この記事では、天才ヴァイオリニスト樫本大進さんを紹介しています。
世界最高峰のオーケストラ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(以下、ベルリン・フィル)の第1コンサートマスターとして、クラシック音楽界の最前線で活躍を続けるヴァイオリニスト、樫本大進(かしもと だいしん)さん。その卓越した技術と深い音楽性で、世界中の聴衆を魅了しています。
この記事では、そんな樫本大進さんの輝かしい経歴や詳しいプロフィール、ソリストとしての現在の活動、そして彼を支える家族や世界からの評価に至るまで、その魅力と功績を徹底的にリサーチし、詳しくご紹介します。
樫本大進さんのプロフィール・経歴
出典:YouTube
メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」
まずは、樫本大進さんがどのような人物なのか、そのプロフィールと経歴を詳しく見ていきましょう。
プロフィール
樫本大進さんの基本的なプロフィールを表にまとめました。
項目 | 内容 |
生年月日 | 1979年3月27日 |
出身地 | イギリス・ロンドン |
活動拠点 | ドイツ・ベルリン |
学歴 | ジュリアード音楽院プレカレッジ、リューベック音楽院、フライブルク音楽大学大学院 修士課程修了 |
師事 | 恵藤久美子、田中直子、ザハール・ブロン、ライナー・クスマウル |
使用楽器 | 1744年製 グァルネリ・デル・ジェス「ド・ベリオ」(株式会社クリスコより貸与) |
役職 | ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 第1コンサートマスター |
音楽監督 | ル・ポン国際音楽祭 赤穂・姫路 |
主な受賞歴 | ・1995年 アリオン音楽賞・1996年 フリッツ・クライスラー国際コンクール 優勝・1996年 ロン=ティボー国際コンクール 史上最年少優勝・1997年 出光音楽賞・1997年 芸術選奨文部大臣新人賞・2011年 兵庫県文化賞・2017年 姫路市芸術文化大賞 |
幼少期から世界へ羽ばたくまでの経歴
樫本大進さんの音楽家としてのキャリアは、かなり早い段階から始まりました。
1979年にロンドンで生まれた樫本さんは、3歳でヴァイオリンを始め、恵藤久美子氏に師事します。
その後、5歳でニューヨークへ移住し、わずか7歳で世界的な音楽家を多数輩出している名門・ジュリアード音楽院のプレカレッジ(予備科)に入学。ジュリアード音楽院では田中直子氏のもとで、その才能をさらに開花させていきます。
これだけでもすごいですが、神童ぶりはとどまることを知らず、11歳の時にはドイツのリューベック音楽院に招かれ、世界的なヴァイオリン指導者であるザハール・ブロン氏に師事。
その後、ベルリン・フィルの元コンサートマスターでもあるライナー・クスマウル氏に指導を受けるため、フライブルク音楽大学へ進学し、修士課程を修了しました。
主要国際コンクールを次々と制覇
樫本大進さんの名が世界に轟いたのは、1996年のこと。
この年に2つの大きな国際コンクールで優勝を果たします。
特にロン=ティボー国際コンクールでの史上最年少優勝は、世界に大きな衝撃を与えました。
これを含め、樫本さんはキャリアの中で計5つもの主要な国際コンクールで優勝するという、まさに前人未到の快挙を成し遂げています。
樫本大進さんの現在の活動【2025年最新情報】
出典:YouTube
ドビュッシー「ヴァイオリンソナタ」
コンクールでの華々しい実績を上げた後も、樫本大進さんの活躍はとどまることを知りません。
ここでは、彼の現在の活動について最新情報(2025年時点)を交えて紹介します。
ベルリン・フィルでの揺るぎない地位
2010年12月、樫本大進さんは31歳の若さでベルリン・フィルの第1コンサートマスターに正式就任しました。
これは日本人としては史上2人目となる快挙であり、現在もその重責を担い続けています。
定期演奏会はもちろん、ヨーロッパやアジアを巡る大規模な公演でもオーケストラを力強く牽引し、そのリーダーシップは高く評価されています。
ソリストとしての精力的な活動
コンサートマスターという多忙な役職を務めながらも、ソリストとしての活動も精力的に行っています。
2023年夏には、作曲家・細川俊夫氏が彼のために書き下ろしたヴァイオリン協奏曲《祈る人》をベルリン・フィルと共に世界初演し、大きな話題を呼びました。
日本でも読売日本交響楽団と共に日本初演を行い、多くの聴衆に感動を与えています。
さらに2025年6月には、ピアニストのアレッシオ・バックス氏とのデュオ・リサイタルを全国ツアーとして開催。モーツァルトやベートーヴェンなど、多彩なプログラムで日本のファンを魅了しました。
