フォーレ「シシリエンヌ」ピアノ難易度を超絶解説!【無料楽譜あり】

    この記事ではフォーレ作「シシリエンヌ」のピアノ難易度を解説しています。

    甘美で切ないメロディ「シシリエンヌ」。

    一度はピアノで奏でてみたいと憧れる方も多いのではないでしょうか?

    しかし、いざ楽譜を前にすると、

    • 「自分にも弾けるのだろうか?」
    • 「ピアノの難易度はどのくらい?」

    と気になる方もいらっしゃるでしょう。

    この記事では、そんなフォーレの名曲「シシリエンヌ」のピアノ演奏における難易度を、技術的なポイントから表現面まで超絶解説します。

    でも、先にちょっとだけ実体験を含めた結論。

    演奏時間は約3分、難易度はピアノ学習者の中級(ソナチネレベル)程度。大人の趣味ピアノや発表会にもぴったりな名曲です。

    さらに、美しい演奏のための練習のコツや、おすすめの楽譜(無料楽譜情報も!)まで網羅的にご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

    各見出し下には、素晴らしい演奏動画を紹介しています。
    ぜひ練習の参考にしてください!

    筆者は3歳からピアノを開始。紆余曲折を経てかれこれ30年以上ピアノに触れています(音大には行っていません。哲学で修士号取得)

    フォーレと「シシリエンヌ」とは?曲の魅力と背景を紹介

    出典:YouTube:CANACANA family様より

    まずは、この美しい曲を生み出した作曲家ガブリエル・フォーレと、「シシリエンヌ」という楽曲そのものの魅力について触れていきましょう。

    難易度解説まで、少しだけお付き合いください。

    ガブリエル・フォーレとは? 

    ガブリエル・ユルバン・フォーレ(1845-1924)は、フランス近代音楽を代表する作曲家の一人です。

    彼の音楽は、美しい旋律線、洗練された和声、そして独特の浮遊感を持つ静謐な雰囲気が特徴です。サン=サーンスに師事し、オルガニストやパリ音楽院の院長としても活躍しました。

    フォーレの作品は多岐にわたります。
    特にピアノ曲、歌曲、室内楽曲に傑作が多く残されています。「レクイエム」や「パヴァーヌ」、「夢のあとに」なども有名です。

    「シシリエンヌ」は、彼の数ある作品の中でも特に人気の高い、珠玉の小品の一つと言えるでしょう。

    ちなみに、モーリス・ラヴェルはフォーレの教え子でした。

    フォーレについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください!

    名曲「シシリエンヌ」とは? 

    「シシリエンヌ(Sicilienne)」Op.78は、元々1893年に劇作家モーリス・メーテルリンクの戯曲「ペレアスとメリザンド」の付随音楽として作曲された一曲です。

    後にフォーレ自身によって管弦楽組曲版「ペレアスとメリザンド」Op.80の第3曲として編曲され、広く知られるようになりました。

    「シチリアーノ」と呼ばれることもあります。

    その名の通り、シチリア(シシリー)起源の舞曲「シチリアーナ」のリズム(通常はゆったりとした8分の6拍子または8分の12拍子で、付点リズムが特徴的)を用いて書かれています。

    原曲はチェロとピアノのために書かれましたが、フルートとピアノ、あるいは管弦楽など様々な編成で演奏され、その優雅でどこか物悲しさを帯びた美しいメロディは、多くの人々に愛されています。

    楽曲全体を包むのは、牧歌的で夢見るような雰囲気。

    甘く切ない旋律は、聴く人の心にそっと寄り添い、穏やかな感動を与えてくれます。

    この普遍的な美しさこそが、「シシリエンヌ」が時代を超えて愛され続ける理由かもしれません。

    フォーレ「シシリエンヌ」ピアノ演奏の難易度を徹底分析

    出典:YouTube:でぐのピアノ様より

    さて、いよいよ本題の「シシリエンヌ」のピアノ演奏における難易度についてです。

    「この美しい曲を自分で弾いてみたいけれど、どのくらい難しいのだろう?」そんな疑問にお答えします。

    シシリエンヌの総合的な難易度レベル:中級程度 

    フォーレの「シシリエンヌ」のピアノソロ版の難易度は、ピアノ中級程度と言われています。具体的な教則本で言えば、ソナチネアルバム程度に進んでいる方であれば、十分に挑戦できるレベルです。

    もちろん、指の技術だけでなく、曲の持つ雰囲気や歌心を表現する力も求められます。

    しかし、ポイントを押さえて丁寧に練習すれば、初中級レベルの方でも「シシリエンヌ」を自分のものにできる可能性は十分にあります。

    ぜひ一度トライしてみてください!

