この記事では「ラ・カンパネラより難しい曲にはどんなものがあるの?」という疑問に答えています。
ピアノの超絶技巧曲として広く知られる「ラ・カンパネラ」。
フランツ・リストがパガニーニのヴァイオリン曲を元に編曲したこ本作は、多くのピアノ学習者にとっての「いつかは弾きたい憧れの曲」ではないでしょうか。
右手の高速跳躍と細かいパッセージと、鐘の音を表現する高音域の繰り返しは聴衆を魅了すると同時に、演奏者に高度な技術を要求します。
でも実は、クラシック音楽には「ラ・カンパネラ」を超える超絶難しい曲が結構あります。
そこで本記事では、実体験を交えつつ「激ムズ曲を超えたさらなる鬼ムズ曲」を10曲紹介します。
ラ・カンパネラより難しい曲は結構ある
ピアノ曲の難易度を決める要素はいくつかあります。
今回は、単純なテンポの速さだけでなく、以下のポイントに絞って紹介してみました。
「ラ・カンパネラ」は確かに技術的に難しいものの、主に右手の跳躍にその難易度が集中しています(左手ももちろん難しいですが)
一方、これを超える曲には、両手が全く異なる複雑なリズムを刻む曲や、40分以上の演奏持久力を要する大作、さらには、身体的に不可能に近いテンポが要求される曲など、様々な「鬼ムズ」が存在します。
楽譜を見るのもうんざりレベル・・・。
これらの超絶技巧曲が生まれた理由として、19世紀ロマン派時代の「ヴィルトゥオーゾ(名人芸)」ブームが背景にあるようです。
そんな中、リストやショパンといった作曲家兼ピアニストが互いに技を競い合う時代背景の中で、「人間の限界に挑む」ような作品が次々と生み出されました。
【厳選】ラ・カンパネラより難しい曲10選
それでは「ラ・カンパネラ」を超える難易度を持つピアノ曲を10曲紹介します。
各曲の特徴と難易度ポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
なお、実体験がある作品の場合は、筆者の感想も添えていきます。
紹介さする作品は以下の通りです(個人的意見が強い)。
1.リスト: 超絶技巧練習曲 第4番『マゼッパ』
2.ショパン: エチュード Op.10-1『滝』
3. ラヴェル: 夜のガスパール『スカルボ』
4. アルカン: 独奏ピアノのための協奏曲
5. バラキレフ: イスラメイ
6. ラフマニノフ: ピアノ協奏曲第3番
7. プロコフィエフ: ピアノソナタ第7番「戦争ソナタ」
8. ゴドフスキー: ショパンのエチュードによる53の練習曲
9.ショパン:エチュード 10-2
10.モーツァルト:トルコ行進曲(ヴォロドス版)
ラ・カンパネラより難しい曲1.リスト: 超絶技巧練習曲 第4番『マゼッパ』
出典:YouTube
ラ・カンパネラが右手の跳躍に重点を置くのに対し、マゼッパは絶え間ない3度の連続と高速オクターブを要求します。特に中間部のオクターブの連打は、ラ・カンパネラの跳躍よりも遥かに高い持久力が必要です。多くのピアニストが「リストの中でも最も体力を消耗する曲の一つ」と評価しています。
ちなみに、「マゼッパ」とはフランスの文豪ヴィクトル・ユゴーの叙事詩から採用されています。
筆者もその昔に練習しましたが、鬼ムズです。そんなに長い曲ではないのですが、指と腕がやられます。
ラ・カンパネラより難しい曲2.ショパン: エチュード Op.10-1
出典:YouTube
右手の広範囲にわたる高速アルペジオが特徴で休むことなく16分音符が流れ続きます。
ラ・カンパネラが部分的な難所を持つのに対し、本作は最初から最後まで一貫して右手に極限の開張と俊敏性が必要な難曲です。
特に小指側の制御が難しく、ショパンのエチュードの中でも特に技術的難易度が高いと言われています。4分ほどの短い曲ながら、終わる頃には右腕が完全に疲労する強度を持っています。
どんな曲でも初見で演奏できたフランツ・リストでさえ初見で弾けず、しばらくの間こもって練習したというエピソードが有名です。
残念ながら、筆者は最後まで到達することはできませんでした。
この曲を弾ける・弾けないで才能が分かれる気がしています。
ラ・カンパネラより難しい曲3. ラヴェル: 夜のガスパール『スカルボ』
出典:YouTube
技術的難易度と音楽的複雑さを兼ね備えた最高峰の作品。
ラ・カンパネラが比較的明確な形式を持つのに対し、スカルボは複雑なリズム変化、不規則なアクセント、突然の強弱変化など、予測不可能な要素が満載です。
さらに、広範囲にわたる跳躍、両手の高度な独立性、極めて繊細なペダリングが要求されます。ラヴェル自身が「ピアニストを困らせるために」書いたと言われるほどの超絶技巧曲です。
