3大ピアノソナタ(ベートーヴェン)とは?聴きどころや難易度、楽曲編成を簡単に解説!

ベートーヴェンの肖像

    この記事では、ベートーヴェンの3大ピアノソナタについて簡単に解説しています。
    ベートーヴェンは生涯で32曲のピアノソナタを作曲しており、
    なかでも今回紹介する3作はもっとも有名な作品として親しまれています。

    きっとどこかで聴いたことがあると思いますの、
    最後までお読みいただき、豆知識としてぜひ参考にしてください!

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    3大ピアノソナタとは?

    音楽に限らず、「3大〜」あるいは「4大〜」という言葉を耳にすることがあると思います。
    たとえば、クレオパトラ、楊貴妃、小野小町などの「世界3大美人」というのもありますね。

    同じように、ベートーヴェンのピアノソナタにも「3大ピアノ・ソナタ」があるんです。

    それが今回紹介する、ピアノ・ソナタ第8番『悲愴』、第14番『月光』、第23番『熱情』です。

    いずれの作品もベートーヴェンの初期・中期を象徴する傑作で、
    現在でも多くのピアノ学習者やクラシック音楽ファンに愛されています。

    ベートーヴェンにおける傑作であるばかりでなく、
    全ピアノ・ソナタの中でも最高峰の作品であり、
    ベートーヴェンのピアノ・ソナタはピアノの『新約聖書』と言われています。

    また、今回紹介する3曲とは別に、
    ピアノ・ソナタ30番、31番、32番「後期3大ソナタ」と称されているのも豆知識として覚えておいてください。

    そもそも、なぜこの3曲?

    ベートーヴェンのピアノ・ソナタにはほかにも『テンペスト』や『ワルトシュタイン』、『テレーゼ』などの優れた作品もあるのですが、
    『悲愴』『月光』『熱情』の3曲が選ばれた理由って気になりますよね?

    もちろん、ベートーヴェン自身が「この3曲が3大ピアノ・ソナタだ〜〜!」と宣言したわけではありません・・・。

    というか、自分で作品タイトルをつけることさえマレでした。

    ということで調べてみたところ、
    この3作を「3大ピアノ・ソナタ」としたのは、レコード会社の作戦だったのだそうです。

    今で言うところの「キャッチコピー」ですね。
    そしてこの戦略が功を奏し、以降「3大ピアノ・ソナタ」として定着することとなりました。

    とはいえ、楽譜出版も好評だったようなので、
    当時から傑作として知られていたことに変わりはありません。

    ということで、解説にいってみましょう。

    3大ピアノソナタその1、『悲愴』

    1曲目はピアノ・ソナタ第8番『悲愴』です。

    詳細な作曲年代は明らかになっていませんが、
    1798年から1799年ごろに作曲され、作曲後まもなく楽譜出版されました。

    本作の第2楽章はベートーヴェンのピアノ・ソナタでももっとも知られる楽章なので、
    1度は耳にしたことがあるかと思います。

    少し前になりますが、漫画(ドラマ)「のだめカンタービレ」の作中でも印象的に登場しますね。

    ベートーヴェンの初期を代表する作品であり、
    楽譜出版時にもとても好評だったと言われています。

    この時期のベートーヴェンはすでにピアニストとして名声を獲得していましたが、
    本作は作曲家ベートーヴェンを世に知らしめた作品としても重要です。

    また、チャイコフスキーの『交響曲第6番<悲愴>』の第1楽章には、本作の主題が用いられています。

    チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番

    「悲愴」の聴きどころや難易度は?

