この記事では、20世紀を代表するハンガリーの作曲家バルトークのおすすめ作品を紹介します。
ピアニスト、作曲家、音楽教師、民俗音楽研究家として、
20世紀のクラシック音楽に多大な影響を与えた、バルトークの作賓にはどのようなものがあるのでしょうか。
今回は、国民楽派についての解説をふまえながら、
彼のおすすめ代表曲やその特徴を紹介します。
バルトークのことをご存じの方はもちろん、
よく知らない方にもわかりやすくざっくりと解説していますので、
ぜひ最後まで読んで参考にしてください!
バルトーク・ベーラの概略
バルトークは1881年にハンガリーに生まれた、作曲家、ピアニスト、民族音楽学者。
幼少期から音楽に秀で、作曲とピアノを学んだバルトークは、
早くから周囲の注目を集めます。
やがて民俗音楽の研究に情熱を注ぎ、農村部を巡って収集したハンガリーや東欧の民謡を作品に取り入れ、国民楽派の発展に大きな役割を果たしました。
第二次世界大戦時には、ナチス政権に反対し、1940年にアメリカへ亡命。
ニューヨークで苦しい生活を送りながらも、ピアノ協奏曲第3番や『管弦楽のための協奏曲』などの名作を生み出しました。
とくに『管弦楽のための協奏曲』は、力強さと明るさを持ち、現在でもバルトークを代表する作品として親しまれています。
晩年は白血病に苦しみながらも創作を続けましたが、1945年に64歳で逝去。
遺骨は後にハンガリーへ移され、国家的敬意を受けて埋葬されました。
バルトークの人生についてはコチラの記事で紹介しています。
併せてお読みいただくと、より理解が深まりますので、ご一読ください!
バルトークが発展に貢献した“国民楽派”とは?
彼の業績を語る上で、国民楽派の理解は欠かせません。
ここでは、国民楽派について超ざっくりと解説しますので、なんとな〜く覚えておいてください。
各国の民謡や民俗音楽を取り入れた音楽
国民楽派とは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、
各国の民族的要素を音楽に取り入れ、独自の音楽文化を発展させようとした運動のこと。
この流れは、ナショナリズムの高まりや、伝統文化の復興を背景に生まれ、
国民楽派の作曲家たちは、民謡や民族舞踊のリズム、特有の旋律を積極的に活用し、
それぞれの国の独自性を音楽で表現しました。
なので、それまでのバロック音楽👉古典派👉ロマン派という伝統的な流れとは別に、
独自の表現方法を取り入れた音楽と覚えておいてください。
代表的な作曲家とその特徴
ヨーロッパ各国の国民楽派を代表する作曲を見てみましょう。
1. ミハイル・グリンカ(ロシア)
- 代表作: 歌劇『イヴァン・スサーニン』、『ルスランとリュドミラ』
- 特徴: ロシアの民謡や舞曲の要素を取り入れ、ロシア音楽の基礎を築いた先駆者。彼の影響で「ロシア五人組」が誕生しました。
2. ロシア五人組
- メンバー: バラキレフ、ムソルグスキー、リムスキー=コルサコフ、キュイ、ボロディン
- 特徴: ロシアの民族的要素を重視し、西洋音楽の形式に頼らない独自のスタイルを追求。ムソルグスキーの『展覧会の絵』やボロディンの『イーゴリ公』はその代表例です。
3. アントニン・ドヴォルザーク(チェコ)
- 代表作: 交響曲第9番『新世界より』、弦楽四重奏曲『アメリカ』
- 特徴: チェコの民族音楽をベースに、西洋の形式と融合。アメリカ滞在中には、アメリカ先住民や黒人霊歌の要素も取り入れました。
4. ベドルジハ・スメタナ(チェコ)
- 代表作: 交響詩『我が祖国』
- 特徴: チェコの自然や歴史を音楽で描写。特に『モルダウ』は民族的誇りの象徴とされています。
5. エドヴァルド・グリーグ(ノルウェー)
- 代表作: 『ペール・ギュント』、ピアノ協奏曲イ短調
- 特徴: ノルウェーの民謡や自然を取り入れ、北欧の詩的な風景を音楽で表現しました。
国民楽派の意義
国民楽派は単なる音楽運動にとどまらず、
各国のアイデンティティの表現としても重要な役割を果たしました。
また、各地の文化的多様性を音楽的に発信することで、
クラシック音楽全体に新しい色彩を加えたのも特徴といえるでしょう。
バルトークのおすすめ代表曲9選
前置きが少しながくなりました・・・。
国民楽派についてざっくりと理会していただいたところで、
バルトークの代表曲を見てみましょう。
いつもながら、書面の都合と筆者の独断とちょっとした偏見による選曲です。
そのため、皆さんのお気に入りの作品が必ずしも含まれているとは限りません。
その点につきましては、あらかじめご了承いただければ幸いです。
バルトークのおすすめ代表曲1:管弦楽のための協奏曲(1943)
バルトークの晩年を代表する大作で、5つの楽章からなる壮大な管弦楽曲です。
白血病と闘いながらの作曲でしたが、クーセヴィツキー財団からの委嘱に応え、細部まで入念に作り上げられています。
バルトークは病を押して初演のリハーサルにも立ち会い、
細かな指示を出すほどの思い入れを持っていたとのこと。
オーケストラの持てる力を最大限に引き出す書法で、
20世紀を代表する管弦楽曲の一つとなっています。
バルトークのおすすめ代表曲2:弦楽四重奏曲第4番(1928)
5楽章からなる約23分の作品で、バルトークの弦楽四重奏曲の中でも特に革新的な一作。
荒々しいリズムと不協和な和声、そして数多くの特殊奏法を用いた現代的な書法により、
演奏技術的にも解釈の面でも非常な高度な技術が求められる作賓です。
