今回はシベリウスのおすすめ作品を9つ紹介します。
フィンランドの国民的作曲家の作品にはどのようなものがあるのでしょうか。シベリウスは代表作「フィンランディア」以外にも隠れた名曲を多く作曲していますので、今回の記事も是非今後の教養として参考にして下さい!!
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シベリウスのおすすめ名曲9選
クラシックファンでない方にとっては、ただでさえマニアックな作曲家ですが、シベリウスはその生涯で交響詩や交響曲、協奏曲など多くの名曲を残しています。今回はその中から僕の独断と偏見により、9作品を紹介します。
シベリウスのおすすめ1、交響詩「エン・サガ」
シベリウスは生涯で13曲の交響詩を作曲しました。交響詩のジャンルはフランツ・リストにより花開きましたが、シベリウスの交響詩も音楽史上で重要な位置を占めています。
交響詩「エン・サガ」は1892年に作曲。
1893年にシベリウス自身の指揮によりヘルシンキにて初演されました。
シベリウスの交響詩の中でも最長で、演奏時間はおよそ20分です。
妻アイノと新婚旅行で訪れた、
フィンランド南東部の街・カレリアでの体験に着想を得て作曲されたと言われています。
タイトルの「エン・サガ」とはスウェーデン語で「ある伝説」を意味し、
初期シベリウスの代表作として今日でも演奏機会の多い作品です。
シベリウスのおすすめ2、「交響曲第1番」
1899年に作曲され、同年シベリウス自身の指揮によりヘルシンキにて初演されました。一説によると、ベルリンで聞いたベルリオーズの「幻想交響曲」に感銘を受けた作曲されたそうです。
初演は大成功を収めましたが、翌1900年に改訂がなされています。
演奏時間はおよそ40分で、4楽章構成となっています。
作品に標題は付されてないものの、
各楽章が「交響詩風」であるのが特徴です。
第4楽章には「幻想風に」という、シベリウスによる注意書きが添えられています。
最初の交響曲ということもあり、
チャイコフスキーやボロディンなどの影響が随所に出ています(この二人についてもいつか解説します)。
シベリウスのおすすめ3、「交響曲第2番」
次の作品は交響曲第2番です。シベリウスの交響曲作品でももっとも人気のある作品として、コンサープログラムでもよく取り上げられています。
前作の交響曲第1番で成功を収めましたが、
本作はそれにも増して大盛況となり、
初演後ただちに追加公演が決まったと言われています。
シベリウスが家族とともに渡ったイタリア旅行中にインスピレーションを受けた作品であり、
シベリウスはイタリアを「魔法がかかった国」と絶賛したそうです。
全4楽章構成で、演奏時間は約50分です。
3楽章と4楽章が続けて演奏される「アタッカ」という技法が用いられいます。
シベリウスのおすすめ4、組曲「カレリア」
シベリウスの組曲の一つです。作曲当初はヘルシンキ大学の学生団体からの「音楽劇」と作曲され、のちに3曲の組曲として編曲されました。
1893年の野外劇初演は成功とはならず、
シベリウスが「失敗作」として楽譜を破棄したと言われています。
作品は上記の交響詩「エン・サガ」と同じく、
カレリアに訪れた際の体験が元とされ、
カレリア地方に伝わる13世紀から19世紀の歴史的背景をテーマにした民族的主題が特徴です。
本作は三つの作品で構成されています。
シベリウスのおすすめ5、「悲しきワルツ」
「悲しきワルツ」は、アルヴィド・ヤルネフェルトの戯曲「クオレマ」の劇付随音楽から抜粋され、1904年に初演されました。
シベリウスの作品でも比較的演奏頻度の高い作品で、
代表作の一つとして人気の作品です。
タイトルの通り哀愁の漂う作品で、
シベリウスの深い精神性が表現されています。
シベリウスのおすすめ6、「トゥオネラの白鳥」
「フィンランディア」と並ぶシベリウスを代表する交響詩です。
フィンランドに伝わる叙事詩『カレワラ』に登場する人物・レンミンカイネンをテーマにしています。
交響詩集「レンミンカイネン組曲」の1曲であり、シベリウスの交響詩として大変人気がありあます。レンミンカイネン組曲は4つの作品で構成され、「トゥオネラの白鳥」は組曲の2番目です。組曲の構成は以下の通り。
