本記事ではラフマニノフのおすすめ代表作を7つ紹介しています。
どの作品もラフマニノフのロマン情緒溢れる傑作です。
チャイコフスキーに認められ、20世紀最大の作曲家とも言われるラフマニノフ。
その作品にはどのようなものがあるのでしょうか。
「ラフマニノフを聴いたことがない」という方でも、きっと聴いたことがある作品があると思います。作品の特徴や魅力も紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。
「そもそも、ラフマニノフってどんな人?」という方はこちらから。
ラフマニノフのおすすめ代表作7選
メロディーメーカーとして知られるラフマニノフは、ピアノ曲だけでなく歌曲・オペラ・管弦楽曲においても多くの傑作を残しました。
今回はその中かから、とくに「これは聴いてほしい」という作品を厳選しています。
美しいラフマニノフの世界観はきっと心を癒してくれますよ!
もちろん、今回もざっくり解説です!
ラフマニノフの代表作1、『ピアノ協奏曲第2番』
ラフマニノフの代表作といば、『ピアノ協奏曲第2番』。彼の作品の中でも、もっとも有名と言っても過言ではないでしょう。
本作の成功によりラフマニノフの名声が確立し、飛躍的にその名が知られるようになりました。
「ピアノ協奏曲」の中でも、もっとも演奏機会が多い作品の1つであり、現在でもさまざまなコンサートプログラムに取り入れられています。
また本作は、「交響曲第1番」の失敗から立ち直るきっかけとなった作品です。
全3楽章で構成され、演奏時間はおよそ35分。
1901年の初演では大成功を収めています。
ロシアの雄大な大地と、ラフマニノフの感性が見事に調和した傑作です。
ラフマニノフの代表作2、『ピアノ協奏曲第3番』
同じく協奏曲から『ピアノ協奏曲第3番』を紹介します。
この作品は、『第2番』からおよそ8年後の1909年に作曲、ニューヨークで初演を迎えました。
こちらもラフマニノフを代表する作品であると同時に、「もっとも難しいピアノ曲の1つ」としても有名です。
映画「シャイン」でも印象的に使用されているため、ご存じの方も多いかもしれません。
20世紀最高のピアニスト、ウラディミール・ホロヴィッツが得意とした作品で、自身「私の曲」と称していたそうですよ。
この作品を通して知り合った2人は、以降、親しく交流するこになりました。
ラスト5分は鳥肌ものです!!
代表作3、『ピアノソナタ第2番』
聴く人によっては、「ラフマニノフの最高傑作」にも挙げられる作品です。
力強い冒頭から、作品に惹きつけられてしまう人もいるのではないでしょうか。
1913年に作曲され、ラフマニノフ本人によって初演されたものの、当時の評判はイマイチだったそうですよ。
その後、改訂版を発表したものの、ホロヴィッツはこれに異論を唱え、自身が編曲した「ホロヴィッツ版」を好んで演奏しました(動画の演奏です)。
その評価が再燃したのは、ラフマニノフ生誕100周年にあたる1970年代から。
現在では20世紀を代表する「ピアノソナタ」として、多くの演奏家がレパートリーに加えています。
代表作4『パガニーニの主題による狂詩曲』
1934年に作曲された、ラフマニノフの後期を代表する傑作です。
作曲期間がとても短く、わずか2ヶ月で完成させたととのこと。
パガニーニの『24の奇想曲』の24番からテーマがとられています。
フランツ・リストやヨハネス・ブラームスも同テーマを採用しているので、2人にご興味のある方はこちらからご確認ください。
主題と24の変奏で構成され、第1変奏の後に主題が登場します。
ラフマニノフが愛した、グレゴリオ聖歌「怒りの日」が効果的に用いられています。
『交響曲第2番』
グラズノフのグダグダ演奏により、大失敗に終わった『交響曲第1番』。
