ムソルグスキーのおすすめ代表曲7選!作品の特徴や魅力、最高傑作も簡単に解説します!

展覧会の絵

    この記事では、ムソルグスキーの作品の特徴や代表曲について紹介します。
    42歳という若さでこの世を去ったムソルグスキーですが、
    生み出された作品はどれも完成度が高いものばかりであり、
    現在でも多くのコンサートで演奏されています。

    とはいえ、組曲『展覧会の絵』ばかりが有名で、
    他の作品を聴いたことがないという方も多いことでしょう。

    そこで本記事では、ムソルグスキーの代表曲を紹介しながら、
    その特徴や魅力、最高傑作について紹介します。

    ちなみに、毎度のことながら本ブログでの「最高傑作」とは、
    あくまでも執筆者の独断によります。

    その旨をご了承いただきつつ、お読みいただければ幸いです。
    ムソルグスキーについてもう少し知りたい!」という方はこちらから!

    展覧会の絵
    ムソルグスキー:展覧会の絵/ストラヴィンスキー:春の祭典

    ムソルフスキーのおすすめ代表曲7選

    美術館

    組曲『展覧会の絵』は誰でも1度は聴いたことのある作品かもしれません。
    しかし、これ以外にもムソルグスキーには優れた作品を残しています。
    彼が生み出した斬新な作曲技法は、フランスの作曲家ドビュッシーにも大きな影響を与えました。
    今回は普段注目される機会が少ない「歌曲」を中心に紹介します。

    ドビュッシー

    ムソルグスキーの代表曲その①、交響詩「禿山(はげやま)の一夜」

    ムソルグスキーをもっとも代表する管弦楽曲といえば『はげ山の一夜』です。
    タイトルだけでもちょっと惹かれますが、
    これは「聖ヨハネ祭の前夜に不思議な出来事が起こる」というヨーロッパの言い伝えがもとになっているそうです。
    とりわけ本作では、はげ山に地の霊チェルボークが出現し、手下の魔物や幽霊、精霊とともに暴れ回るというロシアの民謡がモチーフとなっています。

    たしかに、聴いているとおどろおどろしい雰囲気が表現されていますね。
    この作品は、ムソルグスキーの生前には演奏される機会に恵まれませんでしたが、
    リムスキー=コルサコフによる編曲により、広く親しまれるようになりました。

    また、ディズニーの名作アニメ『ファンタジア』に採用されたことでも知られています。

    演奏時間は13分程度です。

    ムソルグスキーの代表曲その②、ラヨーク

    1870年にムソルグスキーが作曲した風刺歌曲です。
    ムソルグスキーは、作曲家として多くの時間をオペラや歌曲の制作に費やしました。

    本作もその内の1つであり、
    この歌曲集にはムソルグスキーが所属していた「ロシアの五人組」と対立する、
    音楽家たちへの皮肉が込められています。

    6つの歌曲で編成されており、それぞれのタイトルは以下の通りです。

    ・口上
    ・髪のご加護を持って
    ・ロスティスラフ
    ・ファミンツィン
    ・A.N.ローフ
    ・賛歌

    ちなみに、タイトルの「ラヨーク」とはロシアの縁日などに出る見世物小屋のことを意味するそうです。拡大鏡を用いて2つの穴から中を覗き込むことから「のぞきからくり」とも呼ばれています。

    ムソルグスキーの代表曲その③、日の光もなく

    マニアックな作品が続きます。
    こちらは1874年に作曲された6曲からなる歌曲集です。
    最愛の母や友人を次々と失ったムソルグスキーは悲しみの深い晩年を送っています。

    しかしそんな状況でも作曲は続けられ、
    死が近づくのと反比例するかのように、優れた歌曲集を残しました。

    本作は、作曲当時に共同生活を送っていた詩人アルセニイ・クトゥーゾフの詩に音楽をつけ、
    献呈されています。

    第1曲から6曲までのタイトルは次のとおりです。
    ・周囲を壁に囲まれて
    ・人混みの中で貴方は私に気付かなかった
    ・騒がしい日は終わり
    ・退屈するがいい
    ・悲歌
    ・川のほとりで

    ムソルグスキーの代表曲その④、蚤の歌

    ムソルグスキーが亡くなる2年前の、1879年に作曲された歌曲です。
    一般に『蚤の歌』として知られていますが、
    『アウエルバッハの酒場でのメフィストフェレスの歌』のタイトルが正式名称です。