ラ・カンパネラより難しい曲4. アルカン: 独奏ピアノのための協奏曲
出典:YouTube
一般的なピアノ協奏曲はピアノとオーケストラのための作品ですが、ピアノ一台でオーケストラパートも含めた全てを演奏する離れ業をやってのけたのがアルカンです。
シャルル・ヴァランタン・アルカンはフランスのパリに生まれた、19世紀を代表する作曲家・ピアニストです。超絶技巧のピアニストとしてもよく知られています。
本作は、三つの楽章で構成される50分を超える大作で、特に第1楽章のカデンツァでは、両手で広範囲にわたる音型を高速で弾きこなす必要があります。
体力的にも精神的にも極限の持久力が試される、ラ・カンパネラとは比較にならない「超マラソン」的難曲です。ちなみに、第1楽章だけで30分くらいあります。
ラ・カンパネラより難しい曲5. バラキレフ: イスラメイ
出典:Youtube
「技術的に演奏不可能」と評されるほどの難曲で、19世紀末には「世界一難しいピアノ曲」とも称されました。東洋的なリズムとメロディに基づくこの曲は、両手の完全な独立性と高速で正確な反復音、そして異常な速度での音階とアルペジオを含みます。
特に中間部の変奏は極めて複雑で、ラ・カンパネラの規則的なパターンとは異なり、絶えず変化するリズムと音型に対応する必要があります。作曲者バラキレフ本人も「弾きこなさせない」箇所があったとのこと。
ラ・カンパネラより難しい曲6. ラフマニノフ: ピアノ協奏曲第3番
出典:YouTube
ソロ作品ではなく協奏曲ながら、そのピアノパートは極めて難易度が高く、多くのピアニストが最も技術的に挑戦的な協奏曲と認めています。特に第1楽章のカデンツァは圧倒的な密度と複雑さを持ち、作曲者ラフマニノフの大きな手を前提とした広い音域の和音が特徴です。
映画「シャイン」の中でも、「世界1難しい曲」というセリフがありますね。
難易度もさることながら、大変美しいメロディとしても知られています。
ラ・カンパネラより難しい曲7. プロコフィエフ: ピアノソナタ第7番「戦争ソナタ」
出典:YouTube
不協和音の連続と執拗なリズムの反復が特徴のプロコフィエフの傑作。
特に最終楽章の7/8拍子の激しいトッカータは、正確性と持久力の極限を試します。
鉄のような強靭さと、繊細な抒情性を同時に要求する点が非常に難しく、さらに不規則なアクセントとリズムの変化が演奏者の集中力を削ります。
ラ・カンパネラが持つ「聴衆を魅了する華麗さ」とは対照的に、この曲は演奏者の技術的・音楽的限界に挑む作品です。
ラ・カンパネラより難しい曲8. ゴドフスキー: ショパンのエチュードによる練習曲
エチュード「革命」の左手だけバージョン:出典:YouTube
厳密には一曲ではなく、ショパンの既存のエチュードをさらに難しくアレンジした作品集です。中でも最も有名な「左手のための黒鍵のエチュード」は、本来両手で演奏する技巧的な曲を左手のみで再現するという、ほぼ不可能な挑戦を提示します。
他にも「二つのエチュードの合体」や「逆手で弾く」などの極端な編曲が含まれ、「ピアノ技術の究極」とも評される最難関作品群です。
ラ・カンパネラより難しい曲9.ショパン:エチュード 10-2
出典:YouTube
まず右手の高速なクロマティックパッセージにあり、特に薬指と小指を多用する速くて正確な動きが求められます(これがホントにきつい)。
さらに、右手が忙しく動く中で左手を独立させてシンプルな和音やアルペジオを弾く指の独立性も大きな挑戦です。アレグロの速いテンポを維持し続ける必要があり、疲労で指がもつれると崩れやすいのも難点です。
残念ながらどれだけ練習しても弾けませんでした・・・。これは難しい&腕が途中でつってしまい、最後まで辿り着けません。演奏できる人は、腕の筋がないんじゃないかと思う。
ラ・カンパネラより難しい曲10.モーツァルト:トルコ行進曲(ヴォロドス版)
出典:YouTube
モーツァルトの「トルコ行進曲」のヴォロドス版です。
これもチャレンジしましたが、到底無理でした・・・。
トリルやオクターブ連打、複雑なアルペジオといった超絶技巧の連発。
また、ポリリズムが絡む複雑なリズムとテンポを維持しつつ、拍子感を失わない集中力も求められます。
華やかなアレンジゆえに長く感じる演奏時間を通じてミスなく弾き切る体力と精神力が必要で、上級から超上級ピアニストでも完全再現が難しい、まさにヴィルトゥオーゾ向けの作品です。
見たことない!という方は、とりあえず1度見てみてください!
