始めます。その動機としては、ブラームスの才能を認め、世に発表してくれたロベルト・シューマンの死が大きなきっかけと言われています。
1853年、20歳だったブラームスはシューマンの元を訪ね、自作の『ピアノソナタ第1番』を披露します。この完成度に感銘を受けたシューマンは、雑誌『新音楽時報』にてブラームスを賞賛し、ブラームスの名を広めるきっかけを作りました。
これらについてはこちらに紹介しています!
しかし、出会いからわずか3年後の1856年、シューマンはこの世を去ります。
恩人シューマンとの死別による悲しみが、『ドイツ・レクイエム』への作曲に向かわせたわけです。そんな気持ちを表すかのように、ブラームスは友人のヨーゼフ・ヨアヒムに次の言葉を述べたそうです。
『レクイエム』はシューマンの思い出と密接に結びついている。
あしかけ11年かけ作曲
1857年から1859年の2年間で2楽章まで書き上げたブラームス。このまま、順調に書き進められうかと思いきや・・・。この時期のブラームスといえば『交響曲第1番』の作曲に悩んでいた時期でもあります。結局、ブラームスの母が死去する1865年まで作曲は一時中断。1868年にようやく完成します。
もちろん、この間にも多くの作品を作曲しています。バラエティに富んだブラームスの作品紹介は2・3番目の記事です!
この作品で興味深いのは、1869年の全曲初演までに2回部分初演されていると言うこと。
第1回目は1876年。第1楽章から第4楽章までのうち、最初の3楽章がウィーンで初演されました。でも、楽団員の練習不足が露呈して失敗に終わります。
2度目は1868年。第5楽章を除く全曲が演奏された2度目の演奏は大成功を収めました。この時はブラームス自身が指揮を担当しています。もしかしたら、1度目の失敗を糧に念入りに作曲者自身が指導したのかも・・・。
翌年の1869年。ライプツィヒでようやく全曲が演奏され、ブラームスの名声は一気に高まることになります。そして、これ以降『交響曲』といった大規模な傑作を生み出します。
『ドイツ・レクイエム』の歌詞
上述のように「レクイエム」とはカトリック教会のミサ曲です。ということは、作品内で使用される『聖書』はカトリック版が使用されるのが一般的(ラテン語の典礼文)。
しかし、ドイツのハンブルク生まれたブラームスは、『ドイツ・レクイエム』の歌詞にルター訳の聖書を用いました(ここ重要)。ルターって覚えていますかね?社会の教科書に出てくるあの「ルター」です(宗教改革の人)。
さらに『ドイツ・レクイエム』において興味深いのは、新訳・旧約聖書からテクスト(歌詞)をチョイスして、ブラームス自身が構成したところにあります。
つまりこの作品には、「ブラームスの宗教観や人生観が込められている」ということ。
『ドイツ・レクイエム』の楽曲編成について
『ドイツ・レクイエム』について大まかに書いたところで、楽曲編成を紹介します。ん??。構成の順番間違えたかも・・・。まぁ、リライトの時に直します(笑)。
それはさておき、1869年に完成された本作は7つの楽章で成り立っています。もちろん、覚える必要なんて全くないですが、ひとまずお付き合いを。
それぞれの楽章にタイトルがついています。()内は新・旧約聖書
- 第1楽章・・・悲しんでいる人々はさいわいである(マタイ・詩篇)
- 第2楽章・・・人は皆草のごとく(ペテロ・ヤコブ・イザヤ)
- 第3楽章・・・主よ、我が終わりと、我が日の数(詩篇・知恵の書)
- 第4楽章・・・万軍の主よ、あなたの住まいは(詩篇)
- 第5楽章・・・このように、あなた方にも今は(ヨハネ伝・シラ書・イザヤ書)
- 第6楽章・・・この地上に永遠の都はない(ヘブル書・コリント前・黙示録)
- 第7楽章・・・今から後、主に会って死ぬ死人は幸いである(黙示録)
こんな感じの構成です。『ドイツ・レクイエム』は宗教曲であるものの、ブラームス本人はあくまでも「演奏会用作品」として作曲したそうです。
その証拠に、ブラームスはこの作品を作曲するにあたり、「キリストの復活の関する部分は注意深く除いた」と語っています。
『ドイツ・レクイエム』の演奏
ここまで、ブラームスの『ドイツ・レクイエム』を簡単に紹介してきました。
難しいことはあまり気にせず、「ブラームスは『ドイツ・レクイエム』という作品を作曲した」ということだけでも覚えておいてくれればオッケーです(いや本当に)。
『ドイツ・レクイエム』の動画を探したのですが、こちらが良いかも。
荘厳にして壮大な傑作をお楽しみください!!。
個人的にはカール・リヒター指揮の演奏も好き。
まとめ
ブラームスシリーズもついに完結。結構良いペースだったんじゃないかな?と思ったけど、意外にそうでもない・・・。
室内楽についてもう少し書きたかったな〜とちょっと反省しています。
でも、またいずれかの機会に書いてみます。
最後に「3大レクイエム」を紹介して、ブラームスシリーズを終わりにします。
3大レクイエムその1、モーツァルトの『レクイエム』
堂々としたテンポ、迫力、すべてにおいて最高の演奏だと思う。超有名な「怒りの日」は9分55秒〜。
3大レクイエムその2、ヴェルディの『レクイエム』
次はヴェルディの『レクイエム』。モーツァルトとは異質な、「華やかさ」があります。こちらも「怒りの日」は有名。動画では11分10秒〜
3大レクイエムその3、フォーレの『レクイエム』
フォーレの最高傑作の一つ。敬虔な気持ちにさせてくれます。
ということで、今回はここまで。