フランツ・リストのおすすめ代表曲10選。作品の特徴も簡単に解説!

    今回は「ピアノの魔術師」、フランツ・リストのおすすめ作品を筆者の独断と偏見により紹介します。

    リスト好きの筆者としては、10曲では収まらないのですが・・・。あまり長く書き過ぎても飽きられてしまうので、できるだけコンパクトに紹介したいと思います。

    今回紹介する作品には有名作品も含まれていますので、「この曲知ってる感」が得られるハズ。

    毎度のことながら参考動画も紹介しますので、解説と併せてお楽しみいただければ幸いです。

    リストの生涯についてまだ読んでいない方はこちらから!!

    出典:Amazon[フランツ・リスト/交響詩集第2集]

    リストのおすすめ作品10選

    ピアノ曲、交響詩、室内楽、歌曲、宗教曲とほぼ全ての分野に作品を残したリストですが、紹介したい作品がほぼピアノ曲に偏ってしまいました・・・。

    なのでいつかリライトで他の作品について書き足すかもしれません。

    リストのおすすめ1、超絶技巧練習曲第4番「マゼッパ」

    リストの超絶技巧練習曲の中でも特に有名な作品です。ドラマにもなった「のだめカンタービレ」にも出てきてましたね。

    ピアノ曲以外にも管弦楽版(交響詩版)があり、そちらもしばしば演奏されます。でもなんと言っても、ピアノ版の豪華さと華やかさ、狂おしいほどの難曲さがたまりません。

    「マゼッパって何?」と疑問に思った方もいると思います。このタイトルはフランスの文豪ヴィクトル・ユーゴー(『レ・ミゼラブル』の作者)による同名の叙事詩から付けられました。

    腕が2本しかないのに、楽譜が3段になってるという激ムズピアノ曲です(個人的には同練習曲の「鬼火」はもっと難しいと思う)

    リストのおすすめ2、メフィストワルツ1番

    こちらもリストのピアノ曲としては外せないかなと・・・(あくまでも筆者はです)。

    「マゼッパ」と同じく、「のだめカンタービレ」で、主人公のだめが町の居酒屋で突然弾き出したことで話題になりましたね。1番から4番まで作曲され、なかでも本作1番が特に有名です

    どんな感じの楽譜なのか、分かり易い動画がありましたので機会があればぜひ見てください。
    もちろん、「メフィストワルツ」も激ムズですよ〜。

    筆者も大昔に挑戦した記憶があります🎹(今は昔ですが)。

    作曲の理由について調べてみたところ、リストはファウスト伝説に強い関心を持ってからだとか。

    その後、ハンガリーの詩人ニコラウス・レーナウの詩にインスピレーションを得て、「メフィストワルツ」を作曲するに至ったそうです。

    リストのおすすめ3、ハンガリー狂詩曲2番

    こちらも聴いたことのある人あ結構多いかもしれません。動画はまたも辻井さんの演奏です。

    ハンガリー出身でありながら、ハンガリー語を話せなかったリスト。

    しかし、祖国ハンガリーの民族性を生涯忘れず、作品を通して、自らの祖国への望郷の念を表現しました。

    その代表的作品が「ハンガリー狂詩曲」。紹介した2番が超有名ですが、実は19曲もあります。

    狂詩曲とは、民族的・叙事詩的な内容を表現した作品のことです。

    作品の後半には「カデンツァ」部分が導入されており、ラフマニノフ版などいくつかの版があります。

    ※カデンツァとは、クラシック音楽における「即興部分」です。結構クラシックでも即興演奏って多いんですよ〜。オルガン曲とか、即興演奏が醍醐味の一つになっているくらい。

    この曲にも管弦楽版があります。念の為こちらです↓

    カラヤン指揮、管弦楽版も良き。

    リストのおすすめ4、ピアノ協奏曲第2番

    筆者は「協奏曲好き」なので、このピアノ協奏曲も外せません。

    天才リストとしては割と作曲に時間がかかっていて、1839年に着手。1856年に補筆し、1861年にようやく決定版として完成しました。

    協奏曲といえば、普通3楽章くらいに分かれているのですが、この曲は1楽章構成となっています。その代わり、作品全体で6つの構成となっているのが特徴です(テンポとか拍子とか色々ね)。

