今回はオーボエの有名な曲20選を解説します。
この記事を読めば、以下のことがわかりますよ!
この記事をお読みいだければ、これまで以上にオーボエへの興味がアップするはずです。
記事の前半では「オーボエの特徴や魅力「オーボエの有名な曲」を解説し、記事の後半では「オーボエの豆知識」について具体的に紹介します。
オーボエの魅力と特徴

作品の解説に入るまえに、オーボエについてざっくりと解説しますね。
「こんなこと知ってるよ〜」という人は飛ばしてください。
一方で、「あんまりよく知らない・・・」という人にとってはかなり参考になると思います。


オーボエとは?
木管楽器の一種で、ダブルリードという2枚のリードを振動させて音を出します。
音域は3オクターブ程度と広くありませんが、澄んだ美しい音色、低音域では暖かみのある響きが魅力です。
17世紀頃に誕生し、バロック時代以降、多くの作曲家がオーボエのための作品を残してきました。特に協奏曲やオーケストラのソロパートが豊富で、ソリストとしても活躍できる楽器です。
オーボエはフランス語で「高い木」が語源とのこと。
13世紀から17世紀にかけて発達したショームという楽器が原型とされています。
オーボエの音色の特徴
オーボエの音色には「鼻にかかったような音」「哀愁を帯びた響き」とも表現され、他の楽器とは一線を画す独特の魅力があります。
感情豊かに歌うようなフレーズが得意で、クラシックだけでなく映画音楽やポップスでも印象的なメロディを奏でることが多い楽器です。
世界一美しいメロディーと言われる、ボロディン作「ダッタン人の踊り」では、オーボエの魅力が最大限に発揮されていますね。
オーボエはオーケストラの基本音!
オーボエはオーケストラで「基本の音(A=440HzまたはA=442Hz)」を出す役割を担っています。演奏が始まる前、全員が楽器を調整するときに、まずオーボエが「A(ラ)」の音を吹き、その音を基準にして弦楽器や管楽器がチューニングを行います。
その理由は、音が安定していて遠くまで響きやすいからとのこと。
また、オーボエの音は倍音が豊かで、ほかの楽器とよく調和するという説もあります。
そのため、オーケストラや吹奏楽の中で「最初の音」を出すのは、ほぼ例外なくオーボエというわけです。
オーケストラや吹奏楽を聴く機会があれば、ぜひチェックしてみてください!
オーボエの名曲が多い理由
オーボエはバロック時代(実は古代ギリシャの伝説にも登場)からクラシック音楽において重要な楽器とされ、多くの作曲家がオーボエのための名曲を残してきました。
18世紀〜19世紀にかけては協奏曲が数多く作られ、20世紀以降は映画音楽などにも取り入れられるています。
オーボエの音色を存分に楽しめる名曲はたくさんありますが、本記事では特に有名で人気の高い20曲を厳選して紹介します。
オーボエの有名な曲【協奏曲】編
ということで、オーボエの有名な曲を紹介します。
いつものように、著者の独断と偏見➕紙面の都合上での解説なので、その点はご容赦ください。
オーボエの有名な曲1. モーツァルト:オーボエ協奏曲
モーツァルトが1777年に作曲した、オーボエ協奏曲の代表作。
軽やかで優雅な旋律と、華やかで技巧的なパッセージが特徴です。
第2楽章の美しいカンタービレ(歌うようなメロディ)は、オーボエの甘美な音色をじっくりと堪能できるメロディです。
出典:YouTube
オーボエの有名な曲2. R.シュトラウス:オーボエ協奏曲
20世紀のオーボエ協奏曲の最高傑作と評される作品。
第二次世界大戦後、アメリカ軍のオーボエ奏者ジョン・デ・ランシーの勧めを受け、シュトラウスが晩年に作曲しました。技巧的かつ表現力が求められ、演奏の難易度も非常に高いですが、その分演奏すると大きな達成感を得られる作品です。
出典:YouTube
オーボエの有名な曲3. バッハ:オーボエ協奏曲
3つの楽章からなり、バッハ特有の対位法が随所に活かされた構成が魅力的な協奏曲です。
第2楽章ではオーボエの歌うような美しい旋律が際立ち、しっとりとした雰囲気を作り出します。バロック音楽の醍醐味を味わえる名曲の一つで、オーボエの繊細な音色が光ります。
オーボエの有名な曲4. マルチェッロ:オーボエ協奏曲 ニ短調
バロック時代のオーボエ協奏曲の中でも特に有名な作品。
なかでも第2楽章のアダージョは、深い哀愁を帯びた旋律が印象的で、映画やドラマでも使用されることがあるほど美しい楽章です。
バロック音楽らしいエレガンスさと哀愁を併せ持っており、オーボエ初心者にもおすすめの名曲です。
出典;YouTube
オーボエの有名な曲5. ヴィヴァルディ:オーボエ協奏曲 RV461
バロック音楽の巨匠ヴィヴァルディによるオーボエ協奏曲。
