今回はシューベルトの『未完成交響曲』ロ短調についての解説です。
前回のシューベルト記事をまだ読んでいない方はコチラからお読みいただけます。
シューベルトシリーズ第1回目は👇です
シューベルト『未完成交響曲』の解説
『未完成交響曲』ってタイトル、なんだか魅力的ではないですか?
「えっ?完成してないの?」って声が聞こえてきそうですが、
答えは簡単。
「その通り!完成していません」
この曲は1822年、シューベルトが25歳の頃の作品で、シューベルトの作品の中でも屈指の傑作と言われています。
25歳までに既に6つ(場合によっては7つ)の交響曲を作曲していたことを考えると、それだけでもシューベルトの天才っぷりが分かりますね。
第1楽章と第2楽章だけ完成していて、残りは第3楽章の冒頭9小節だけがオーケストレーションされ、それ以降はピアノの下書きのみが残されています(全体では4楽章を構想していたようです)。
つまり、『未完成交響曲』は2楽章のみで構成された交響曲となります。そしてこちらが『未完成交響曲』(カラヤン指揮)。
未完となった理由は諸説さまざまです。
カラヤンの指揮は迫力がありますね♫。
交響曲第何番???
実はシューベルトの交響曲には他にも未完成の作品があります。
「じゃあ、なんでこの作品だけ有名なの?」
と思われた方もいると思います。
その答えとしてはおそらく、完成された2楽章までが抜群に素晴らしいからというのが答えかなと・・・。
で、この作品のややこしいのは、「一体交響曲何番なんだ???」ってところにあります。
上で書いたように、シューベルトの作品には未完成のものが多く、作品番号が変わることも珍しくありません。
この作品もその一つで、一時期は交響曲9番、10番と呼ばれていたこともあったようです💦。
さらに、20世紀中頃までは前年1821年に作曲された交響曲を含めて「第8番」として演奏されてています。👆に紹介したカラヤン指揮の演奏も「第8番」になってますよね?
しかし、現在では「国際シューベルト協会」版に則り、「第7番」として演奏されるのが一般的です。
初演が1865年???
『未完成交響曲』が作曲されたのは、1822年だったことは上記でお話しました。
しかし、この作品が初演されたのはなんとシューベルト死後37年も経った1865年。
なぜそんなに初演が遅くなったかというと・・・。
「作品を届けた人物の机の中に忘れ去られていたから」とのこと。
そして1865年5月、指揮者ヨハン・ヘルベックが机の中から偶然『未完成』のスコアを発見し、同年12月に初演となりました。
この頃のシューベルトは大作曲家として名声を獲得してましたが、評価されるのが少し遅すぎた感がありますね。
実は3大交響曲の1つ。
シューベルトの『未完成交響曲』は多数ある交響曲の中でも、3大交響曲の一つとし数えられています。「3大〜」って誰が決めてるのかな?。
それはさておき、「え?未完成なのに?」と最初知った時に筆者も思いました。
しかし、作品の崇高さと完成度の高さという意味では類を見ない傑作だと今なら思います。
大指揮者のワインガルトナーはこの作品について
「あたかも、地下から湧き上がるような(音楽)」と形容しています。
ちなみに、他の二つは「ジャジャジャジャーン」でお馴染みベートーヴェンの『交響曲大5番』(運命)。バレンボイム指揮👇
そしてもう一つはなんだと思いますか?(シンキングタイム10秒)。
はい終了〜〜。
正解はドヴォルザークの『交響曲第9番』(新世界)です。👇の4楽章が有名ですね。
椿音楽教室「未完成」と呼ばれる理由は??
この作品が「未完成」となってのにはさまざまな説が考えられています。
その中から代表的なものを紹介してみます。
・最初の2楽章までの完成度があまりに高かったため、3楽章のスケルツォでそれを超える着想を得られなかった。
・同時並行で多くの作曲をこなしていたため、忘れてしまっていた(いずれは完成させる予定だった)。
・第2楽章までのままでも十分に芸術的であると判断し、それ以上のつけたしは蛇足に過ぎないと考えた。
・当時の金管楽器ではロ短調の交響曲を作曲するのが難しかった。
・ピアノ曲『さすらい人幻想曲』の方が高収入に繋がったため、そちらを優先させた。
・第1楽章と2楽章が3分の1拍子で、第3楽章も構成上3分の1拍子になるため、作曲に困難を感じた
・第3楽章がベートヴェンの『交響曲第2番』と似ていたために断念した。
・梅毒に罹患し体調不良だったため続きを書けなかった
こうして見てみると、結構説があって本当のところはわかりません・・・。
しかし、「未完成」だからこそ、作品の魅力が増しているのは間違いないでしょうね(ということにしておこう)。こういうのを心理学ではツァイガルニク効果というらしいですよ。「いいところで終わるんだよね〜」ってやつ。
『未完成交響曲』の楽器編成や楽曲編成について
- フルート
- オーボエ
- クラリネット
- ファゴット
- ホルン
- トランペット
- トロンボーン
- ティンパニ
- 弦楽5部
第1楽章 アレグロ・モデラート ロ短調、4分の3拍子。
冒頭の動機が有名。深淵でありながら悲劇的な雰囲気が特徴的。
第2楽章 アンダンテ・コン・モート ホ長調、8分の3拍子。三部形式。
25歳で作曲したとは思えない、壮大なラスト。シューベルトの人生観そのものが垣間見えるよう。
シューベルト『未完成交響曲』まとめ
ということで、今回はフランツ・シューベルト『未完成交響曲』について解説しました。
ざっくり書いてみましたが、わかりやすく書けたでしょうか・・・。
この記事を通じて、少しでも作者や作品を知ってもらい、興味を持っていただけたらと思います。
これからも少しずつ書いていこう思っていますので、また次回もぜひお楽しみに!!
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