バッハ解説3本目。今回は大人気曲『G線上のアリア』について解説します。
演奏会に限らず、映画やドラマなどでも用いられているので、「『G線上のアリア』ってどんな曲?」と思った方でも、1度は聴いたことのある作品だと思います。
または、現在進行形で練習されている方もいるかもしれません。
そこで今回は、バッハ作『G線上のアリア』について解説します。
名演奏動画や無料楽譜も紹介しますので、
ぜひ最後まで読んでみてください。
バッハ『G線上のアリア』の解説
バッハの名作『G線上のアリア』について解説します。
この記事を読めば、「G線上」の意味や、「アリア」についてわかるので、ぜひ参考にしてみてください。
あっ!。もちろんいつも通りざっくり解説なので、難しいことはありません。
その前に、バッハの生涯や作品群を知りたい方はこちらから。
『G線上のアリア』とは
名前は知らないけど、1度は聴いたことのある名曲として有名な『G線上のアリア』。
優しくもロマンあふれるメロディーは、現在でも多くの人に愛されています。
ヴァイオリン曲として有名な『G線上のアリア』。
しかし最初からヴァイオリン独奏曲として作られたのではなく、『管弦楽組曲第3番 BWV1068』と呼ばれる組曲の第2曲目が原曲です。
その原曲がコチラ⇩
このアリアをドイツのヴァイオリニストであるアウグスト・ウィルヘルミ(1845-1908)がヴァイオリン独奏用曲にアレンジし、さらに広まるようになりました。
「G線上」の意味について
結論を言うと「全てのメロディをG線上で演奏できるように編曲したから」というのが答え。
「は?G線って?」と思われた方もいると思います。
これも簡単です。
「G線」とはヴァイオリン🎻の一番低い音域の弦のこと。
もう少し解説。
ヴァイオリンには「4本の弦」がひかれています。
音合わせは向かって左から順んに「G」、「D」、「A」、「E」の音に合わせます。
日本では一般に「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」と言いますが、
欧米では「C・D・E・F・G・A・B・C」の順で表すのが一般的です。
これに照らし合わせると「G=ソ」なのがわかりますよね。
そして、この基本音「G線」だけで演奏できるように編曲したため、『G線上アリア』のタイトルで親しまれるようになりました。
そのため、このタイトルは「バッハ本人が名付けたものではない」ということもあわせて覚えておいてください。
「アリア」って?
「アリア」とは「歌」を意味するイタリア語です。
もとはオペラやオラトリオなどの声楽で使われる独唱曲でしたが、
やがて器楽曲(楽器のための曲)にも採用され広まりました。
美しい旋律(メロディー)が特徴です。
作曲当時のバッハと作品の背景
詳しい資料が残っていないため、正確な作曲年代はわかっていません。
推測としては、バッハがライプツィヒ滞在時代(18世紀初頭〜)にコレギウム・ムジクムのために作曲されたと考えられています。
コレギウム・ムジクムとは、宮廷や貴族のための音楽会ではなく、「民間の音楽愛好家団体」のことです。
現在では名曲として知られていますが、発表当初は今のように有名ではなかったそうです。
クラシックあるある・・・。
バッハの詳しい生涯について復習しておきたい方はコチラ⇩からぜひ。
『G線上のアリア』の無料楽譜と演奏の難易度について
この記事の読者の方には、実際に演奏をされる方や、作品の修得を目指している方もいるのではないでしょうか。
「そこまでのレベルじゃないしな〜」
「いずれは弾きたいと思っている」
など、状況はいろいろだと思います。
しかし、ピアノ演奏の場合は初心者用に編曲されている版も多いため、チャレンジしてみるのも良いかもしれません。
無料楽譜のダウンロードや検索はコチラからできます⇩
IMSLP
英語表記ですが、「日本語」をクリックし、検索したい作品名を入れてください。
演奏難易度について
上記のようにアレンジにより、その難易度はさまざまです。
ピアノ版はそれほど難易度は高くありませんが、ヴァイオリン版は様々な演奏技術が必要となるようです。
そのため、ヴァイオリン版ではかなりの技術が必要とされています。
ピアノ版『G線上のアリア』の難易度は、全音ピアノピースを見てみると「難易度C」のようです。
「難易度C」だと、中級レベル(『子犬のワルツ』が弾ける程度)と考えてみてください。
バッハ『G線上のアリア』の名演奏家と演奏法は?
バッハの『G線上のアリア』の名演は数知れず・・・。
その全部を取り上げることはできませんが、ここでは4つの動画を紹介します。
もちろん、筆者の偏見ですがハズレはないと思います。
「演奏家や楽器による表現の違い」を味わってみてください!!
まずは1つ目、ヴァイオリンから。
演奏はウクライナ出身のヴァイオリニスト、アナスタシア・ペトリシャクさん。
5歳からピアノを習い始め、ヴァイオリンへ転向。
わずか15歳でデビューした天才ヴァイオリニストです。
思慮深い演奏が印象的ですね。
次はチェロバージョン。
チェロらしい温かみと、安らぎが感じられる演奏です。
演奏はクロアチアの人気チェリスト、ステファン・ハウザー。
祈りのような演奏が素晴らしい。
ピアノ独奏バージョンも聴いてみてください。
演奏は世界的ピアニスト、ヴァレンティーナ・リシッツァです。
弦楽器の演奏と比べてどのような印象を持ったでしょうか?
ピアノ演奏は、一つずつの音の粒がよくわかりますね。
ラストは「伝説の演奏家」シリーズから。
人類最高のチェリストの一人、パブロ・カザルスの演奏を紹介します。
指揮者としても世界的に活躍したカザルスは、バッハの『無伴奏チェロ組曲』を再発見した偉大な人物でもあります。
録音は古いですが、平和を心から愛したカザルスの祈りのような演奏は今もなお色褪せません。
バッハ『G線上のアリア』解説のまとめ
ということで、今回はバッハ『G線上のアリア』についてざっくりと解説しました。
流れとしては、
もともと『管弦楽組曲』☞ヴァイオリン独奏曲に編曲☞色々な楽器版にアレンジと覚えておいてください。
また「G線上」とは、ヴァイオリンの一番左の弦「G線(ソの音)」だけで演奏できるように編曲されたこと。
以上の2つを覚えておいてくれたら嬉しいです。
ということで、今回はここまで。
これでバッハシリーズを終わりにしようかと思いましたが、
せっかくなので、もう一つ書きます。
バッハシリーズのおさらいはこちらから!