ヴィヴァルディはオーボエのために多くの協奏曲を作曲しましたが、なかでもこのRV 461は特に人気の高い作品です。第1楽章は華やかで軽快なリズム、第2楽章は叙情的で美しい旋律、第3楽章では再び活気に満ちた展開を見せます。
「RV」とはヴィヴァルディの作品に使用される作品番号で、「リオム番号」と呼ばれています。RVはRyom-Verzeichnisの略でドイツ語で「リオムの目線」という意味です。
ヴィヴァルディについてはこちらからどうぞ。
オーボエの有名な曲【オーケストラ】編
続いて、オーケストラ作品の中で映える作品を紹介します。
どの作品も1度は聴いたことがあるメロディではないでしょうか。
オーボエの有名な曲6. ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」第2楽章
「家路(いえじ)」としても知られるこの楽章は、オーボエの温かく郷愁を誘う旋律が印象的。アメリカの風景を思わせるような静かで美しいメロディが特徴で、まるで故郷を懐かしむかのような感覚を与えます。オーボエの豊かな音色が前面に出る名場面であり、オーケストラの中でも特に感動的なソロの一つです。ドヴォルザーク最高傑作の1つですね。
出典:YouTube
7. サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ
サン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」は、ヴァイオリンの名曲として有名ですが、オーケストラ伴奏の中でオーボエが活躍する部分もあります。特に序奏部分では、オーボエの繊細で哀愁漂う音色が印象的。オーケストラの中でオーボエがメロディを担う場面が多く、木管楽器の美しさを堪能できる曲です。
出典:YouTube
8. ベルリオーズ:幻想交響曲 第3楽章「野の風景」
続いてはロマン派の作曲家ベルリオーズから。
この楽章はオーボエとイングリッシュホルンの掛け合いが特徴的。
牧歌的な雰囲気が漂い、自然の中で恋人たちが語り合うようなイメージが描かれます。
特にオーボエのソロは、遠くから響いてくるような柔らかい音色が求められ、表現力が試される場面です。
出典:YouTube
9. ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
ラヴェルの代表曲の1つです。
冒頭のメロディが、儚く美しいメロディを奏でます。
フランス音楽らしい繊細な表現が求められ、オーボエの音色の純粋さが際立つ瞬間です。
ゆったりとした流れの中で、息の長いフレージングや柔らかな音作りが求められる、オーボエ奏者にとっての名場面の一つです。
10. ボロディン:「ダッタン人の踊り」
ロシアの作曲家ボロディンによる歌劇《イーゴリ公》の中でも特に有名な楽曲。
「ダッタン人の踊り」はオペラの第2幕で登場し、異国情緒あふれる旋律とダイナミックなオーケストレーションが特徴的。
冒頭、オーボエが奏でる哀愁漂う旋律が印象的で、広大な草原に響くような美しい響きが魅力です。ボロディンは、ある意味では究極の一発屋かもしれません。
出典:YouTube
オーボエの有名な曲【吹奏楽】編
オーボエの有名な曲11. アルフレッド・リード:エル・カミーノ・レアル
情熱的なスペイン風の旋律が特徴の吹奏楽の名曲。
オーボエはソロパートで哀愁漂うメロディを奏で、曲に深みを与えます。
テンポの速い部分とゆったりした部分が交互に訪れる構成で、オーボエの表現力が試される楽曲です。
出典:YouTube
12. ホルスト:吹奏楽のための第一組曲 第2楽章「インテルメッツォ」
ホルストの代表作の一つで、中間楽章にオーボエの美しい旋律が登場。
優雅で流れるようなメロディは、オーボエの柔らかい音色にぴったりで、吹奏楽の木管セクションの魅力を存分に感じられる一曲です。
出典:YouTube
13. スパーク:ドラゴンの年
現代吹奏楽の人気曲で、オーボエが活躍する場面が多い作品。
特に第2楽章では、オーボエが幻想的な旋律を奏で、異世界のような雰囲気を作り出します。
技術的にも演奏が難しく、吹奏楽の中でもオーボエの存在感を強く感じられる曲です。
出典:YouTube
14. 真島俊夫:三つのジャポニスム
日本をテーマにした吹奏楽曲で、第2楽章「鶴が舞う」ではオーボエが重要な役割を担います。オーボエの哀愁漂う音色が、日本の伝統美を感じさせる印象的なシーンを作り上げます。
出典:YouTube
15. トマス・スミス:フェスティバル・バリエーションズ
吹奏楽の華やかな作品の中で、オーボエが繊細なメロディを奏でる場面が登場。
金管楽器の迫力のある演奏の合間に、オーボエの柔らかくも際立つ音色が光ります。