この失敗は、ラフマニノフの心に深い影を落とすことに・・・。
失意の底に沈んだ彼でしたが、ダール博士の治療のかいもあり、やがて作曲の意欲を取り戻すことに成功します。
そのため、本作は『ピアノ協奏曲第2番』と並びラフマニノフが自信を取り戻すきっかけとなった記念碑作品であり、同時にロシアの交響曲的伝統を受け継ぐ重要な作品といえるでしょう。
ラフマニノフ自身によって初演の指揮が行われ、グリンカ賞と1000ルーブルを授与されています。
ヴォカリーズ
次に紹介するのは、ラフマニノフの「歌曲」です。
ピアノ曲が突出して有名ですが、本作はラフマニノフの作品でももっとも「よく知られる」作品かもしれません。
1915年に作曲された本作は、美しさの中にある哀愁や哀しみが、ラフマニノフの心情とマッチした傑作です。
実際、本人も本作を気に入っていたようで、管弦楽版や他楽器への編曲なども手掛けています。
歌曲でありながら、歌詞がなく、メロディー単体で歌われるのが特徴です。
「音楽の美しさ」がこの作品に凝縮されているといっても言い過ぎではないでしょう。
チェロ・ソナタ
今回紹介するラストは、『チェロ・ソナタ』。
1901年に作曲され、ラフマニノフが作曲した室内楽として最大の作品です。
現在では『チェロ・ソナタ』として知られていますが、
作曲当初は「ピアノとチェロのためのソナタ』として発表されました。
そのため、よく聴いていると「伴奏役としてのピアノ」ではないことがわかります。
作品は友人のアナトーリー・ブランドゥコープに献呈され、
ラフマニノフと共に初演を行いました。
優雅なチェロのメロディと、
遊び心のあるピアノが見事に調和した傑作です。
作品の特徴や魅力は?
フランツ・リスト以来のピアノのヴィルトォーゾとして知られるラフマニノフ。
その作品の特徴は、広大なロシアの大地を創造させるメロディと、大胆の構成にあります。
一方で、美しさのなかにある「物悲しいさ」は、チャイコフスキーやグリンカにもない、
ラフマニノフらしさと言えるでしょう。
それは、彼が生きていた暗澹たる時代が反映されているのかもしれません。
また、ラフマニノフは、正教会聖歌やロシア民謡の影響を大きく受けていると言われています。19世紀後半から20世紀半は、
民族音楽を取り入れた「国民楽派」が全盛の時代でした。
ラフマニノフの作品の魅力は、
ロシアに伝わる民謡的要素と哀愁漂う感性が融合したとところにあると言えるのではないでしょうか。
ピアノ曲が有名だけど
ラフマニノフといえば、ピアノ曲がとくに有名であり、今回紹介した作品以外にも多くの傑作を残しました。
でも実は、歌曲や歌劇などの作品も意外に多いことをご存じでしょうか。
作品番号はないものの、『聖なる修道院の門の傍らに』(1890年)や『夕闇は迫り』(1891年)、『花はしぼんだ』(1893年)といった美しい歌曲も作曲しています。
また、「ロマンス」と題した歌曲を生涯で70曲以上作曲し、カンタータや歌劇なども手掛けています。
なかでも、ロシアの文豪プーシキンの『ジプシー』を題材とした歌劇『アレコ』、
当時大きな成功を収めています。
「ピアノ曲以外も結構あるんだな〜」と豆知識として覚えておいてください。
また、さまざまな作品の中にグレゴリオ聖歌の「怒りの日」のテーマを取り入れているのも、ラフマニノフ作品の大きな特徴です。
ラフマニノフの代表作まとめ
ラフマニノフの代表作7選と作品の特徴や魅力について、ざっくり紹介しました。
まったくラフマニノフの作品を聴いたことがない方でも、
今回紹介した作品を聴けば、きっと彼の作品のファンになるはずです。
まだまだ作品はたくさんありますので、ぜひご自身の完成に合う作品を見つけてみてください!
前回のラフマニノフの解説はこちらです↓