バッハシリーズ第4弾。
今回は不朽の名作『無伴奏チェロ組曲第1番』を紹介します。
前回解説した『G線上のアリア』と同様、一度は聴いたことがある作品だと思います。
記事後半では【無料楽譜】サイトも紹介していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
前回の記事をまだ読まれていない方はコチラか、もしくは☟からどうぞ
バッハ『無伴奏チェロ組曲第1番』の解説
バッハの『無伴奏チェロ組曲第1番』にはどんな歴史があるのでしょうか。
この作品も、バッハの死後は忘れ去られていました。
実は、再びこの作品が注目を集めたのは、20世紀に入ってからです
『無伴奏チェロ組曲第1番』の楽曲や作品背景
『無伴奏チェロ組曲第1番は』は、バッハが作曲した、ただ一つのチェロ独奏用の組曲です。
全部で6つの組曲が作曲されており、第1番の「プレリュード」はとくに親しまれています。
普段クラシック音楽を聴かない方でも、きっと一度は耳にしたことがあるでしょう。
6曲のくわしい作曲年代はわかっていませんが、その多くは、バッハがケーテン滞在中(1717-1723)に作曲されたものであると考えられています。
バッハの生涯についてはコチラから
それぞれの作品が前奏曲から始められており、『無伴奏チェロ組曲第1番』の構成は次のとおりです。
パブロ・カザルスによって再発見される
上述のとおりバッハの死後、この作品は長い間忘れられていました。
しかし、失われた名曲はある一人の少年によって蘇ります。
ある日、父親と新たな楽譜を探しに楽器店に赴いたときのこと。
少年は一つの古い楽譜を手に取ります。
作品のメロディーと奥深さに感動した少年は、楽譜を購入し、以降毎日のように練習に励みます。少年の練習量は凄まじく、13年間毎日のように練習したと伝えられています。
そして成長した少年は、世界中にこの美しい音楽を届けることになるのでした。
この少年こそが、人類最高のチェリストと言われるパブロ・カザルスです。
もしカザルスがこの楽譜を発見していなければ、私たちがこの作品を聴くことがなかったかもしれません。
また、この作品を最初に全曲録音したのもカザルスです。
『無伴奏チェロ組曲第1番』の名演奏家たち
本作は数々の演奏家によって名演が残されました。
その中から、今回はおすすめ演奏家4人の演奏を紹介します。
前回と同様「完成や解釈の違い」に注意して聴いてみてください。
ヨーヨー・マ
一人目は現代を代表するチェリスト・ヨーヨーマの演奏です。
1955年にフランスのパリで生まれ。
4歳からチェロを習い始め、幼少期から天才少年として注目を集めます。
8歳でレナード・バーンスタインが主催するコンサートでアメリカデビュー。
その後、クラシックから現代音楽まで幅広いジャンルを手掛けています。
近年では、アストロ・ピアソラの演奏でも大きな話題となった人物です。
ミシャ・マイスキー
ミシャ(ミーシャ)・マイスキーは、ラトビア(旧ソビエト)に生まれた、現代をもっとも代表するチェリストです。彼の先生はあのロストロポーヴィチ。
ヴァイオリニストのギドン・クレーメルやピアニストのマルタ・アルゲリッチによる室内楽演奏でも有名です。
ヨーヨー・マの演奏と比べていかがでしょうか?
テンポも少し早めで、快活な印象を受ける方も多いと思います。
ピエール・フルニエ
3人目は20世紀のフランスを代表するチェリスト、ピエール・フルニエです。
幼少の頃はピアノを習っていたフルニエですが、小児麻痺により右足が不自由になりチェロに転向しました。
重厚感と繊細が、絶妙なバランスで両立した演奏が特徴的です。
エコール・ノルマル音楽院で教鞭をとり、日本人の女性と結婚したことでも知られています。
パブロ・カザルス
前回の『G線上アリア』解説でも登場したチェリストです。
間違いなく、20世紀最高のチェリストと言えるでしょう。
少し録音は古いですが、カザルスの魂の祈りのような演奏をぜひ聴いてみてください。
カザルスはこの組曲(6曲)を13年間、毎日練習したと言われています。
おすすめのCD録音
youtubeでの演奏も素晴らしいですが、実際に高音質で聴いてみたい方もいるのではないでしょうか。
人により好みが分かれるので、「これがおすすめ!」とは一概に言えませんが、
名盤と言われるものを3つ紹介します。
ピエール・フルニエによる録音です。
「チェロの貴公子」と言われた彼の演奏が存分に楽しめます。
イタリア出身のチェリスト、エンリコ・マイナルディの演奏です。
ゆっくりとした重厚感があり、一つの音を丁寧に積み重ねる構成が特徴。
そして最後はパブロ・カザルスの録音。
やはり頂点ですね!
『無伴奏チェロ組曲第1番』の無料楽譜は?
チェロを始めたばかりの方にとって、バッハ『無伴奏チェロ組曲』は憧れの曲だと思います。
まだまだ先のことだとはわかっていても、楽譜は見てみたいと思うのではないでしょうか。
現在では、著作権の切れた楽譜を取り扱うサイト(海外サイト)があるので、
機会があれば楽譜を見るのも、良い勉強になると思います。
こちらのサイトに行き日本語を選択。
検索窓に調べたい作品を入れると、ダウンロード画面へ。
「寄付のお願い」が出ますが、ここはとりあえずおいといて・・・。
15秒ほどすると画面上部にリンクが出ますので、そこから楽譜一覧ページに飛べます。
カザルス版の楽譜もある
より本格的に取り組みたい方には、カザルス版の楽譜もあります。
本作に対するカザルスの解釈を知りたい方にオススメです。
まとめ
今回はバッハ作『無伴奏チェロ組曲第1番』について解説しました。
ざっくり解説ですが、なんとな〜く知ってもらえれば嬉しいです。
ちょっと(いやかなり)時間がかかったシリーズですが、
これを機会に、ぜひバッハの他の作品に触れてみてはいかがでしょうか。
代表曲についてはコチラでも書いていますので、
ぜひ参考にしてくださいね!
前奏曲(プレリュード)
1、アルマンド(フランス語で「ドイツ風」という意味)
バロック音楽用いられる早いテンポの曲
2、クーラント
3分の4拍子、軽快で跳ねるようなリズムが特徴
3、サラバンド
バロック音楽で演奏されるダンスの一種。悲しげな旋律や重々しいテーマが多い
4、メヌエット
3分の4拍子で、優雅なリズムや軽快さがある
5、ジーグ
6分の8拍子や12分の8拍子。陽気なリズムや明るい曲調
アイルランドの民族舞曲が起源とされる