    本作はアルト歌手ダリヤ・ミハイロヴナ・レオノワの歌声にインスピレーションを受けて作曲されたと言われています。
    そのため作品はレオノワに献呈され、初演もレオノワの独唱によって行われました。

    しかし、初演の正確な日時は現在もわかっていません。
    作品のさまざまな箇所にメフィストフェレスの「笑い声」が挿入されていますが、
    これはムソルグスキー本人の提案だそうです。

    ムソルグスキーの代表曲その⑤、カルスの奪還

    意外にも?ムソルグスキーは「行進曲」も作曲しています。
    本作はオペラ・バレエ『ムラダ』のために作曲された「公と僧侶たちの行進」が元になっていり、「荘厳行進曲」「凱旋行進曲」、あるいはムソルグスキーの「トルコ行進曲」とも呼ばれています。

    そのため、なんとなくですが、オリエンタルな雰囲気が漂っていますよね。
    『ムラダ』はロシア五人組のメンバーで分担により作曲されましたが、
    結局実現には至らず、のちにリムスキー=コルサコフが単独で完成させました。

    1880年、ロシアの皇帝アレクサンドル2世の記念祝賀行事のために原曲が改訂され、
    現在の形となりました。

    ちなみに、ムソルグスキーのほかにも、ボロディンやチャイコフスキーなども記念祝典に楽曲提供しており、ボロディンの『中央アジアの草原にては』はとくに有名です。

    演奏時間は5分程度となっています。

    ムソルグスキーの代表曲その⑥、死の歌と踊り

    1875年に作曲が開始され、1877年に完成したムソルグスキーをもっとも代表する歌曲集です。
    タイトルにある通り、本作は「死」がテーマとされ、ムソルグスキーの死生観がうかがえる作品でもあります。

    また、20世紀に入るとショスタコーヴィッチにより管弦楽伴奏版にもアレンジされ、
    現在でも比較的演奏機会の多い人気作品です。

    その他、リムスキー=コルサコフ版、グラズノフ版、カレヴィ・アホ版など、
    さまざまな作曲家によってアレンジ版が生み出されています。

    全4曲構成で、1曲から4曲までのタイトルは以下のとおりです。
    ・子守唄
    ・セレナード
    ・トレパーク
    ・司令官

    いずれにしても、少しマニアックな作品ではありますが、
    それでも、ムソルグスキーの卓越した才能が感じられる1曲であることに間違いありません。

    ムソルグスキーの代表曲その⑦、組曲「展覧会の絵」

    ムソルグスキーといえば、組曲『展覧会の絵』がもっとも有名といっても過言ではないでしょう。というか、間違いないです。

    本作は1874年に作曲されたピアノ曲のための組曲で、
    友人で画家であったヴィクトル・ハルトマンの死を悼んで作曲されました。

    作品に複数回登場する「プロムナード(散歩道)」は、ムソルグスキーがハルトマンの展覧会に訪れた際の歩く様子を表現していると言われています。

    超有名曲であるにもかかわらず、ムソルグスキーの生前には一度も演奏される機会がなかったそうです。

    現在では、おもに管弦楽版で演奏される機会が多いですが、
    こちらはフランスの作曲家モーリス・ラヴェルによるものです。

    ボレロ

    ちなみに、テレビ番組「ナニコレ珍百景」で使用されているあのも「展覧会の絵」です。

    これ聴いたことありますよね?⬇️(3:00〜くらいから)

    ピアノ版はこんな感じです⬇️

    この他、現在まで50以上ものアレンジが行われています。

    ムソルグスキーの最高傑作は?

