モーツァルトの幻想曲ハ短調の難易度を解説!楽譜も紹介!

幻想曲

    この記事ではモーツァルトの幻想曲ハ短調の難易度について解説します。
    本作は、その自由な形式とドラマティックな展開で知られるピアノ曲の一つです。

    幻想曲というジャンルの特性を活かし、形式に縛られずに展開する本作は、モーツァルトの独創性が光る名曲です。

    ピアノを練習している方の中には「一度は弾いてみたい」とお考えの方も多いと思います。
    しかし一方で、「どれくらい難しい?」「難易度は?」と疑問に思われている方もいることでしょう。

    そこで本記事では、この幻想曲の歴史的背景や曲の構成、難易度の解説、そしておすすめの演奏まで詳しく紹介します。

    最後に楽譜も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください!

    画像出典:アマゾン:モーツァルト:ピアノ・ソナタ集 第5巻 (第14番・第17番・第18番/幻想曲ハ短調 K.475)

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    モーツァルトの幻想曲ハ短調について

    ピアノ

    モーツァルトがこの曲を作曲したのは1785年5月20日、ウィーンにおいてでした。
    同年12月に「作品11」として、『ピアノソナタ第14番 ハ短調 K.457』とセットで出版されました。
    この2曲は、モーツァルトの弟子でありパトロンでもあったテレーゼ・フォン・トラットナーに献呈されています。

    本作の特徴は、ソナタのような明確な構成を持たず、即興的な雰囲気を大切にしている点。C.P.E.バッハの幻想曲の影響が指摘されることもあり、モーツァルトの自由な発想が色濃く表れています。

    C.P.E.バッハ・・・カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ。大バッハの次男(最初の妻バーバラとの子です)

    歴史的背景や作曲の経緯

    モーツァルトがこの幻想曲を作曲した1785年は、彼がウィーンで作曲家・ピアニストとして活躍していた時期にあたります。

    亡くなるおよそ6年ほど前の作品で、当時のモーツァルトは金銭的に困窮していたとも言われています。

    本作が短調で描かれ、冒頭のメロディーになんとなく影を感じるのは、そうしたモーツァルトの状況を表現しているのかもしれません。

    その他、当時のウィーンでは、即興演奏が非常に重視されており、演奏家は即興で曲を作る能力を求められました。モーツァルトもその例外ではなく、彼自身の即興演奏のスタイルを反映した作品がいくつもあります。

    この『幻想曲ハ短調 K.475』もその一つであり、厳格なソナタ形式を取らず、自由な発想で展開されるのが特徴です。

    また、この曲が『ピアノソナタ第14番 ハ短調 K.457』と一緒に出版されたことから、幻想曲がソナタの前奏曲的な役割を果たす意図があったと考えられています。

    ピアノソナタ14番/出典:YouTube

    曲の構成と特徴

    • 演奏時間は約12分程度。
    • 「アダージョ」「アレグロ」「アンダンティーノ」「ピウ・アレグロ」の4つの速度が用いられており、新しい主題ごとにテンポが変更される。
    • 転調が多く、臨時記号を多用する独特の和声感。

    アダージョ・・・ゆるやかに、かなり遅く

    アレグロ・・・急速に

    アンダンティーノ・・・アンダンテより速く

    ピウ・アレグロ・・・常に速く

    モーツァルトの幻想曲ハ短調の魅力や聴きどころ

    この幻想曲の最大の魅力は、その自由な展開とドラマティックな表現です。
    モーツァルトの作品の中でも特に感情の起伏が激しく、幻想曲というジャンルの特性を活かして、まるで即興で作曲されたかのような自然な流れを持っています。

    1. 冒頭のアダージョ – 深みのあるハ短調の和音で始まり、荘厳な雰囲気。
    2. アレグロ部分の激しい展開 – 転調が多く、不安定な和声が緊張感を生み出します。
    3. アンダンティーノの穏やかさ – 変ロ長調に転じ、穏やかで優美な雰囲気が漂う。
    4. ピウ・アレグロのフィナーレ – 劇的な展開を経て、冒頭のテーマが回帰することで、統一感のある締めくくりとなります。
    幻想曲ハ短調の冒頭部分/出典:wikipedia

    幻想曲ハ短調の難易度やポイント

    モーツァルトの「幻想曲ハ短調」の難易度は?

    この曲の難易度は、初級上〜中級程度とされていますが、表現力の要求が高いため、演奏の難しさはそれ以上に感じるかもしれません。

    特にテンポの変化が多く、即興的な自由さを持ちながらも、全体の構成を見失わないようにする必要があります。

    全音ピアノピースでは難易度「B」に設定されていますが、個人的には「Bじゃないな」というのが感想。「Cの上」「Dの下」くらいが適切かなと思います。あくまでも技術面のみですが。

    演奏する際には以下のポイントを意識しながら練習してみてください。

    演奏のポイント
    • テンポの変化に対応する – 各セクションごとに異なるテンポが指定されており、それぞれのキャラクターをしっかりと出すことが大切です。
    • 転調に注意する – 曲中で頻繁に転調するため、調性感を見失わないように練習することが重要です。
    • ダイナミクスを意識する – モーツァルトの音楽は細やかな表現が求められるため、強弱のコントラストをしっかりつけることがポイントです。

    モーツァルトの幻想曲ハ短調:おすすめ演奏3選と楽譜紹介

    1.アンドラーシュ・シフ

    モーツァルトの透明感のある響きを最大限に引き出す演奏。
    個人的にはシフさんのバッハもおすすめ。

    出典:YouTube

    2.内田光子

    繊細なタッチと表現力が光る演奏。まさにお手本とも言うべき完璧さ。

    出典:YouTube

    3. マリア・ジョアン・ピレシュ

    力強さと洗練された音色が特徴的。

    モーツァルトの幻想曲ハ短調の楽譜

    モーツァルト集3 (世界音楽全集ピアノ篇)

    本作の他、きらきら星変奏曲や幻想曲二短調など、さまざまな曲を収録されています。
    ケース付きなので、長く愛用できる点も良し。

    ピアノピース-247 幻想曲ニ短調/モーツァルト

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    モーツァルトの幻想曲ハ短調の難易度:まとめ

    1. モーツァルトの「幻想曲ハ短調 K.475」は1785年に作曲された。
    2. 『ピアノソナタ第14番 ハ短調 K.457』と共に出版され、プロローグ的な役割を果たしている。
    3. ソナタ形式を取らず、自由な構成で展開される。
    4. 各セクションでテンポが変化し、ドラマティックな展開を見せる。
    5. 難易度は初級上〜中級程度だが、表現力が求められる。
    6. 3名のおすすめ演奏家動画を紹介。
    7. 楽譜の紹介もあり。

    以上のポイントを押さえながら、幻想曲ハ短調 K.475の魅力をぜひ堪能してください!
    こちらの記事でもモーツァルトの作品を解説しています。

      ピリス