ヘンデルシリーズ2つ目は、作品の特徴や代表曲紹介です。
ふだん作品を聴く機会はあまりないかもしれませんが、
「えっ?この曲そうなの?」という作品も残しています。
バッハと同時代に活躍し、
「音楽の母」と称されるヘンデルの作品にはどのようなものがあるのでしょうか。
今回はヘンデルの作品の特徴と、
おすすめ代表作を7曲紹介します。
これを読めば、ヘンデルについて少しだけ詳しくなるので、
ぜひ最後まで読んでみてください!
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出典:Amazon「The Best of Handel,vol.」
ヘンデルのおすすめ代表曲7選
ヘンデルのおすすめ作品を紹介します。
オペラやオラトリオの分野で数々の名曲を残したものの、
現在では上演される機会はほとんどありません。
しかし、意外にもあの曲やこの曲がヘンデルの作品だったりします。
その証拠に、まずはこちらをお聴きください!
オラトリオ『ユダス・マカベウス』より「見よ勇者は帰る」
『ユダス・マカベウス』は1745年から翌年にかけて作曲されたオラトリオです。
ジャコパイトの反乱で活躍したカンバーランド公爵を讃えるために作られました。
1747年に初演が行われ、本作は大成功を収めています。
現在でも『メサイア』に次ぐ人気作品です。
作中曲の「見よ勇者は帰る」は日本人にも馴染み深いメロディーとして愛されています。
日本には明治時代に伝わり、1874年、共闘遊戯(運動会の起源)ですでに演奏されたそうです。
また、ベートーヴェンもこのメロディーを用いて変奏曲を残しています。
オペラ『リナルド』から「私を泣かせてください」
11世紀エルサレムを舞台とした叙事詩『解放されたエルサレム』を原作として作曲されたオペラです。
言い伝えによれば、この大作をヘンデルはわずか2週間で書き上げたといいます。
また、ヘンデルのオペラ作品には5つの「魔法オペラ」と呼ばれるシリーズがあり、
本作はその1つに数えられています。
その他の作品は以下の通りです。
- オルランド
- アルチーナ
- テゼオ
- アマディージ
本作はロンドンで初演されたヘンデル初のオペラであり、
1711年の初演以降、15回上演されるヒット作となりました。
劇中に登場する「リナルドのアリア」は、ヘンデルの作品の中でも、最も美しいアリアと称されています。
天上のような美しいメロディーをぜひ聴いてみてください!
オペラ『セルセ』より「オンブラ・マイ・フ」
1737年から1738年にかけて作曲された、3幕からなるオペラです。
残念ながら、現在では上演される機会は少ないものの、
第1幕冒頭のアリア「オンブラ・マイ・フ」はヘンデルの名作として今も愛されています。
「オンブラ・マイ・フ」とは「なつかしい木陰」という意味です。
本作のタイトル『セルセ』とは、クセルクセスをイタリア語で表したものであり、
古代ギリシャの歴史家ヘロドトスの『歴史』をモチーフとして制作されました。
また本作は、ヘンデルが最初に作曲したコミカルなオペラとしても知られています。
弦楽バージョンもあるので、聴き比べてみましょう。
オペラ『アグリッピーナ』
ヘンデルがイタリア滞在中に作曲したです。
1709年の初演は大成功となり、初演から27回連続公演されるヒット作となりました。
ヘンデルの死後、他の作品と同様忘れさられましたが、
20世紀に入りドイツで復活上演がされるなど、近年新たに注目が集まっています。
また、2007年にはニューヨーク、ロンドンなどでも新たな演出により再演されました。ヘンデルの作品の中でも、最も人気のあるオペラの一つです。
ハープ協奏曲
オペラ・オラトリオ作品が続いたので、少し趣向を変えた作品もぜひ。
ヘンデルは管弦楽や協奏曲などの作品も多くの作曲しました。
そのなかでも、意外に有名なのが本作『ハープ協奏曲』。
日本では、某カレーメーカーのCMで昔使われていたので、
懐かしい気持ちになる方もいらっしゃると思います。