出典:YouTube
16.保科洋:風紋
日本の作曲家・保科洋による吹奏楽の名曲。
もともとは1975年にコンクール課題曲として作曲され、その後改訂版が発表されました。
タイトルの「風紋」は、風が砂丘や地表に刻む美しい波模様を指し、本作はそのイメージを音楽で表現しています
冒頭の静かで神秘的な旋律は、オーボエによって奏でられ、風が大地を優しく撫でるような情景が見事に描かれています。
出典:YouTube
オーボエの有名な曲【映画・ポップス】編
オーボエの有名な曲17. モリコーネ:映画「ミッション」より『ガブリエルのオーボエ』
映画「ミッション」の中で流れる、美しく哀愁を帯びたオーボエの旋律が印象的。オーボエの優雅な音色が際立ち、世界中で愛される名曲です。
出典:YouTube
18. ジョン・ウィリアムズ:映画「E.T.」より『フライング・テーマ』
E.T.が空を飛ぶシーンで流れる壮大な音楽の中に、オーボエの印象的なソロが登場。
ジョン・ウィリアムズらしい感動的なメロディを、オーボエの柔らかな音色が美しく奏でます。
出典:YouTube
19. ハンス・ジマー:映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」より『彼こそが海賊』
力強い金管セクションが有名な曲ですが、オーボエのメロディが印象的な場面も。
冒険心を掻き立てる曲調の中で、オーボエが独特の味わいを加えています。
出典:YouTube
20. ビートルズ:『ペニー・レイン』
ビートルズの名曲の中で、オーボエが活躍する珍しいポップス曲。
軽やかで明るいメロディの中に、2本のオーボエのクラシカルな音色が加わることで、独特の雰囲気を醸し出しています。
出典:YouTube
オーボエの面白い豆知識
オーボエの有名な曲はまだまだたくさんありますが、今回はここまで。
またいつか、追記したいと思います。
ここでは、せっかくですので、明日話せるオーボエ豆知識を紹介します。
① オーボエの音は「泣いているような音」に例えられる
オーボエの音色は「人間の声に近い」と言われることが多いですが、特に「悲しげで泣いているような音」に例えられることもあります。
そのため、感情を強く表現する場面で使われ、映画音楽やオペラでも印象的なシーンを演出するのに用いられることが多いです。
② オーボエのリードは職人技!演奏者は自作することも
オーボエの音を決める最大の要素は「リード(吹き口)」です。
既製品もありますが、多くのオーボエ奏者は自分でリードを作り、自分の好みに合わせて調整します。
その技術は、さながら職人技。
リードの良し悪しで演奏のしやすさや音色が大きく変わるため、オーボエ奏者は演奏だけでなく「リード作り」も日々の課題として取り組んでいます。
③ オーボエ奏者は息の使い方が特殊!
オーボエは他の管楽器と比べて「息の量が少なくても音が鳴る」特徴があります。
しかし、その分「息を吐ききれない」ことがあり、息を適度に抜くテクニック(循環呼吸とは違う)が必要です。
オーボエは「世界一難しい楽器」と呼ばれており、美しいメロディを奏でるには、かなりの努力が求められます。
④ 世界で最も高価な木管楽器のひとつ
オーボエは高価な楽器としても有名。
プロ仕様のものは100万円を超えることも珍しくありません。
特に、「ローズウッド」や「グラナディラ」などの希少な木材を使ったオーボエは価格がさらに高騰します。
また、リードも消耗品であり、こまめに交換しなければならないため、維持費も高い楽器です。
といっても、一流の演奏家の楽器はどれも高価ですが・・・。
楽器をお探しの方はこちらの記事を参考に。
⑤ オーボエは「音程を変えにくい楽器」
オーボエはフルートやクラリネットに比べて音程の調整が難しい楽器です。
リードの影響が大きいため、リードの状態によっては音程がズレやすいのが特徴。
そのため、オーボエ奏者は耳を鍛え、絶えず音程を意識しながら演奏しています。


オーボエの有名な曲:まとめ
今回はオーボエの有名な曲を20曲紹介しました。
どの作品も名作揃いなので、ぜひオーボエの魅力を改めて感じてください!
- オーボエはオーケストラの基本音を担当する重要な楽器。
- クラシックの名曲には、オーボエの魅力を存分に感じられる作品が多い。
- オーボエの音色は「泣いているよう」と例えられることが多く、感情豊かな旋律が印象的。
- 吹奏楽やオーケストラでもオーボエのソロが際立つ曲が多い。
- オーボエ奏者はリード作りや特殊な息の使い方が必要で、演奏の奥深さも魅力のひとつ。
- オーボエの有名な曲を知ることで、より深く音楽を楽しめる!
オーボエ初心者の方はこちらの記事も参考になるかと。