この記事では、ドヴォルザークのおすすめ代表曲を通じて、作品の特徴や魅力を紹介します。
難しい音楽用語や専門用語はもちろん登場しません。
それよりも、実際に作品に触れながらドヴォルザークの世界観を楽しんでみてください。
クラシック音楽界きってのメロディーメーカーとして知られるドヴォルザーク。
今回は多くの名作の中から7曲をピックアップしていますので、
ぜひ最後までお読みいただき、参考にしてみてください!
ドヴォルザークのざっくり生涯についてはこちらか↓から。
出典:アマゾン、ベスト・オブ・グレート・コンポーザーズ ドヴォルザーク
ドヴォルザークのおすすめ代表曲7選
ヴィオラ奏者としてキャリアをスタートさせたドヴォルザークは、その後作曲家に転身。
天性のメロディメーカーとして、ヨーロッパだけでなくアメリカでも絶大な人気を獲得しました。
そんな彼のおすすめ代表曲を筆者の独断により7曲紹介します。
どこかで聴いた曲から、マニアックな作品までありますので、
教養としてお楽しみくだされば幸いです。
ドヴォルザークのおすすめ代表曲その1、『弦楽セレナーデ』
1875年に作曲されたドヴォルザークを代表する管弦楽曲です。
クラシック音楽の室内楽として最高水準を誇る楽曲であり、
現在でも演奏機会のとても多い作品でもあります。
また、チャイコフスキー、エルガーがそれぞれ作曲した弦楽セレナードと共に、
「3大弦楽セレナーデ」の1つに数えられています。
チャイコフスキーの劇的なそれとは異なり、
舞踏会でのダンスで流れるような明るく、優雅な作風が特徴です。
愛する女性と結婚し、作曲家として名声を獲得し始めた高揚感からきているのかもしれません。
その証拠に、ドヴォルザークはこの作品をわずか11日間で書き上げたと言われています。
本作は全5楽章で構成されてり、演奏時間はおよそ30分です。
代表曲その2、『スラヴ舞曲集』
ブラームスの『ハンガリー舞曲』の成功を受けて、「それに匹敵する作品を」との依頼で作曲された舞曲集です。
1878年の3月から5月にかけて作曲され、8曲で構成された『スラヴ舞曲集』(第1巻)が発表されました。
当初はピアノ連弾用に作られましたが、
のちにドヴォルザーク自身によって管弦楽版にアレンジがなされています。
ドヴォルザークは本作において民族舞曲の要素をふんだんに取り入れており、
なかでも2番は屈指の名作として有名です。
ロマンティシズムと民族音楽との優雅な融合をお楽しみください。
代表曲その3、『ユーモレスク』
「この曲もドヴォルザーク?」と思われた方もいるのではないでしょうか。
誰しも1度は聴いたことがあるであろう、『ユーモレスク』も彼の作品です。
「ユーモレスク」とはロマン派音楽の表現の一つで、
特定の形式がない、自由で気まぐれな楽曲を意味します。
牧歌的でのんびりとした風景が目に浮かぶような作品ですよね。
こちらも元は、『ユーモレスク集』の中の1曲で、第7番にあたります。
1894年の作曲当初は「新スコットランド舞曲』呼ばれていましたが、
出版社に送られる直前に『ユーモレスク集』に変更されたそうです。
クライスラーによるヴァイオリンアレンジも有名です↓
代表曲その4、『スターバト・マーテル』
明るい曲から一転して、宗教曲の紹介です。
こちらはかなりマニアックな作品ですが、
ロッシーニが作曲した同名の作品と並び、19世紀を代表する『スターバト・マーテル』と評価されています。
「スターバト・マーテル」とは、キリスト強のテーマである、
「悲しみの聖母」のこと(ざっくりですよ!)。
音楽だけではなく、絵画でも同タイトルの作品が数多く残されています。
全10曲から構成される本作は、
作曲開始から3年後の1880年に初演を迎え、大きな成功を収めています。
荘厳でありながらも、ドヴォルザークの美しいメロディが際立つ名作です。
代表曲その5、『交響曲第8番』
1889年にボヘミヤにて作曲されたドヴォルザークを代表する交響曲であり、「イギリス」の愛称でも親しまれています。
本作は、壮大な迫力と雄大さ、そして望郷を思わせる作風が魅力です。
全4楽章構成で、演奏時間は40分程度です。
本作が「イギリス」と言われるのは、
作曲料をケチったドイツのジムロック社に激昂したドヴォルザークが、