若手育成とクラシック音楽の普及
樫本大進さんは、後進の育成やクラシック音楽の普及にも力を注いでいます。
その一環として、自身の公演では学生向けの特別割引席「ハピネスシート」を導入。
若い世代が気軽に最高峰の音楽に触れられる機会を提供しており、その姿勢は多くの人から支持されています。
また、NHKのドキュメンタリー番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」で特集されるなど、メディアにも多数出演し、クラシック音楽の魅力を広く伝えています。
ベルリン・フィル第1コンサートマスターとしての樫本大進さん
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世界最高峰のオーケストラであるベルリン・フィルの「第1コンサートマスター」とは、一体どのような役割なのでしょうか。
第1コンサートマスターの重要な役割
コンサートマスターは、単にヴァイオリンが上手いだけでは務まりません。
オーケストラ全体をまとめる、極めて重要なポジションです。
- オーケストラのリーダー指揮者の音楽的な意図を瞬時に汲み取り、それをオーケストラ全体に伝える「指揮者と楽団員の架け橋」としての役割を担います。ボウイング(弓の動かし方)を統一したり、演奏の細部を調整したりと、音楽的なリーダーシップが強く求められます。
- ソロ・パートの演奏交響曲などの中に出てくるヴァイオリンのソロパートは、すべてコンサートマスターが演奏します。オーケストラを代表するソリストとしての役割も持っているわけですね!
- 楽団員との信頼関係の構築樫本大進さん自身が「音楽をまとめる上で一番大事なのは人間性」と語るように、100人以上いる個性豊かな楽団員たちとの信頼関係を築き、オーケストラ全体の調和を生み出すことも重要な仕事です。
ベルリン・フィルでの評価
樫本大進さんは、2010年の就任から15年近くにわたり第1コンサートマスターを務めており、今や楽団内で最も経験豊富なメンバーの一人です。その卓越した技術と音楽に対する深い洞察力は、指揮者や楽団員から絶大な信頼を得ており、ベルリン・フィルのサウンドを支える不可欠な存在となっています。
樫本大進さんを支える家族(妻・母)
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世界的な音楽家である樫本大進さんを公私にわたって支えているのが、家族の存在であることは言うまでもありません。
ここでは、樫本さんのプライベート情報を紹介します。
妻はマリンバ奏者の出田りあさん
樫本大進さんの妻は、同じく世界的に活躍するマリンバ奏者の出田りあ(いずた りあ)さんです。
出田りあさんは1982年ウィーン生まれ。幼少期から才能を発揮し、数々のコンクールで優勝。現在はソリストとして、また室内楽奏者として国際的に活動しています。
お二人は2007年10月に結婚。
現在は活動拠点であるベルリンで、2人のお子さんと共に暮らしています。同じ音楽家として互いの活動を深く理解し、刺激し合いながら、家庭と音楽活動を両立させている理想的なパートナーと言えるでしょう。
出田りあさん公式Instagram
音楽祭の原動力となった母・潔子さん
樫本大進さんの音楽活動には、母・潔子(きよこ)さんの存在も大きく影響しています。
潔子さんの故郷は、兵庫県赤穂市。樫本さんは幼い頃、夏休みになると赤穂を訪れており、その時の楽しい思い出が彼の中で「日本のふるさと」として強く心に残っていました。
この故郷への想いが原動力となり、後に樫本さんが音楽監督を務める「ル・ポン国際音楽祭」が誕生するきっかけとなっています。
樫本大進さんの音楽監督としての顔「ル・ポン国際音楽祭」
樫本大進さんは、演奏家としてだけでなく、音楽祭のプロデューサーとしての顔も持っています。
2007年、母の故郷である兵庫県赤穂市で、市民が気軽に本物の音楽に触れられる機会を作りたいという想いから「赤穂国際音楽祭」を創設し、自ら音楽監督に就任した樫本さん。
この音楽祭は大きな成功を収め、2012年からは姫路市も共催に加わり、「ル・ポン国際音楽祭 赤穂・姫路」としてさらに規模を拡大。
「ル・ポン(Le Pont)」はフランス語で「橋」を意味し、音楽を通じて人と人、文化と文化の架け橋になりたいという願いが込められています。
この音楽祭は2025年現在も毎年開催されており、樫本さんの呼びかけで世界中から一流の音楽家たちが集結します。地域文化の振興と若手音楽家の育成にも大きく貢献する、重要な活動となっています。
気になる方は、ぜひオフィシャルサイトをチェックしてみてください!