    形式が限りなく自由だから、協奏曲に狂詩曲的な雰囲気が加わった印象を受ける人も多いかも・・・。

    20分くらいの短い作品ですが、構成が多様に変化するので結構楽しく聴けるのではないかと思います。

    リストのおすすめ5、バッハの名による幻想曲とフーガ

    1855年から1856年にかけてオルガン版が作曲され、同時進行でピアノ版も作曲されました。

    オルガンバージョン聴きたかったのですが、動画見当たらず・・・。

    作曲当初は「前奏曲とフーガ」のタイトルだったようですが、思いっきりバッハへのオマージュだったこともあり、考え直した後にこのタイトルに変更されました。

    バッハへのオマージュがどんなところにあるかというと、それは「前編を通してBACH主題が使用されている点」にあります。

    「BACH主題って何?」という方は、ちょい説明が長くなるのでよければこちらに飛んで読んでみてください!!(手抜きか)。

    演奏動画を見ていていつも思うのですが、「よくもまぁこんな難しい曲演奏できるな」と関心するばかり。

    調べてみたところ、吹奏楽版もあるようです。

    リストのおすすめ6、パガニーニによる大練習・6番「主題と変奏」

    リスト憧れのヴァイオリニスト、ニコロ・パガニーニの「24のカプリース(奇想曲)」からピアノ曲に編曲された作品。

    1838年に「パガニーニによる超絶技巧練習曲」を出版したリストですが、「難し過ぎて弾けない」ということで、1851年、難所を大幅に削った「パガニーニによる第練習曲」が出版されました。

    いやいや、これでも普通の人には激ムズすぎるのですが・・・💦。

    ちなみに、この曲集の第3番が有名な「ラ・カンパネラ」です(カンパネラについては次回)。

    演奏時間自体は5〜6分程度と短いものの、全11変奏の目まぐるしい展開が特徴です。

    有名なメロディーなので、聴いたことのある人も多いかも。

    ラフマニノフブラームスなんかもこの主題を元に変奏曲を残しています(いつか紹介します)。

    リストのおすすめ7、交響詩「前奏曲」(レ・プレリュード)

    ここまで気がついたピアノ作品ばかりになってました(汗)。

    「交響詩」という新しいジャンルを生み出したことでも知られるリスト。

    リストは生涯で13曲の交響詩を作曲し、なかでも交響詩「前奏曲」はその代表作として高い評価を受けています。

    「交響詩なのに前奏曲?」って感じだと思いますが、これはフランスの詩人ド・ラマルティーヌの「人生は死への前奏曲」という台詞から取られたものです。

    初演は1854年、作曲者自身の指揮によりワイマールで行われました。
    ワイマール時代のリストについてはこちらに書いてます!!

    構成は2つの主題を用いた4部構成で、演奏時間はおよそ20分です。

    第3部の牧歌的で穏やかなメロディーが筆者のオススメです(動画9:54秒〜)。有名なメロディーなので、聴いたことがある人も多いかも。

    リストのおすすめ8、ため息

    リストのピアノ曲の中でも、もっとも親しみのある作品の一つ「ため息」。

    筆者自身は弾いたことあありませんが、いつか挑戦してみたい1曲です。「3つの演奏会用練習曲」の3番目で、ワイマール時代に作曲されました。

    とても優雅で抒情的、色彩豊かな作品として、多くの人に愛されている名曲です。

    美しさの中に垣間見られる「儚さ」も、この作品の魅力かな〜と思います。

    1番から3番までのタイトルはそれぞれ、

    第1番・・・「悲しみ
    第2番・・・「軽やかさ
    第3番・・・「ため息

    となっています。作品タイトルはリスト自身がつけたものではなく、フランスで楽譜出版された際に、それぞれの作品にタイトルが付けられました。

    リストの作品には「練習曲」と名の付く作品が多いですが、ただの練習曲にとどまらず、「作品としても素晴らしい」のが特徴ですね(ショパンもそうですが)。

    リストのおすすめ9、ペトラルカの3つのソネット

    リストは意外にも歌曲も多く作曲していて、「ペトラルカの3つのソネット」はその代表作の一つです。

    1838年に作曲され、後にピアノ版にも編曲されています。

    リストのペトラルカといえば、「巡礼の年 第2年」のペトラルカを思い浮かべる人もいるかと思います(ちょいマニアック)。

    でも、その元となったのはこちらの歌曲です。

    歌曲でありながら、ピアノ伴奏にも豊かなメロディーが用いられているところが、リストっぽいなと思ってます。

    リストはマリー・ダグー伯爵夫人と恋仲になり、コジマを含む3人の子供に恵まれました。その間、2人はダンテやペトラルカの作品を一緒に読み、そこからインスピレーションを得て本作が完成したと言われています。

    なんともロマンチックな歌曲ですので、ぜひ一度聴いてみてください!

