ハイドンの代表曲おすすめ8選。作品の特徴や最高傑作を簡単にまとめ解説!

ハイドン

    この記事では「交響曲の父」として知られるハイドンの代表曲を紹介します。
    とはいえ、膨大な作品数を誇るハイドン作品の中から8曲は少ないですが・・・。

    なので、今回は紹介する作品の解説中に、他の作品の解説も交えながらお届けします。
    ということで、実質は15曲〜20曲くらいになると思いますが、
    ご参考にしていただけば幸いです。

    また、この記事は前回の「ハイドンの生涯」記事とセットでお届けしています
    そちらも併せてお読みいただくと、少しだけ理解が深まる可能性大です。

    ハイドンの生涯についてはこちらから。

    ハイドン

    いつものように、ざっくり解説なので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください!

    ハイドン
    画像出典:アマゾン:Haydn Complete Piano Music

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    ハイドンの代表曲おすすめ8選

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    膨大な作品を残したことで知られるハイドン。
    なんと交響曲だけでも100作以上の作品を作曲しています。
    「交響曲のおすすめ」だけでも10記事くらいになってしまいそうですが、
    今回も筆者の独断と偏見により、8曲をチョイスしました。

    「これからハイドンの作品を聴いてみようかな」と思っていただければ嬉しいです。

    承知しました。各番号項目ごとに、条件に沿ってまとめ直します。

    ハイドンの代表曲その1、交響曲第6番(ハイドン)『朝』

      交響曲第6番「朝」

      ハイドンの才能が花開いた傑作が交響曲第6番『朝』です。

      1761年頃、ハイドンはエステルハージ侯爵の下で副楽長として仕えることになりました。
      この機会を生かし、『朝』『昼』『夕』という三部作を手がけます。

      第6番はその第1作目にあたる作品で、朝の清々しさを見事に表現しています。

      興味深いのは、この三部作が標題音楽としてハイドンが書いた唯一の交響曲だという点。
      その後、彼は二度と標題交響曲を作曲しませんでした。

      楽団員の腕前を存分に披露するため、ハイドンは各パートに独奏を与えました。
      特筆すべきは、コントラバスを含むほぼすべての楽器に独奏箇所があること。
      これは当時としては画期的な試みでした。

      演奏時間はおよそ20分です。

      ハイドンの代表曲その2、交響曲第82番(ハイドン)『熊』

        交響曲第82番「熊」

        1786年、ハイドンは音楽の都パリを魅了する名作を生み出しました。交響曲第82番『熊』です。本作は、パリ交響曲と呼ばれる6曲のシリーズの1曲目として知られています。

        当時、パリでは新たな音楽団体「コンセール・ド・ラ・オランピック」が設立されました。
        彼らの依頼を受け、ハイドンは意欲的に作曲に取り組み、第82番から第87番までの6曲を完成させました。

        『熊』という愛称は、終楽章の冒頭にある特徴的な低音が由来と言われています。この音が、熊使いの音楽を連想させることから、後世の人々によってつけられました。

        パリ交響曲には以下のような作品もあります。
        第83番『めんどり』
        第85番『王妃』
        これらの作品は、聴衆と批評家から絶大な支持を得ました。

        ハイドンの才能はパリだけでなく、ウィーンやロンドンでも出版されるほどの人気ぶり。
        同時代の作曲家ルイジ・ケルビーニも、この交響曲集を高く評価しています。

        その3、交響曲第96番(ハイドン)『奇蹟』

        交響曲第96番「奇蹟」

        1791年に作曲されたのが、交響曲第96番『奇蹟』です。
        本作は、彼の晩年の円熟期を象徴する「ロンドン交響曲」の一つとして知られています。

        ロンドン交響曲は、1791年から1795年にかけて作曲された12曲のシリーズ。
        第93番から第98番までの6曲は、ハイドンの最初のロンドン訪問中に書かれました。
        残りの第99番から第104番は、2回目の訪問時に完成させています。
        『奇蹟』という愛称の由来には諸説あります。
        しかし、ハイドン自身がこの名前をつけたわけではないようです。