本作は1736年に作曲された、世界初の『ハープ協奏曲』です。
全3楽章で構成され、演奏時間はおよそ15分です。
優しいハープの音色が全編にわたり、鳴り響きます。
また、初演から2年後の1738年には「オルガン協奏曲」として編曲されました。
王宮の花火の音楽
次は管弦楽組曲『王宮の花火の音楽』です。
明るく華やかな作品は、聴く人の心も楽しませてくれます。
本作は1748年、オーストリア継承戦争終結を祝うために作曲され、
ロンドンで行われた公開リハーサルにはなんと12000人もの人が押しかけたと言われています。5つの楽曲で構成されています。
- 序曲(ニ長調)
- ブレー(ニ短調)
ブレーとは・・・速いテンポの2拍子の舞曲 - 平和(ニ長調)
- 歓喜(ニ長調)
- メヌエット1(ニ短調)・2(ニ長調)
祝典は大成功となったものの、肝心の花火に不具合があり、パビリオンが焼け落ちるという事件が起きたそうです。
管弦楽組曲集・第2組曲「水上の音楽」
ヘンデルをもっとも代表する管弦楽組曲です。
なかでも、組曲第2番第2曲「アラ・ホーンパイプ」は聴いたことの方も多いかもしれません。
第1組曲は9曲、第2・3組曲はそれぞれ5曲で構成されています。
作曲当時(1710年)、ヘンデルはドイツ・ハノーファー選帝候の宮廷楽長に任命されていました。
ところが、イギリスに定住していた彼は、帰国命令を受け入れず現地に留まります。
そんななか、1714年になんと当のハノーファー選帝候がイギリスのジョージ1世として迎えられます。
これに困ったヘンデルはジョージ1世との和解を目的として、
本作を作曲したそうです。
しかしこの話の真偽はわかっておらず、
現在では作り話として伝えられています。
ヘンデルの作品の特徴は?
ここまで、ヘンデルの代表作について解説しました。
ヘンデルの作品は、全体として明るく明快なのが特徴です。
ヘンデル作品の特徴1、生涯で600曲以上を作曲
バッハと同時代に生きたヘンデル。
しかし、その活躍は祖国ドイツを超え、イタリア・イギリスでも大きな成功を収めています。
バッハには及ばないまでも、作品数も多く、生涯で610曲(作品番号上)もの作品を世に送り出しました。
とくに、オペラ・オラトリオの分野で活躍したヘンデルは、
生涯で36曲のオペラを作曲し、これはモーツァルト(21曲)やヴェルディ(28曲)、ワーグナー(14曲)よりも多い数字です。
ヘンデル作品の特徴2、記念作品を多く手がける
バッハは音楽の可能性を追求した一方で、
ヘンデルは祝典曲や戦勝記念曲などの、「記念作品」を多く残しています。
これは、ヘンデルが宮廷に仕え重宝されていたことの証でもありますが、
なによりも、その作品がわかりやすく一般ウケするものだったからにほかありません。
ヘンデルは、作曲家である以上に当時の「エンターテイナー」でもあったわけです。
作品を「いかに楽しんでもらうか」や「どうしたらヒットするか」など、さまざまな工夫をしながら作品を書き上げました。
ヘンデル作品の特徴3、現代に復活されつつある
ヘンデルは、没後も忘れられることのなかった初の作曲家と言われています。
あの大バッハでさえ、死後は注目されることなく、
メンデルスゾーンが取り上げるまでに100年以上の歳月を要しました。
しかし、ヘンデルの名声は、死後も衰えず、生まれ故郷ハレには銅像まで建てられました。
また、あのベートーヴェンも最高の作曲家としてヘンデルの名を挙げています。
近年ヘンデルのオラトリオやオペラ作品が見直されており、
20世紀おドイツやイギリスでは、新たな演出により再演も行われています。
もしかしたら、今後も彼の作品が上演される機会が増えてるかしれませんね。
ヘンデルの代表曲・特徴まとめ
ヘンデルシリーズ第2弾は、代表曲や作品の特徴について解説しました。
「あれ?メサイアは?」と思われたかたもいると思いますが、
それは次回の曲解説で紹介します。
今回も4作シリーズとなると思いますので、
お時間のある時に読んでいただければ幸いです。
ではでは・・・。