難易度ランキング: ラ・カンパネラと比較してみた
ということで、ここまで「ラ・カンパネラより難しい」作品10選を紹介しました。
再度言いますが、まだまだたくさんあります。
今回はあくまでも、入り口ということでご理解ください。
せっかくですので、独自の100点満点評価で各要素を数値化してみました。
曲名 | 技術的難易度 | 持久力 | 音楽的解釈 | 演奏時間 | 総合スコア |
リスト: ラ・カンパネラ | 85/100 | 70/100 | 75/100 | 約5分 | 80/100 |
リスト: マゼッパ | 90/100 | 88/100 | 78/100 | 約8分 | 87/100 |
ショパン: エチュード 10-1 | 88/100 | 75/100 | 80/100 | 約2分 | 87/100 |
ラヴェル: スカルボ | 95/100 | 85/100 | 94/100 | 約10分 | 93/100 |
アルカン: 独奏協奏曲 | 93/100 | 98/100 | 90/100 | 約50分 | 95/100 |
バラキレフ: イスラメイ | 95/100 | 92/100 | 85/100 | 約9分 | 92/100 |
ラフマニノフ: ピアノ協奏曲第3番 | 98/100 | 95/100 | 96/100 | 約40分 | 97/100 |
プロコフィエフ: ソナタ第7番 | 88/100 | 90/100 | 93/100 | 約20分 | 90/100 |
ゴドフスキー: 左手の革命エチュード | 89/100 | 85/100 | 85/100 | 約3分 | 91/100 |
ショパン:エチュード 10-2 | 88/100 | 90/100 | 83/100 | 約2分 | 87/100 |
トルコ行進曲(ヴォロドス版) | 90/100 | 86/100 | 80/100 | 約3分 | 88/100 |
「ラ・カンパネラ」は確かに難曲ですが、現代の超絶技巧曲と比較すると、演奏時間の短さや技術要素の種類において、より「挑戦可能」な範囲にあると思います。
よくある質問: ラ・カンパネラと難曲に関するQ&A
Q: ラ・カンパネラはどのくらい難しいの?
A: ヘンレ版の難易度評価では8-9/10とされており、上級者向けの曲です。
主な難しさは右手の高速跳躍にあります。平均的なピアノ学習者が習得するまでに3〜6ヶ月の集中的な練習が必要とされています。
Q: 初心者でも挑戦できる難曲はありますか?
A: 完全な初心者には難しいですが、中級者であれば「ショパンのワルツ Op.64-1(子犬)」や「ベートーヴェンのソナタ『悲愴』第2楽章」から始めるのがおすすめ。
これらは技術的に比較的アクセスしやすく、音楽的な満足感も得られます。
Q: 難曲を弾くメリットは何ですか?
A: 技術的な向上だけでなく、集中力、忍耐力、問題解決能力など様々な能力が養われます。
また、難曲をマスターする過程で得られる達成感は何物にも代えがたいものです。
さらに、演奏表現の幅が広がり、より簡単な曲も豊かに演奏できるようになります。
Q: ラ・カンパネラを弾けるようになれば、他の難曲も弾けるようになりますか?
A: 部分的にはスキルが転用できますが、各難曲には固有の技術的課題があるのが現実。
ラ・カンパネラで培った跳躍技術はリストの他の曲に活かせますが、例えばラヴェルのスカルボには全く異なる技術と音楽的アプローチが必要です。
Q: 一日何時間練習すればいいですか?
A: 量より質が重要です。集中力の高い状態で1〜2時間練習する方が、集中力のない状態で4時間練習するよりも効果的です(実体験として)。
プロのピアニストは一日4〜6時間練習することもありますが、適切な休憩を取りながら、計画的に練習することが重要です。
Q: 手が小さいですが、難曲に挑戦できますか?
A: 手の大きさは確かに制約になることもありますが、適切な指使いの工夫や、アルペジオ化(和音を分散して弾く)などのテクニックで対応可能です。実際、手の小さな著名なピアニストも多数存在します。リストやラフマニノフなど、大きな手を前提とした曲は特に工夫が必要かもしれません。
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ラ・カンパネラより難しい曲10選:まとめ
ということで、「ラ・カンパネラより難しい曲10選」を紹介しました。
演奏者により得意・不得意がありますので、一概には言えないとは思いますが、総合的に難しい曲は結構まだまだあります。
なので、ご自身で練習してみたり、聴いて楽しんだりするのもおすすめです。
3歳からピアノを開始。15歳でショパンの「黒鍵エチュード」、18歳くらいで「ラ・カンパネラ」を弾きました。その後、ぼちぼち続けて「ハンガリー狂詩曲第2番」「マゼッパ」に挑戦するレベルです。ちなみに、音大には行っていません。