1、「レンミンカイネンと鳥の娘たち」
2、「トゥオネラの白鳥」
3、「トゥオネラのレンミンカイネン」
4、「レンミンカイネンの帰郷」
叙事詩「カレワラ」の持つ幻想性が、余すことなく表現されています。
1896年にシベリウス自身の指揮で初演されました。
シベリウスのおすすめ7、「交響曲第7番」
1910年代の半ばから構想が練られ、1924年に完成したシベリウス最後の交響曲です。
同年3月にストックホルムでシベリウスの指揮により初演されました。一般的な交響曲とは異なり、「単一楽章」で構成された珍しい作品です。
発表当初は「交響的幻想曲」の標題が付されていたそうです。
単一楽章の中にソナタ形式やスケルツォなどが展開し、音楽が目まぐるしく変化するのが特徴です。シベリウス作品の集大成とも言えるでしょう。
ダイナミックでありながら、瞑想的な雰囲気も併せ持つ奥深い作品だと僕は思っています。
演奏時間は25分程度と短いので、交響曲としては聴きやすい作品です。
シベリウスのおすすめ8、「ヴァイオリン協奏曲」
シベリウスを代表する1曲です。僕も学生時代何度も聴いた思い出であります。
1903年に作曲され、1905年に改訂版が出され、現在では改訂版が演奏れています。
1905年に改訂したのは、この年に聴いたブラームスの「ヴァイオリン協奏曲」に感銘を受けたのが理由だそうです。
シベリウスを代表数作品であると同時に、
20世紀クラシック音楽におけるバイオリン協奏曲の代表作でもあります。
現在では名曲と評されていますが、発表当時の評価はそれほど高くなく、
「美しい部分が多々あるものの、全体として冗長である」という評価が多かったとのこと。
作品は一般的な「緩ー急ー緩」の3楽章で構成され、
雄大なフィンランドの大地を思わせる作風が特徴です。
シベリウスのおすすめ9、「ペレアスとメリザンド」
シベリウスが1905年に作曲した、劇付随音楽およびそこから抜粋された組曲です。
今日では、組曲の方がおもに演奏されています。
このタイトルをみて「??」と思われた方もいるのではないでしょうか。
そう、全く同じタイトルの作品を先日取り上げたフォーレも作曲しています。フォーレの「ペレアスとメリザンド」についてはこちらに書いています。
簡単に言うと、スウェーデン語版の「ペレアスとメリザンド」に音楽を付けたのが、
シベリウスだったという理解で大丈夫です。
劇の上演後、シベリウスは劇付随音楽から8曲を抜粋し組曲に編曲しました。
演奏時間は25分程度なので、フォーレの作品と聴き比べてみるのも面白いと思います。
ちなみに、シェーンベルクとドビュッシーも同タイトルの作品を作曲しています。
シベリウスの作風や特徴について
シベリウスの作品の特徴とはどんな点にあるのでしょうか。簡単に紹介します。
交響曲、交響詩など作品がさまざま
シベリウスの作品と言えば、愛国歌である「フィンランディア」が真っ先に挙げられます。
しかし、生涯で100曲以上を作曲したシベリウスは、
7つの交響曲や13の交響詩、ピアノ曲、歌曲、弦楽四重奏など多岐にわたるジャンルの作品を作曲しています。
とりわけ交響詩の作品に定評があり、
同じく交響詩を得意としたリヒャルト・シュトラウス並び、
重要な人物として音楽史に名を連ねています。
初期の作品では、ロマン派の強い影響がうかがえるものの、
フィンランドの叙事詩「カレワラ」の影響後は、
フィンランドの民族音楽を主題とした名作を多く作曲しています。
フィンランド国民の民族性を鼓舞させた
上記のように、シベリウスの作品でもっとも人気のある作品は「フィンランディア」ですが、当初は「新聞の日」を祝うための作品の一つとして発表されました。
その後1940年に「フィンランディア」に歌詞が付けられると、
その力強い旋律と相まってたちまちフィンランド国民の愛国精神を呼び覚ます作品となり、
現在ではフィンランド第2の国歌として愛されています。
まとめ
シベリウスの作品を聴くと、ファインランドの雄大な大地や海が目の前に広がるような気がします。
特に今回紹介したヴァイオリン協奏曲などは、その最たる作品ではないでしょうか。
もし今回の記事でシベリウスに興味が湧きましたら、ぜひ動画演奏も見てみてくださいね!
それでは次回は、「フィンランディ」と「クレルヴォ交響曲」を紹介します。