        一説によると、観客がステージ近くまで押し寄せた際、空席ができたところにシャンデリアが落ちてきて、誰も傷つかずに済んだことから命名されたと言われています。

        ロンドン交響曲には他に以下の作品があります。
        ・『驚愕』(交響曲第94番)
        ・『軍隊』(第100番)
        ・『時計』(第101番)
        ・『太鼓連打』(第103番)
        ・『ロンドン』(第104番)
        といった他のロンドン交響曲の愛称も、後世の人々によってつけられたものです。

        それまでのハイドンの作品より大規模な編成が特徴の他、第102番を除く5曲でハイドンは初めてクラリネットを取り入れました

        ハイドン:交響曲全集(33枚組)/Joseph Haydn: Symphonies 1-104

        ハイドンの代表曲その4、弦楽四重奏曲第3番(ハイドン)

          弦楽四重奏曲第3番

          1755年から1760年頃、若きハイドンは音楽の新境地を開拓していました。
          その過程で生まれたのが、弦楽四重奏曲第3番です。
          この作品は、彼の初期の才能を垣間見せる貴重な一曲といえるでしょう。

          当時、ハイドンの弦楽四重奏曲はまだ5楽章で構成されていました。
          これは、現代の4楽章構成とは異なります。
          彼自身も、これらの作品を「ディヴェルティメント」と呼んでいました。

          第3番の特徴は、その独特な構成にあります。
          通常、セレナーデ風の緩徐楽章を中央に置き、それをメヌエットと簡略なソナタ形式の急速楽章で挟む形式が一般的でした。

          しかし、この曲では第1楽章に緩徐楽章のアダージョが置かれています。

          若々しいハイドンの才能が楽しめる1曲です。
          演奏時間は15分程度となっています。

          代表曲その5、ロシア四重奏曲

            弦楽四重奏曲第39番「鳥」

            1781年、ハイドンは弦楽四重奏曲の歴史に新たな1ページを刻みました。
            それが「ロシア四重奏曲」と呼ばれる6曲の傑作です。

            この作品集により、弦楽四重奏曲は古典的な完成を迎えました。
            以後の多くの作曲家たちに影響を与え、「弦楽四重奏曲の父」としてのハイドンの地位を確立しました。

            特筆すべきは、若きモーツァルトへの影響です。
            この6曲に感銘を受けたモーツァルトは、2年以上の歳月をかけて「ハイドン・セット」と呼ばれる6曲の弦楽四重奏曲を作曲。ハイドンへの敬意を込めて献呈しました。

            モーツァルトは、完成した曲を1785年1月と2月、自宅に招いたハイドンの前で演奏。
            モーツァルト自身がヴィオラを担当したという逸話も残っています。

            その他のタイトル付き作品として、
            ・「冗談」(弦楽四重奏曲第38番)
            ・「ご機嫌いかが」(第41番)
            などがあります。

            ちなみに「ハイドン・セット」は👇の作品群です。

            モーツァルトによるハイドン・セット
            ハイドン:弦楽四重奏曲全集(CD25枚組)

            代表曲その6、エルデーディ四重奏曲(弦楽四重奏曲第75番~80番)

            第77番「皇帝」

              1797年、ハイドンが64歳の時の作品群で、エルデーディ四重奏曲として親しまれています。
              全6曲の構成で、後期の弦楽四重奏の傑作と言えるでしょう。

              2度のイギリス旅行を終え、ウィーンに戻ったハイドン。
              ヨーゼフ・エルデーディ伯爵の依頼を受け、この作品群を作り上げました。

              これらの曲は、直前に書かれた『アポーニー四重奏曲』をも凌ぐ評価を得ます。
              高度な書法と深い表現力が特徴的で、当時の作曲家たちに多大な影響を与えました。