    『悲愴』が作曲された時期は、まさにベートーヴェンが難聴に悩まされ始めた時期とかさなります。

    そのため、難聴の苦悩になぞらえて『悲愴』というタイトルが付けられたと思われるかもしれませんが、
    実際はそうではないようです。

    それよりも、本作はより人間としての「普遍的な悲しみ」を見事に表現しており、
    同時に、悲しみや苦しみを乗り越える「人気の強さ」を表現しています。

    第1楽章の重々しい冒頭部から徐々に生命の美しさに目覚め
    第2楽章で安らぎを、最終楽章で生の喜びをつかむ勇気が感じとれるでしょう。

    第2楽章

    「悲愴」の難易度について

    ベートーヴェンのピアノ・ソナタともなると、まったくの初心者が演奏できる作品はありません。

    いずれの作品においても、技術的に十分な習熟度が求められ、
    それ以上に内面の表現力が必要となってきます。

    ただ、『悲愴』ソナタをどうしても弾いてみたい!と言う方もいると思います。
    全音ピアノピースでは、全体の難易度が「D」の中級上とされていますが、
    第2楽章だけなら中級あたり(難易度C程度)なので、
    ソナチネに入った程度、あるいはツェルニー30番を練習しているようであれば、
    チャレンジしてみることをおすすめします。

    ピアノピースー146 ソナタ悲愴 Op.13 (全音ピアノピ-ス 146)

    3大ピアノソナタその2、『月光』

    3大ピアノ・ソナタの2つ目は、ピアノ・ソナタ第14番『月光』です。

    深淵で幻想的な第1楽章は、あまりにも有名です。
    本作が作曲されたのは、『悲愴」からおよそ2年後の1801年。
    ベートーヴェンがちょうど30歳の時の作品となっています。

    作曲当初は、ベートーヴェン自身により「幻想曲風ソナタ」という標題が付けられました。
    しかし、ドイツの詩人で音楽評論家のルートヴィヒ・レルシュタープが「月光ソナタ」とコメントしたことにより、「月光」の名が定着しました。


    といっても、真偽は定かではないようですが・・・。

    弟子のツェルニーはこの作品について、
    「夜景、遥か彼方から魂の悲しげな声が聞こえる」と述べています。

    またこの時期のベートーヴェンは、教え子だった当時17歳のジュリエッタ・グイチャルディに恋をしており、二人は結局結ばれなかったものの、
    『ピアノ・ソナタ第13番』と本作『月光』ソナタはジュリエッタに献呈されています。

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    「月光」の聴きどころや難易度は?

    この作品も『悲愴』と同様、ベートーヴェンを象徴するピアノ・ソナタの1つです。
    とくに第1楽章の幻想的なメロディーは、ピアノ曲屈指の名曲といえるでしょう。

    ドビュッシーの『月の光』で表現される直接的な月明かりの印象というよりは、
    雲の間に見え隠れする月の光が、カーテン越しに部屋に差し込む雰囲気が本作の世界観を物語っています。

    そして第3楽章では一変して、スピード感に溢れ、すべてを押し流す滝のような力強さが特徴的で、まさにベートーヴェンの高揚感の表れと言えるでしょう。

    第3楽章

    「月光」の難易度について

    「月光」の難易度はどの程度なのでしょうか。

    こちらも全音ピースで調べたところ、難易度E(上級)に設定されています。
    ということは、残念ながらソナチネのレベルでは演奏は困難です。

    難易度Eの他の作品を挙げると、
    ・バッハ『トッカータとフーガ ニ短調
    ・リスト『ラ・カンパネラ
    ・ショパン『幻想即興曲
    などがあります。

    少なくともモーツァルトのピアノソナタ、あるいはすでにベートーヴェンのピアノソナタを数曲弾きこなすレベルが必要とされます。

    しかしこの難易度を上げているのは、おもに第3楽章。

    そのため、有名な1楽章だけでも弾きたい!という方であれば、
    演奏は十分に可能です。

    1楽章の難易度は、だいたい「B」(初級上)なので、
    比較的取り組みやすいと思います。

    ピアノピースー001 月光の曲/ベートーベン

    3大ピアノソナタその3、『熱情』

    フォルテさんの演奏

    3大ソナタのラストは、ピアノ・ソナタ第23番『熱情』です。

    1804年に作曲され、1807年に楽譜が出版されたベートーヴェン中期を代表する傑作です。

    1802年には、死を覚悟した「ハイリゲンシュタットの遺書」を書いた後とはとても思えません・・・。

    「熱情(アパショナータ)」というタイトルは、これまたベートーヴェン自身によるものではなく、ハンブルクで出版商人をしていたクランツという人物が出版の際につけたものと言われています。

