前奏曲「鐘」の難易度を簡単解説。手が小さくても弾ける?おすすめ楽譜は?

    今回はラフマニノフの代表作、前奏曲「鐘」について解説します。

    ラフマニノフの作品は音符が多く、難易度が高い作品が多いことでも知られています。

    そんな中でも、比較的演奏しやすく、
    もっとも親しまれている作品が『前奏曲嬰ハ短調』通称「鐘」です。

    このブログの読者の方の中にも、
    目標としている人もいるかもしれませんんね。

    また、演奏効果も高くこの作品が弾けるだけで「すごい!!」と思われること間違いなしです。

    この記事では、作品の難易度や楽譜、参考動画もアップしていますので、
    ぜひ最後まで読んで下さい。

    Rachmaninov: The Complete Works

    ラフマニノフの生涯やおすすめ作品についてはこちらから

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    前奏曲嬰「鐘」の解説

    冒頭の「鐘の響き」と重厚な和音が印象的な前奏曲「鐘」
    以下では、本作についてざっくりと解説します。
    難しいことは一切ない(ハズ)なので、演奏の参考や豆知識として参考にしてくださいね!。

    熱狂を巻き起こした初演

    前奏曲「鐘」はラフマニノフのピアノ曲の中でももっとも有名な作品の1つです。
    その完成度の高さから、円熟期の作品のように感じますが、
    作曲したのは、モスクワ音楽院卒業後すぐのことでした。

    ラフマニノフは1891年にピアノ科を、1892年には作曲家も卒業しており、
    この作品は全5曲からなる『幻想的小品集』の2曲目に収められています。

    モスクワ電気博覧会の祝賀会において、ラフマニノフ本人によって初演が行われ、「熱狂を巻き起こした」と大評判となりました。

    ラフマニノフにとって本作は大出世作だったのですが、その後「ある事情」により長いスランプに陥ることに・・・。

    それは別の話として。
    本作は、フィギュアスケートの浅田真央選手が用いたことでも話題になったので、作品名は知らなくても聴いたことがある人は多いのではないでしょうか。

    『幻想小品集』について

    前奏曲「鐘」について解説しているので、『幻想小品集』についても紹介します。

    「こんな曲があるんだな〜」というくらいの理解で全然OKです。

    幻想小品集の曲目

    1曲 悲歌(エレジー)

    2曲 前奏曲(本作)

    3曲 メロディ

    4曲 道化役者

    5曲 セレナード

    この中では、第1曲『悲歌(エレジー)』も有名ですね。

    もちろん、楽譜も入手できますよ!

    ピアノピースー262 エレジー/ラフマニノフ

    ラフマニノフ 幻想的小品集

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    前奏曲「鐘」の豆知識

    音楽院を卒業後、いきなり大ヒットを生み出したラフマニノフ。
    この作品で、大きな収入を得たと思いきや、
    現実はそうはいかなかったようです。

    今からおよそ130年前の時代は、著作権に対する意識が現在のようにしっかりしておらず、出版社から十分な印税を受け取ることができなかったそうです。

    調べてみたところ、本作を含む『幻想的小品集』で受け取った金額は、わずか40ルーブル。現在のおよそ1.64ドルほどだったとか。

    2023年現在の日本円に換算すると、およそ230円・・・。
    これにはラフマニノフ本人も相当がっかりしたでしょうね。

    ラフマニノフ本人はこの作品が嫌いだった?

    豆知識をもう一つ。
    じつは、ラフマニノフ本人はこの作品をあまりよく思っていなかったという話があります。
    というのも、演奏会ではこの作品ばかり要求されたため、少しうんざりしていたのだとか。「他の作品の存在感が薄くなる」ことを気にしていたようです。

    もちろんそんなことはありませんが、同じ作品ばかり要求されたら、たしかにうんざりするのも頷けますね。

    前奏曲「鐘」の難易度は?

    気になる難易度はどの程度なのでしょうか?

    全音楽譜出版では、難易度「D」に指定されています。
    難易度「D」は「中上級」とのこと。

    他の作品をいくつか見てみると、
    ・バッハ『フーガト短調』
    ・モーツァルト『きらきら星変奏曲』
    ・シューベルト『即興曲』
    ・ショパン『華麗なる大円舞曲』
    ・フォーレ『シシリエンヌ』

    などが難易度「D」のようです。
    もちろん、作品ごとに必要な練習や特徴が異なるので、
    一概にはいえませんが目安として覚えておくと良いでしょう。

    「中上級」であれば、趣味でピアノを弾いている方でも、十分弾けると思います。
    「カッコよく弾きたい!!」という気持ちはわかりますが、
    焦らずに、部分練習や和音の解析にじっくり取り組むことが大切です。

    和音をしっかり押さえるのがポイント

    前奏曲「鐘」は、全部で62小節しかない短い作品です。

    しかし、和音が多く楽譜が複雑。
    さらに、迫力ある演奏のためには、どれだけしっかりとした「フォルテ」を出せるかが大切です。この作品では和音が「鐘」を象徴しているため、
    全ての音を均等に響かせる練習を心がけてみてください!

    中間部の三連符は指が滑りやすいデンジャーポイント。
    ここも正確に弾けるまでは、ゆっくりと反復練習すると良いでしょう。

    手が小さくても弾ける?

    ラフマニノフは身長2メートルの大柄で、とても大きな手の持ち主でした。
    どれくらいかというと、オクターブを超えて12度まで届いたと言われています。12度は「ドから1オクターブ上のソ」までの音です。

    そのため、前奏曲「鐘」も手の広がりが求められますが、
    指が届かない場合もあると思います(女性に多いかな?)。

    その場合は音階やアルペジオ、などの練習を徹底したり、
    オクターブのトレーニングをすると良いでしょう。

    どうしても手が届かない場合は、習っている先生と相談しながら、
    音を1つ省いて弾くことも相談してみてくださいね!

    ピアノピースー261 前奏曲嬰ハ短調/ラフマニノフ

    ラフマニノフ 前奏曲集 作品3-2・作品23・作品32 解説付

    前奏曲「鐘」、今は弾けないけど・・・

    演奏効果が高いのも、前奏曲「鐘」の魅力の1つ。

    そのため、「いつか弾いてみたいな」と考えている人も多いハズ。

    たとえ、現在のレベルでは弾けないとわかっていても、
    楽譜を持っているだけでも、モチベーションに大きく影響します。

    CDを聴きながら、楽譜を追うのもとっても勉強になるので、
    まだ持っていない方は、楽譜だけでも買っておくのも良いかもしれません。

    「あっ!少し上達したな〜」と思ったタイミングで、少しずつ練習するのもピアノの醍醐味です

    前奏曲「鐘」の動画

    人気ピアニスト兼ユーチューバーのフォルテさんの「鐘」です。
    前半にコンパクトな解説をしてくれているので、ぜひ参考にしてみてください!

    「楽譜買うのめんどくさい!」という方にはコチラ。
    作品の雰囲気を知るにはバッチリです。

    ラフマニノフ自身の演奏です。
    本人の演奏だと思うと、なんだか感慨深いですね!

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