              注目すべき作品として、第77番『皇帝』が挙げられます。
              第2楽章では、オーストリア帝国の国歌が変奏曲として用いられています。

              エルデーディ四重奏曲は、ハイドンの弦楽四重奏曲における集大成であり、
              まさに円熟期の名作です。

              その他のタイトル付き作品として、
              ・「五度」(弦楽四重奏第76番)
              ・「日の出」(第78番)
              ・「ラルゴ」(第79番)
              などがあります。

              Haydn: 27 String Quartets, Seven Last Words on the Cross

              ハイドンの代表曲その7、ピアノ協奏曲第11番(ハイドン)

              ピアノ協奏曲第11番

              本作は、ハイドンの鍵盤楽器協奏曲の中で唯一広く知られている曲として、特別な地位を占めています。

              興味深いのは、この曲がモーツァルトの影響を強く受けていることです。
              1781年頃、ハイドンはモーツァルトと親交を深めました。
              その結果、モーツァルトのピアノ協奏曲の要素がこの作品に多く見られます。
              「もうほとんどモーツァルトのピアノ協奏曲なんじゃないか」と思ってしまうような作品です。

              出版時の題名は『チェンバロまたはフォルテピアノのための協奏曲』。
              両方の楽器で演奏できるよう配慮されています。
              現代ではモダンピアノでの演奏が主流ですが、チェンバロやフォルテピアノ、
              さらにはハープでの演奏記録も存在します。

              ハイドン:協奏曲全集(6枚組)

              ハイドンの代表曲その8、ネルソン・ミサ

              ネルソン・ミサ

                1798年に作曲したハイドンを代表する宗教曲です。「ネルソン・ミサ」と呼ばれる本作は、
                14曲のミサ曲の中でも特に評価の高い一曲です。

                音楽学者H.C.ロビンス・ランドンは、この曲を「間違いなく、ハイドンによる作曲の中で最も素晴らしい作品だ」と絶賛しています。

                作曲当時、オーストリアはナポレオン軍の脅威に晒されていました。
                この緊張感がハイドンの創作に影響を与え、本作を「困苦の時のミサ」と名付けました。

                興味深いのは、この曲の初演と歴史的出来事の偶然の一致です。
                1798年8月1日、イギリス海軍提督ネルソンがナイルの海戦でフランス艦隊を撃退。
                その約1ヶ月半後の9月15日に、この曲が初演されました。

                力強い合唱と繊細な独唱が織りなす壮大な音楽世界に圧倒されること間違いなしで!
                演奏時間は約40分です。

                ハイドン:ミサ曲全集

                ハイドン作品の特徴

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                ここまでハイドンの代表曲を紹介しました。
                結局20曲以上の紹介となりましたが、関心のある作品から少しずつ聴いてみるのが良いでしょう。

                ハイドンの作品はどれも完成度が高く、
                そして何より「聴きやすさ」という意味では、古典派随一だと思っています。
                そんな洗練された天才、ハイドンの作品にはどのような特徴があるのでしょうか。
                以下では簡単に3つ紹介します。

                ハイドンの作品の特徴その1、あらゆるジャンルを網羅し1000曲以上作曲

                非常に多産な作曲家だったハイドン。
                しかし、ハイドンの偉大さは作曲数だけでにとどまりません。

                彼は当時存在していたあらゆるジャンルの形式に精通し、
                協奏曲やオペラ、宗教曲を含めてその作品数は1000曲を超えています。

                残念ながら、未完成や紛失してしまった作品もありますが、
                それでもその作品数は、他の作曲家と比較しても群を抜いていると言えるでしょう。

                ハイドンの人生は、大バッハと同様「音楽へ捧げられた一生」だったことがわかりますね。
                ちなみに、弟のミヒャエル・ハイドンも作曲家として有名で、彼もまた700曲以上の作品を残しています。

                作品の特徴その2、注目され始めたのは20世紀に入ってから?