イギリスのノヴェロ社に出版を依頼したからとのこと。
代表曲その6、『弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」』
ドヴォルザークは室内楽においても多数の傑作を残しました。
そのなかでも、もっとも有名な作品が「アメリカ」の愛称で親しまれる本作です。
1893年にアメリカ滞在中に作曲され、
翌1894年に初演が行われました。
音楽院の学生だったヨゼフ・ヤン・コヴァリック一家へのバカンスでの返礼として作曲され、およそ2週間で完成したと言われています。
アメリカで得た新たなインスピレーションが存分に発揮された1曲です。
代表曲その7、『我が母の教えたまえし歌』
1880年に作曲したドヴォルザークを代表する歌曲です。
チェコの詩人アドルフ・ハイドゥークの詩集に作曲が施され、
『ジプシー歌曲集』の4曲目に収録されています。
こちらも『ユーモレスク』と同じく、クライスラーのヴァイオリン編曲により、
有名になりました。
日本では「母が教えてくれた歌」としても知られています。
民謡的でありながら、ロマン派的メロディーが美しい名曲です。
こちらがヴァイオリンハージョン↓
ドヴォルザークの作品の特徴や魅力について
ここまでドヴォルザークのおすすめ代表曲を紹介しました。
どの作品も美しいメロディで、聴く人の心をつかむ名曲ばかりです。
以下では、ドヴォルザークの作品の特徴や魅力についてざっくりと解説します!
作品の特徴や魅力その1、美しく哀愁漂うメロディ
ドヴォルザークは、美しい旋律を紡ぎ出す天才でした。
そんな彼の作品の魅力は、シンプルながらも印象的なメロディーにあります。
たとえば、『交響曲第9番「新世界より」』の第2楽章は、
チェコの民謡を基にした旋律で、誰もが口ずさみたくなるような、
シンプルで美しいメロディーです。
また、スラヴ舞曲集の第1番「ニ短調」は、チェコの民族舞曲「ホフカー」を基にした旋律で、力強く躍動感あふれる名曲となっています。
ドヴォルザークの旋律は、チェコの民族音楽への深い理解と愛情から生まれたものと言えます。チェコの民謡のシンプルさ、力強さ、そして哀愁を、自らの音楽に取り入れつつ、誰もが共感できる普遍的な美しさを獲得した点が最大の魅力と言えるでしょう。
その2、民族音楽とクラシック音楽を融合
ドヴォルザークは、これまで見てきた通り、チェコの民族音楽に深く根ざした作品を数多く作曲しました。
スラヴ舞曲集は、チェコの民族舞曲を基に作られた作品で、これらの作品からは、チェコの豊かな自然や文化、そして人々の生活が感じられるのではないでしょうか。
ドヴォルザークはチェコの民俗音楽を単なる素材とせず、その美しさと力強さを、自らの音楽の中で昇華させました。その結果、彼の音楽はチェコの民族音楽の魅力を世界中に伝わるきっかけとなりました。
また、限定的な民族音楽をクラシックの語法と融合させたことにより
後世の音楽家に多大な影響を及ぼしています。
その3、誰にでも親しみやすい音楽
誰にでも親しみやすい楽曲もドヴォルザークの魅力です。
ドヴォルザークは複雑な技法や理論を駆使せず、シンプルで力強い音楽を追求しました。
そのため、彼の音楽は、クラシック音楽の初心者にも受け入れられやすいと言えます。
ドヴォルザークは、クラシック音楽の伝統を引き継ぎつつ、独自の解釈で再構築しています。
彼の音楽が、クラシック音楽の普遍的な魅力とチェコの民俗音楽の持つ親しみやすさを兼ね備えているのはそのためです。
彼の作品は、美しい旋律、民族色豊かな音楽、そして親しみやすさという3つの魅力を兼ね備えています。それらの魅力が、今もなお世界中で愛されている理由かもしれません。
余談ですが、ドヴォルザークの作品について、友人だったブラームスは、
「ドヴォルザークがゴミ箱に捨てたメロディを集めれば、私は交響曲を1曲書けるだろう」という名言を残しているのは有名な話です。
ドヴォルザークのおすすめ代表曲まとめ
今回はドヴォルザークのおすすめ代表曲を紹介しました。
作品の特徴の解説と併せて聴いていただくと、
それぞれの楽曲をより一層楽しく聴けるのではないでしょうか。
ぜひこの記事を機会に、美しいドヴォルザークのメロディに触れてみてください!