    ピアノ

    お聴きいただいたように、ムソルグスキーの音楽は19世紀後半のロシアとしてはかなり斬新なものでした。ちょっと強めに言えば、時代が早すぎたともいえるかもしれません。

    そんなムソルグスキーの作品のなかで「最高傑作は何か?」と考えると、
    やはりオペラ『ボリス・ゴドゥノフ』なのかな〜と多います(あくまで独断ですよ)。

    ムソルグスキーの最高傑作『ボリス・ゴドゥノフ』について

    オペラ『ボリス・ゴドゥノフ』はムソルグスキーが作曲した、プロローグと4幕からなるオペラです。
    個人的な感想ですが、ムソルグスキーの最高傑作であると同時に、
    すべてのオペラの中でもかなり上位にくる作品だと思っています。

    タイトルの「ボリス・ゴドゥノフ」とは、16世紀半ばに実在した人物で、
    本作はロシアの文豪プーシキンの戯曲「ボリス・ゴドゥノフ」を題材に制作されました。

    1868年の10月から作曲に着手したムソルグスキーは、順調に作曲を続け、
    翌1869年の夏に声楽部を、そして同年12月にオーケストラを完成させています。

    その後1870年、上演許可を得るために帝室歌劇場に打診したものの、
    上演を拒否されてしまいます。

    しかし、ムソルグスキーはすぐにこれを改定し、
    1874年にマリインスキー劇場にて初演を迎えることとなりました。
    ムソルグスキー渾身のオペラ『ボリス・ゴドゥノフ』は聴衆に熱狂的に受け入れられたものの、
    10数回で打ち切りとなり、ムソルグスキーは大きく落胆したと伝えれています。

    しかし現在では評価は一変し、オペラ史上屈指の名作として、
    世界中のクラシックファンに愛されています。

    ムソルグスキー : 歌劇 「ボリス・ゴドゥノフ」 全曲 [日本語帯・解説・歌詞大意付]

    ムソルグスキーの作品の特徴や魅力は?

    観覧

    最後に、ムソルグスキーの作品の特徴や魅力を簡単に紹介します。
    未完成の作品も多くありますが、ロシア民謡やロマン派を融合させたムソルグスキーの作品は後世の音楽家に大きな影響を与えました。

    ムソルグスキーの作品の特徴や魅力その①、民謡の響きを持つ音楽

    ロシア民謡や伝統音楽の影響を強く受けているのが、ムソルグスキーの大きな特徴の1つです。
    もちろん、こうした作風は彼以前にも(グリンカの影響が大きい)ありましたが、
    ロマン派的音楽とロシア民謡を違和感なく融合させたのは、ムソルグスキー作品の魅力とも言えるでしょう。

    彼は民謡のリズムやメロディを作品に取り入れることで、親しみやすく、独特の温かみを持つ音楽を作り出しました。

    例えば「展覧会の絵」は、その多彩なメロディーが聴く人を楽しい絵画の旅に誘います。

    ムソルグスキーの作品の特徴や魅力その②、ドラマティックな表現力

    ムソルグスキーの音楽は、強い感情表現とドラマティックな構成も特徴。

    特にオペラ『ボリス・ゴドゥノフ』では、登場人物の感情や心理を生き生きと描写し、聴く人を物語の中に引き込みます。
    また、作品のきらびやかな豪華さも当時のロシア音楽としては斬新でした。

    彼の音楽は、聴く人にまるで劇場で物語を観ているかのような臨場感を与え、この力強い表現力こそが、ムソルグスキーの音楽の最大の魅力かもしれません。

    ムソルグスキーの作品の特徴や魅力その③、革新的な作曲技法

    伝統的な作曲の枠にとらわれない革新的な技法もムソルグスキーの作品の特徴の1つです。用い

    例えば「はげ山の一夜」は、不協和音や独特のリズムを駆使することで、魔法や幻想の世界を描き出します。この作品は当時としては非常に斬新で、後の作曲家たちに多大な影響を与えました。

    ムソルグスキーは、とにかく新しいものを求める探求心に溢れており、同時代の人々には理解されないこともしばしばありましたが、その斬新な試みはロシアのみならず、その後のクラシック音楽の技法に大きな影響を与えています。

    ムソルグスキーの代表曲まとめ

    今回はムソルフスキーの代表曲や作品の特徴について解説しました。
    本ブログは「ざっくり解説」がモットーなので、クラシックファンの方には少し物足りないかもしれません。

    一方で「初めて名前を知った」とか「こんな曲もあるのか」など、
    新たしい発見がある方もいらっしゃることでしょう。

    そんな方のために、これからも少しずつ記事を積み重ねていきますので、
    次回からもどうぞご期待ください。

    しばらくはロシアシリーズが続きます。

    最後に。
    本ブログの趣旨とは離れていますが、防災に関する記事も書いています。
    「備えあれば憂いなし」ということで、ぜひこちらの記事もご一読いただければありがたいです。

    救急

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