プロ・アルテ四重奏団に献呈された本作は、
20世紀の弦楽四重奏曲の金字塔として評価されています。
バルトークのおすすめ代表曲3:ルーマニア民族舞曲(1915)
当初はピアノのための6つの小品として書かれ、後に管弦楽版も作られた親しみやすい作品です。
トランシルヴァニアの民謡旋律を題材としながら、バルトーク独自の和声付けによって新たな魅力を引き出しています。作曲者自身もコンサートでよく演奏したこの曲は、その手頃な長さと親しみやすさから現在でも人気の高い作品です。
バルトークのおすすめ代表曲4:弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽
通称「弦チェレ」として親しまれているこの作品は、弦楽器群を左右に分けた特徴的な配置や、インドネシアのガムラン音楽の影響を感じさせるチェレスタの使用など、音響効果への綿密な配慮が際立っています。
4楽章構成で、第1楽章の主題が各楽章で形を変えながら現れる循環形式を採用し、
緻密な構成による深い音楽性が魅力です。
バルトークのおすすめ代表曲5:ピアノ協奏曲第2番(1930-31)
ピアノを打楽器的に扱う斬新な書法と、重厚な和音の対比が特徴的な作品。
技巧的な難しさはピアノ協奏曲史上最高峰とも言われ、短い断片的な旋律と厚みのある和音進行が印象的です。
1938年には作曲者自身による貴重な録音も残されており、バルトークのピアノ音楽の革新性を示す重要な作品となっています。
バルトークのおすすめ代表曲6:無伴奏ヴァイオリンソナタ(1944)
稀代のヴァイオリニスト、メニューインの委嘱により作曲された晩年の重要作品です。
4楽章構成で約23-25分の大作であり、バッハの無伴奏作品の影響を受けながらも、現代的な語法による独自の表現を追求しています。
技巧的な困難さは初演者のメニューインをも驚かせたと言われ、
20世紀を代表するヴァイオリン作品の一つとなっています。
バルトークのおすすめ代表曲7:ヴィオラ協奏曲(遺作)
名手プリムローズの依頼により着手された最後の協奏曲。
未完のままバルトークが他界したため、シェルイによって補筆完成されました。
アメリカ時代のわずか4作品の一つであり、バルトークの創作の集大成とも言える作品です。1949年にプリムローズによって初演され、現代のヴィオラ協奏曲の重要なレパートリーとなっています。
バルトークのおすすめ代表曲8:中国の不思議な役人(1926)
パントマイム用の舞台音楽として書かれ、ストラヴィンスキーの影響も感じられる斬新な作品です。物議を醸した台本により、初演後すぐに上演中止となるという波乱の運命をたどりましたが、ライトモティーフ的な手法による表現力豊かな音楽は高く評価され、現在ではバレエ作品としても上演されています。
バルトークのおすすめ代表曲9:カンタータ・プロファーナ(1930)
ルーマニアの民謡「コリンダ」に基づく約18分の声楽作品で、テノール、バリトン独唱と混声合唱、管弦楽のために書かれています。
バッハの受難曲の影響が見られる高度に技巧的な作品であり、
バルトークの後期様式への転換点となった重要な作品です。
上演の機会は多くありませんが、民俗音楽の要素と現代的な音楽語法が見事に融合した傑作として評価されています。
バルトークの作品の特徴
バルトークの音楽は、独特の調性、リズム、そして形式的な構造が魅力。
とくに、西洋のクラシック音楽の伝統と、収集した民俗音楽の要素が巧みに融合させた点は、
彼の真骨頂と言えるでしょう。
そんなバルトークの作品の特徴をざっくり紹介します。
1. 民族音楽の影響
バルトークは、ハンガリー、ルーマニア、スロバキアなどの地域で採取した数千の民謡を分析し、その音階やリズムを自身の作曲に取り入れました。
例えば、彼のピアノ作品『ミクロコスモス』には、ハンガリーのペンタトニック音階や、不規則なリズムが随所に見られます。
2. 現代的な和声
バルトークの和声は、しばしば伝統的な調性の枠を超えたものです。
彼は全音音階、半音階、あるいは彼自身が「軸音」と呼んだ概念を用い、
従来の和声に新しい色彩を加えました。
これにより、緊張感や独特の響きを持つ楽曲が可能となったわけですね。
3. リズムの革新
彼の音楽では、対称的なリズムや複雑なポリリズムが頻繁に用いられています。
例えば、バレエ『かかし王子』や『中国の不思議な役人』には、
これらのリズム的工夫が劇的効果を生み出しています。
4. 形式と構造への独創性
バルトークは、古典的な形式を尊重しながらも、新しい構造を探求しました。
彼の『弦楽四重奏曲』第4番では、アーチ型形式(ABCBA)を採用し、
作品全体に統一感とバランスをもたらしています。
5. 「夜の音楽」スタイル
バルトークは、「夜の音楽」と呼ばれる独特の音楽スタイルを確立しました。
これは、静謐でありながら神秘的な雰囲気を醸し出す音響効果で、
多くの晩年の作品に見られます。
例えば、『戸外にて』や『ピアノ協奏曲第3番』の緩徐楽章がその典型例です。
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バルトークのおすすめ代表曲まとめ
今回はバルトークの代表曲や作品の特徴について解説しました。
ピアノ曲から管弦楽、オペラやカンタータなど、
さまざまな分野で新天地を開拓したバルトーク。
今回紹介した作品以外にも、優れた名曲が数多くありますので、
この記事をきっかけに、バルトーク作品を聴き始めてみてはいかがでしょうか。