                生前のハイドンは、オーストリアやロンドンで活躍し、
                とくにロンドンでは「演奏が聴かれない日はないほど」の人気を獲得しました。

                しかし、20世紀前半において、ハイドンの交響曲が演奏されるのは、
                後期の作品がいくつかあった程度だったそうです。

                ハイドンの交響曲は再び注目を集めるようになったのは、
                1968年から1972年にかけて、イギリスのデッカレーベル社が交響曲の全集を出してからのこと。

                これによりハイドンの認知度は急速に高まり、
                再び注目を集めるきっかけとなりました。

                クラシック音楽の歴史 (角川ソフィア文庫)

                作品の特徴その3、「弦楽四重奏曲の父」でもある

                ハイドンといえば「交響曲の父」として有名で、
                生涯で100曲以上(108曲)もの交響曲を作曲しました。

                これほどの交響曲を作曲した作曲家は、
                おそらくハイドン以外にはいないでしょう(多分)。

                しかしハイドンの凄さはこれだけではありません。
                彼は交響曲の他に80曲以上の弦楽四重奏曲を作曲しており、
                その業績により「弦楽四重奏の父」とも称されています。

                実際には偽作や編曲も含めての作品数と言われていますが、
                それでもその作品数は68曲に上り、ハイドンの多作さは室内楽にも発揮されました。

                作品の特徴その4、3大オラトリオの1つを作曲

                本ブログでは久々に登場の「3大〇〇」。

                ハイドンは生涯で14曲の宗教曲を残しましたが、
                なかでも、オラトリオ『天地創造』や『四季』が有名です。

                オラトリオとは、キリスト教ローマ・カトリック教会における宗教曲ですが、
                やがてドイツの作曲家にも採用されるようになりました。
                日本語では「生譚曲(せいたんきょく)」と訳されています。

                それはさておき。
                ハイドンの『天地創造』は、クラシック音楽における「3大オラトリオ」に数えられており、
                宗教曲の分野でも優れた功績を残したことがうかがえます。

                ちなみに、あとの2曲はヘンデルの『メサイア』とメンデルスゾーンの『エリア』です。
                これらの作品についても解説していますので、よろしければ👇をご参照ください。

                ハイドンの最高傑作について

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                これだけの作品から最高傑作を選ぶのは無理がありますが、
                今回は上述のオラトリオ『天地創造』を解説します。

                もちろん、毎度のことながら、これは筆者の独断と偏見によりますので、
                その点についてはあらかじめご容赦ください。

                オラトリオ『天地創造』とは

                ハイドン「天地創造』

                オラトリオとは、上述したように、キリスト教における宗教曲を指します。。
                そのため、内容は「旧約聖書」や「新約聖書」を題材とするのが一般的です。

                本作『天地創造』も「旧約聖書」の「創世記」と、
                イギリスの作家ミルトン『失楽園』を元に作曲されました。

                失楽園 上 (岩波文庫 赤 206-2)

                大成功を収めた二度目のロンドン滞在からウィーンへの帰国後、
                1796年から1798年にかけて作曲され、完成同年の4月にハイドン自身の指揮により非公開初演が行われました。

                その後、1799年に一般初演が行われ、拍手喝采の大成功だったそうです。

                演奏時間はおよそ1時間40分の3部構成で、
                神による天地創造の過程が描かれています。

                また、ウィーンでは、毎年開かれるニューイヤー・コンサートが有名ですが、
                本作『天地創造』も、新年の初めの演奏会の恒例レパートリーとして有名です。

                ハイドン:天地創造(CD2枚組)

                ハイドンの代表曲おすすめまとめ

                今回はハイドンの代表曲や作品の特徴を紹介しました。
                この記事をきっかけに、少しでもハイドンの洗練された音楽に興味を持っていただければ幸いです。

                でも、あまりにも作品数が多いので、
                今度はまた別記事で紹介したいと思います。

                ということで、今回はここまでです。

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