樫本大進さんの使用楽器は名器グァルネリ・デル・ジェス「ド・ベリオ」
ヴァイオリニストにとって、楽器は自らの声とも言える重要なパートナーです。樫本大進さんが現在メインで使用している楽器は、1744年製のグァルネリ・デル・ジェス「ド・ベリオ」という、歴史的名器。
この楽器は、ヴァイオリン製作の最高峰であるストラディヴァリと並び称される名工、グァルネリ・デル・ジェスの晩年の傑作として知られています。
その豊かで深みのある音色は、数多くの伝説的な演奏家に愛されてきました。
この貴重な楽器は、株式会社クリスコから貸与されているものです。
過去には1674年製のアンドレア・グァルネリなども使用していましたが、近年はこの「ド・ベリオ」と共に、世界中のホールで素晴らしい音色を響かせています。
参考|日本ヴァイオリン|ジュゼッペ・グァルネリ・「デル・ジェス」(1698-1744)
世界が認める樫本大進さんの評価
最後に、樫本大進さんが世界からどのような評価を受けているのかを見ていきましょう。
樫本さんの演奏は、まず「卓越した技術」と「一点の曇りもない澄んだ音色」で高く評価されています。どんなに難しいパッセージでも余裕を持って弾きこなし、その正確無比なテクニックは多くの批評家から絶賛の嵐です。
しかし、樫本さんの魅力はそれだけではありません。
ある批評家は「技術的な正確さと音楽的な探究心が融合し、聴き手を未知の領域へと誘う演奏家」と評価。
また、ベルリン・フィルのコンサートマスターとして、「指揮者的な視点を併せ持つ稀有な存在」とも言われています。
実際のコンサートレビューでも、「彼のヴァイオリンは、作品に込められた野心と音楽の高みへと聴衆を導く力がある」「難曲をいとも簡単に弾きこなす姿は圧巻」といった賛辞が並びます。
ソリスト、室内楽奏者、そしてオーケストラのリーダーとして、多面的な表現力を持つ樫本大進さん。現代クラシック音楽界を代表する、まさに日本が世界に誇るヴァイオリニストと言えるでしょう。
コンサート情報等については、オフィシャルサイトやチケット情報サイトでご確認ください。
樫本大進さんの経歴・プロフィール:まとめ
この記事では、ベルリン・フィルの第1コンサートマスターを務めるヴァイオリニスト、樫本大進さんについて、幅広くご紹介しました。
あらためてポイントをまとめます。
- 7歳でジュリアード音楽院プレカレッジに入学した神童
- ロン=ティボー国際コンクールを史上最年少で制覇
- 31歳でベルリン・フィルの第1コンサートマスターに就任
- 現在もソリスト、室内楽奏者として世界中で活躍
- 妻はマリンバ奏者の出田りあさん
- 「ル・ポン国際音楽祭」の音楽監督として地域文化にも貢献
- その演奏は世界中の批評家や聴衆から絶賛されている
世界的オーケストラの顔として、また音楽と社会を結ぶ架け橋として、樫本大進さんの今後のさらなる活躍から目が離せませんね!