    全音ピアノピースでは、難易度「D」(中級上)となっています。
    >>アマゾン:ピアノピース-511 シシリエンヌ/フォーレ

    初級者用の楽譜をお探しの方は、ヤマハのぷりんと楽譜で探してみても良いと思います。
    難易度別の楽譜が入手できますよ!

    技術的な難易度ポイント 

    「シシリエンヌ」をピアノで演奏する上で、技術的にクリアすべきポイントがいくつかあります。ざっくりとですが、ポイントを紹介みてみましょう。筆者の実体験から得たポイントは、以下の5つです。

    • 美しいレガート奏法: この曲の命とも言える滑らかで歌うような旋律線を表現するためには、指のコントロールが非常に重要です。一音一音が途切れることなく、美しく繋がるように意識しましょう。
    • 左手のアルペジオ(分散和音): 左手は主に分散和音で伴奏を奏でます。このアルペジオを軽やかに、かつ正確に、そして右手の旋律を邪魔しない絶妙な音量バランスで弾くことが求められます。
    • リズム感: シチリアーナ特有の付点リズムや3連符が随所に出てきます。このリズムを正確に、そして優雅な揺らぎを持って表現することが大切です。機械的にならず、自然な流れを意識しましょう。
    • 跳躍やポジション移動: 曲中には、特に左手で音域の広い跳躍やポジション移動がいくつか見られます。これらをスムーズに行い、ミスタッチを防ぐ練習が必要。
    • ペダリング: フォーレの音楽においてペダリングは非常に重要です。音が濁らないように、しかし響きは豊かに保つための繊細なペダルの使い方が求められます。

    表現面の難易度ポイント 

    技術的な課題と並んで、あるいはそれ以上に重要となるのが表現面です。
    もちろん、筆者もまだまだ勉強中ですが、レッスンで受けたことを思い出しながら紹介しますね。ポイントは4つです。

    • 歌心とフレージング: 何よりもまず「歌う心」を持って演奏することが大切です。メロディラインを大きなフレーズで捉え、息の長い旋律として自然に歌わせる音楽的解釈が求められます。
    • ダイナミクス(強弱): 狭い範囲での繊細な音量変化や、滑らかなクレッシェンド・デクレッシェンドを表現することで、曲に深みが増します。
    • テンポの揺らぎ(ルバート): シチリアーナのリズムは、ある程度のテンポの揺らぎ(ルバート)を許容します。しかし、やりすぎると曲の品格を損なうため、あくまで自然で美しい範囲に留めるセンスが必要です。
    • 曲全体の構成感: 短い曲ではありますが、その中に物語性を感じさせるような演奏の構築が理想です。序奏から主題の提示、展開、そして静かに終わるエンディングまで、全体の流れを意識しましょう。

    「シシリエンヌ」を美しく弾くための3つの重要ポイント 

    出典:YouTubeピアニスト 森本麻衣様より

    難易度を理解した上で、次に「シシリエンヌ」をより美しく、そして自分らしく演奏するための特に重要な練習のコツを3つに絞って解説します。これらのポイントを意識して練習に取り組むことで、きっと演奏が変わってくるはず!

    難易度の把握だけでなく、“どうすればうまく弾けるのか?”も重要ですよね。
    ここからは、上達のヒント”を3つのポイントに絞ってご紹介します

    【ポイント1】旋律と伴奏の美しいバランス感

    1つ目のポイントは、旋律と伴奏の美しいバランス感
    この曲の最大の魅力は、何と言ってもその美しい旋律です。

    • 右手のメロディは、息の長いフレーズ感を常に意識しましょう。指先で鍵盤を深く、しかし力まずにとらえ、一音一音を大切に。旋律に抑揚と自然な高低差をつけることで、より音楽的に響きます。
    • 一方、左手のアルペジオは、旋律を優しく包み込むように、軽やかに響かせることが求められます。手首を柔軟に使い、時にはペダルを使わずに、指だけで音を繋げるレガートの練習も効果的です。
    • そして最も大切なのが、左右の音量バランス。左手の伴奏が大きすぎると、せっかくの美しい旋律が埋もれてしまいます。常に右手のメロディがクリアに聴こえるよう、耳でバランスを確認しながら練習しましょう。

    ピアニスト森本麻衣さんの解説動画、めちゃくちゃ参考になりますよ!

