シューベルトシリーズもようやく3回目。またまた更新が遅れてしまった・・・。でも牛歩のごとく更新されるのがこのブログの醍醐味(誰にとって?)。今回はシューベルトの作曲『魔王』と『未完成交響曲』について解説してみます。
『未完成交響曲』は聴いたことないけど、『魔王』は学校の授業で聴いたことのある人も多いのではないでしょうか?あの「おと〜さん!おと〜さん!」ってやつです。
いつも自分で書いていて「長すぎるな」って思っているので、今日はコンパクトに解説してみたいと思います。前回のシューベルト記事を読み忘れた方はコチラです。
シューベルト『魔王』の解説
まずは、『魔王』ってどんな曲だったけ?ということで、👆を聴いてみてください!。
きっと中学時代を思い出すこと間違い無しです😌。歌詞もついているので、参考になります。
ちなみに歌手は歌い手はフィッシャー・ディースカウ様(神)です。
シューベルトの『魔王』が作曲された背景
歌曲『魔王』は1815年、シューベルトが18歳の頃の作品です。『若きウェルテルの悩み』や『ファウスト』などで知られるドイツの文豪ゲーテの同タイトルの詩に触発され、その詩にシューベルトが音楽をつけました。
ちなみにゲーテの『魔王』は1782年に上演された歌劇『漁師の娘』のために作詞されたものです。
10代とは思えない作品ですが、シューベルトの湧き上がる感性とロマン派的傾向が既に現れていますね。
真偽のほどは定かではありませんが、ゲーテの詩に感動したシューベルトはこの作品をわずか数時間(4時間)で書き上げたと言われています。
ピアノの三連符は何を表現しているのか?
多くのにとって『魔王』を聴いて最初に印象深いのは、冒頭の激しい三連符だと思います。
音楽の授業で、これを「馬の走る音を表している」と習ったかたも多いハズ・・・。
でもこれって「ほんとなのかな?🤔」と昔の筆者は疑問に思ったりしました。確かにそのような意味合いを含んでいると思うのですが、筆者が単純に疑問に思ったのが、「馬が走る音を三連符で表現するか?」ってことでした。
だって馬って、「4本足で走ってるじゃん!!!!」🐎。それを大天才シューベルトが三連符で表現するのかな〜とずっと謎でした。
しかし、この疑問に答えておられる声楽家の先生がいらっしゃって、ついに謎が解けました!(解けた気がする)。
その答えを教えてくれたのが、声楽家車田和寿先生です。その解説がこちら👇
新たな気づきがありました。
というか、車田先生の解説載せてしまったら、僕の記事いらないな・・・💦。
それはさておき、ご興味のある方は是非見てください!。
『魔王』って誰のこと?
ここへ来て今更ながらなんですが、「魔王って何?」という疑問を持った方もいると思います。
「魔王っていうぐらいなんだから、サタンとかルシファーなんじゃないの?」と思った方。そんなあなたはかなりの教養人。
でも調べてみると、ゲーテが原作で想定した「魔王」は、一般的にイメージされる「悪魔的な」ものとはどうやら違うらしい・・・。
実はゲーテの「魔王」には元ネタがあって、元はゲーテの友人ゴットフリート・ヘルダーの『民謡集』を参考にしているとのこと。
しかもヘルダーの『民謡集』は、デンマークの民謡をヘルダーがドイツ語に翻訳したもので、ゲーテはその中の『魔王の娘』という作品からインスピレーションを受けて「魔王」を生み出しました(ややこしい?)。
そして、ゲーテが参考にした『魔王の娘』の魔王とは、「ハンノキの王」を表しています。
日本語訳では『魔王』として定着していますが、本来は「妖精王」的な要素の方が強いのかもしれません。
歌曲『魔王』は一人4役をこなす難曲
簡単に『魔王』ついて解説したところで、『魔王』の登場人物を思い出してみましょう。
みなさん覚えていますか?
『魔王』は4分程の短い歌曲ですが、その中には4人の人物が登場します。
まず一人目は物語の「語り手」、そして家路へ急ぐ「父親」、魔王の姿に怯える「息子」、そして息子を死の世界へ誘う「魔王」です。
この4人の登場人物に天才シューベルトは絶妙な表現を与えています。
一般に「それぞれの音域に各登場人物を配置している」と解説されていますが、この解説は正解でもあるし正解でもないです。
それは作品を聴いてみると分かります。父は息子をなだめるために低い音域ですし、反対に、怯える息子は高い音域です。そして、息子を死へと誘う「魔王」は、得体の知れない怪しさをもって息子に語りかけます。
普通であれば、「死」の象徴である「魔王」はもっと恐怖を含む人物として表現されるはずですが、天才シューベルトはそこを逆手にとって「優しく死へと誘う魔王」を表現しました。
そういう意味において、一人4役を演じなければならない『魔王』は、歌手にとってかなりの難曲と言えるでしょう。
椿音楽教室いろいろな『魔王』を紹介!
シューベルトの『魔王』には、別の作曲家による編曲もいくつかあります。
有名なのはフランツ・リストによる編曲。リストについてはコチラで書いていますので併せてお読みください。
フランツ・リストによる『魔王』ピアノバージョン
動画はリスト編曲の『魔王』ピアノバージョン。楽譜見た時「こんなの弾けるのか?」と思ったのですが、どうやら弾ける人には弾けるようです(そりゃそうか)。
エクトル・ベルリオーズによるオーケストラバージョン
エクトル・ベルリオーズによるオーケストラバージョンもあります👇。筆者も知りませんでした。ピアノ版とは違う趣があり、面白いです(ベルリオーズについても近々書きます)。
実はベートーヴェンにも『魔王』がある(聴き比べ)
ゲーテの詩に感銘を受けたのはシューベルトだけではありませんでした。
ベートーヴェンもゲーテの詩にインスパイアされ『魔王』を作曲しています。
シューベルトは生前あまり有名ではなかったので、もしかしたら、当時はベートーヴェンの『魔王』が有名だったのかもしれません(憶測です!!!)。
是非聴き比べてみてください!!
ベートーヴェンの『魔王』👇
ベートーヴェンの時代らしい「ガチッとした」音楽
そして、最後にもう一度シューベルトの『魔王』👇
シューベルトの『魔王』にはロマン派の萌芽を感じます。
シューベルト『魔王』のまとめ
ここまでで既に3000文字近くなってしまいました。
『未完成交響曲』の解説は次回にまわして、今回は「解説その①」とします。
次はツァイガルニク効果の集大成(笑)とも言える、『未完成交響曲』について解説!!
これからは1曲1記事にしようかな・・・🤔。