    リストのおすすめ10、小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ

    最後を飾るのは(本当はもっと紹介したいですが)、リストのローマ時代の傑作「2つの伝説」より、「小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ」を紹介します。

    晩年になるにつれ信仰心が深まったリストは、聖書や伝説にまつわる作品を多く残しています。

    この作品もその一つで、「フランチェスコが小鳥たちに説教を始めると小鳥たちは聴き入り、フランチェスコの切った十字に従って四方に飛び去っていった」という有名な伝説を描いた作品です。

    フランチェスコは、12世紀に生まれた中世イタリアにおける最も重要な聖人。カトリックのフランシスコ会の創設者として知られる。

    若かりし頃のように、ド派手で超絶技巧は用いられておらず、ささやかに小鳥に説教をする様子が見事に表現されています。

    この作品から、リストの小さな祈りを感じるのは、筆者だけではないはず!!

    リストの作品の特徴

    なんだかんだで長くなり過ぎてしまったので、ここは簡単に紹介したいと思います。
    というか曲紹介の中で結構特徴を述べてしまっている笑。

    特徴その1・人類最高のピアニスト

    リストの作品の特徴といえば、真っ先に思い浮かぶのがピアノの超絶技巧でしょう。

    ニコロ・パガニーニの卓越したヴァイオリンを目にしたリストは、自らもピアノのパガニーニなることを目指し、猛練習を開始します。

    その結果、人類史上類い稀なるピアノテクニックを身につけたリストは、ヴィルトォーゾとして絶大な人気を獲得しました。その人気は熱狂的で、演奏中にファンの女性が失神するほどだったと言われています(ちなみにリスト自身も演奏中に失神して倒れてます)。

    あまりにも卓越した技術だったため、一時期「リストには指が6本あるのではないか」という噂もたったほど。

    特徴その2・「交響詩」の創始者

    エクトル・ベルリオーズが提唱した表題音楽を発展させ、リストは新たに「交響詩」というジャンルを提唱しています。

    まず標題音楽とは、簡単にすると、音楽以外のテーマや物語を聞き手に思い起こさせる手法のことです(本当はもっと色々あるけど)。

    つまり「この曲は〇〇をイメージして作りましたよ〜」的なことをあらかじめ聴き手に伝える感じ(「標題」と「表題」では意味が異なるので注意が必要です)。

    そしてリストは表題音楽をさらに展開し、音楽外の私的イメージや絵画的を作品として表現する「交響詩」を生み出しました。リスト以降、交響詩の概念はヨーロッパ中に拡大し、R・シュトラウスといった作曲家により、優れた交響詩が生み出されました。

    世界で一番有名な交響詩といえばやはりこれかな↓。

    特徴その3・晩年は宗教作品に傾倒する

    ヴィルトォーゾ時代、作曲家・指揮者として活躍したワイマール時代を経て、晩年のリストは聖書やキリスト教における伝説を基礎とした作品を発表し始めます。

    特に1860年代には3つの壮大なオラトリオや荘厳ミサ曲、レクイエムなども作曲し、作品に深い信仰心が加わるようになりました。

    オラトリオで描かれた作品は次の3つ。

    ・「聖スタニスラウスの伝説」 
    ・「聖エリザベートの伝説」(1862年)
    ・「キリスト」(1867年)

    また、上記に取り上げた「2つの伝説」も晩年のリストによる作品です。

    リストはクリスチャンだったため、宗教作品を残すのは当然のことだと思いますが、晩年は病に苦しみ、また独り身であったことから、どこかしらで救いを求めていたのかもしれません。

    今回のまとめ

    シリーズ2本目は、毎度のことながらおすすめ作品を紹介しました。

    まだまだ有名作品がありますが、「キリがない」のでこの辺で終わりにします。

    みなさん、聴いてみたい作品とかありましたか?。今回は結構長めに書いたので、目次から聴いてみたい作品に飛んでもらっても大丈夫です笑。

    超絶技巧を聴いてみるも良し、交響詩に耳を傾けるのも良しなので、ぜひリストの煌びやかで深淵な作品に触れてみてください。

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