    また、この時期のベートーヴェンは傑作を次々と発表しており、
    同時期に発表したものとして、
    交響曲第3番「英雄」
    ヴァイオリンソナタ「クロイツェル」
    ピアノソナタ21番「ワルトシュタイン」
    などが挙げらます。

    作家ロマン・ロランが指摘した通り、
    この時期のベートーヴェンはまさしき「傑作の森」であり、
    後期への転換点でもありました。

    ベートーヴェンが付けたものではないとはいえ、作品の雰囲気を的確に表現した良いタイトルですね。

    ピアノピースー153 ソナタ 熱情/ベートーベン

    新しいピアノが作曲の可能性を広げた

    この作品が作曲される前年の1803年、
    ベートーヴェンはフランスのエラール社より新しいピアノが贈られています。

    このピアノの特徴は、なんといっても「音域の広さ」と「頑丈さ」
    5オクターブ(68鍵)まで音域が広がったことで、作曲の可能性も大幅に広まり、より複雑で力強い演奏が可能となりました。

    今のピアノの形に近づいたわけですね。
    とはいえ、完成形までにはもう少し時間がかかりますが・・・。

    ちなみに、現在のピアノの鍵盤数は基本的に88鍵ですので、
    こちらもぜひ覚えておいてください。

    「熱情」の聴きどころや難易度は?

    3楽章で構成される「熱情」ソナタは、1楽章・3楽章ともにアレグロのテンポで指定されており、音楽も目まぐるしく変化します。

    とくに第1楽章では、交響曲第5番「運命」の動機が何度も登場し、
    ベートーヴェンも溢れる熱情が、運命動機で巧みに表現されています。

    沸々と地底でマグマが湧き立ち、
    第2楽章で落ち着きを見せたかた思いきや、
    第3楽章で大噴火する。

    そんなイメージで聴いてみてください。

    「熱情」の難易度は?

    「熱情」の難易度も気になる方がいるかと思います。
    こちらも「月光」と同じく、初めてから数年程度のキャリアでは到底演奏することはできません。

    それどころか、音大生レベルでも大変苦労する(技術・表現において)作品と言えるでしょう。

    さらに「悲愴」や「月光」と大きく異なる点は、
    弾きやすい楽章ないこと

    しいてあげれば2楽章が弾きやすいですが、
    残念ながら「易しい」とは言えません・・・。

    また、全音の難易度を見ると、上級上の難易度「F」に指定されています。
    A〜Eまでの難易度とは違い、難易度「F」以上は難しさに上限がないため、
    演奏にはあらゆる高度なテクニックが必要となります。

    もし挑戦する場合は、習っているピアノの先生とよく相談することをおすすめします。
    いつかは弾いてみたい憧れの曲ですね!

    ベートーヴェン 3大ソナタ「悲愴」「月光」「熱情」

    3大ピアノソナタのまとめ

    ということで、今回はベートーヴェンの3大ピアノソナタをざっくり解説しました。

    ひとまず、「悲愴」「月光」「熱情」の曲名だけでも覚えてくれたら、
    バッチリです。

    ベートーヴェンの作品はどの作曲家にも増して奥深く、まさにクラシック音楽の頂点ともいえる作品ばかりです。

    これまできちんと聴いたことがない方も、
    この記事をきっかけに、一人でも多くの方が作品に触れていただければ幸いです。

    あっ!後期3大ピアノソナタについてはまた今度。

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