    【ポイント2】シチリアーナ特有のリズム感と効果的なペダリング 

    「シシリエンヌ」の優雅な雰囲気は、特有のリズムと巧みなペダリングによって大きく左右されます。

    • シチリアーナのリズム(多くは付点8分音符+16分音符+8分音符のような形)や3連符を正確に弾き分けることが基本。メトロノームを使った基礎練習で正確なリズムを身につけた上で、少しテンポを揺らす練習もしてみましょう。
    • ペダリングは、この曲の響きを豊かにするために不可欠ですが、使い方を誤ると音が濁ってしまいます。自分の耳で響きを確認しながら、最適なペダリングを見つけていくことが大切です。

    【ポイント3】曲想を深める表現力と練習の進め方 

    技術的な練習と並行して、曲の持つ世界観を深く理解し、それを音で表現する力を養いましょう。

    • 楽譜に書かれた「繊細なダイナミクス(強弱)」の変化を丁寧に表現することはもちろん、曲の持つ優しさや哀愁、夢見るような雰囲気をより豊かに表現することを意識しましょう。
    • 練習の進め方としては、まず難しい箇所や苦手なパッセージを特定し、部分練習で集中的に克服することが効果的。ゆっくりとしたテンポから始め、徐々に指定のテンポに近づけるのがベストです。

    フォーレ「シシリエンヌ」おすすめピアノ楽譜紹介【無料あり】 

    出典:YouTube山形由美オフィシャルフルートチャンネル様より

    「シシリエンヌ」を練習するにあたって、どの楽譜を選べば良いか迷う方もいるかもしれません。最後におすすめ楽譜と、無料楽譜の入手方法について紹介して終わりますね。

    自分に合った楽譜を見つけてみてください!

    【定番】全音

    日本のピアノ学習者にとって最も手に入りやすく、定番と言えるのが全音楽譜出版社のピアノピースです。

    比較的安価で、運指(指使い)の提案もされていることが多いのが特徴です。
    解説がついている版もあり、学習の助けになります。まずはこのピースから始めてみるのが無難でしょう。

    >>アマゾン:全音版:フォーレ ピアノ小品集

    【中級者向け】輸入版や校訂版など 

    より本格的にフォーレの音楽に取り組みたい中級以上の方には、輸入版を使用しようするのもありです。

    >>アマゾン:フォーレ : シシリアーノ Op.78/ルデュック社/ピアノ・ソロ用編曲

    【無料楽譜】

    シシリエンヌの楽譜は、著作権が切れているため、無料で公開されています。
    ただし注意点もあるので、下記を参考にしてください。

    シシリエンヌの無料楽譜ダウンロードはこちらから

    無料楽譜の活用と注意点

    • 複数の版を比較できる: 同じ曲でも、出版された時期や校訂者によって運指や記号の解釈が異なる場合があります。複数の版を見比べてみるのも勉強になります。
    • 英語サイトであること: 基本的にサイトの表記は英語ですが、作曲者名や曲名で検索すれば比較的簡単に見つけられます。
    • 版によって質にばらつきがある可能性: スキャンされた楽譜が多いため、印刷の鮮明さやレイアウトの見やすさにばらつきがある場合がある場合も。
    • 編曲版も多数: ピアノソロ版だけでなく、チェロとピアノ版、フルートとピアノ版など、様々な編曲版も見つかります。ピアノソロ譜を探している場合は、編成をよく確認しましょう。

    フォーレ「シシリエンヌ」ピアノ難易度と演奏のポイント:まとめ 

    ここまで、フォーレの「シシリエンヌ」のピアノ難易度や演奏のコツ、おすすめ楽譜について詳しく見てきました。最後に、この記事の重要なポイントをまとめておきましょう。

    • 「シシリエンヌ」のピアノ難易度は中級程度が目安だが、ポイントを押さえれば初級修了レベルからでも挑戦可能。
    • 技術的な鍵は、美しいレガート奏法左手の滑らかで軽やかなアルペジオ伴奏のバランス。
    • シチリアーナ特有の付点リズムや3連符を正確に、そして優雅に表現することが大切。
    • 何よりも歌心」を持って、旋律を伸びやかに、そして表情豊かに歌わせることが表現面の最重要ポイント。
    • 自分に合った楽譜を選び、**3つの重要ポイント(旋律と伴奏のバランス、リズムとペダル、表現力と練習法)**を押さえて練習をバランス良く行う。
    • 無料楽譜も入手可能。
    • 目標を持って練習に取り組み、時には自分の演奏を録音して客観的に聴くことが上達への近道。

    フォーレの「シシリエンヌ」は、決して超絶技巧を必要とする難曲ではありません。
    しかし、その美しさを最大限に引き出すためには、丁寧な練習と音楽的な感性が求められます。

    この記事でご紹介したポイントを参考に、ぜひフォーレ「シシリエンヌ」の美しい旋律をあなたのピアノで奏でてみてください!

    最新記事一覧