この記事ではイタリアを代表する作曲家アントニオ・サリエリのオペラ代表曲を紹介します。
サリエリというと「モーツァルトの宿敵」「モーツァルトを殺害した人物」というイメージが強いかもしれません。
しかしこれはあくまでも、映画の中だけの話。
実際のサリエリはモーツァルトの才能を認め、親族の面倒を見るほど近しい存在でした。
また、優れた音楽教師でもあったサリエリ。
ベートーヴェンやリスト、ツェルニーといった偉大な音楽家たちを育て、
音楽史において重要な役割を果たしています。
今回はそんなサリエリの代表曲8曲を紹介。
いつもながらのざっくり解説ですので、ぜひ教養の一助としてご一読ください。
なお、サリエリの生涯についてはコチラの記事で紹介していますので、
さらに深掘りしたい方はそちらも併せてお読みくだされば幸いです。
アントニオ・サリエリのオペラ代表曲8選
管弦楽曲、歌曲、宗教音楽など、さまざまな分野で活躍したサリエリ。
しかし彼がもっとも生涯でもっとも力を注いだ分野はオペラでした。
生涯で40曲以上ものオペラを作曲し、
その評価は近年、再び高まりを見せつつあります。
普段なかなか聴く機会がないかもしれませんが、
ぜひ参考にしてみてください!
サリエリのオペラ代表曲1:『ヴェネツィアの市』(1772年)
26歳の若きサリエリが、ウィーンの一流劇場「ブルク劇場」で大成功を収めた作品。
本作は3幕からなる「オペラ・ブッファ」(おもしろおかしい出来事を描く喜劇的なオペラ)で、とても軽やかで楽しい音楽が特徴です。
見どころは、優雅な旋律とテンポの良いストーリー展開。
特に、アリア「ミオ・キャロ・アドーネ」は秀逸で、
モーツァルトがこの曲を聴いて感動し、ピアノ用の変奏曲を作曲しました。
当時からサリエリの才能は、ライバルと言われたモーツァルトにも認められていたというわけですね。
ちなみに、モーツァルトの編曲はこちら!👇
オペラ代表曲2:やきもち焼きの学校(1778年)
このオペラは、サリエリの初期の作品の中でも特に重要な意味を持っています。
なぜなら、後のオペラ界に大きな影響を与えたからです。
物語は、身分の異なる3組のカップルの恋愛模様を描いています。
お金持ちの貴族、町で暮らす市民、そして働く人々…。
こんなふうに違う階層の人々の恋を同時に描くのは、当時としては斬新なアイデアでした。
1783年にウィーンで上演された時には、とても豪華な配役が実現。
主役を演じたフランチェスコ・ベヌッチとナンシー・ストラーチェの二人は、
その後モーツァルトの『フィガロの結婚』でもフィガロとスザンナの役を演じることになります。
さらに面白いのは、ハイドンがこのオペラのために新しいアリアを2曲作曲したこと。
残念ながら1曲は失われてしまいましたが、当時の一流作曲家たちがサリエリの作品にどれだけ注目していたかが分かるエピソードですね。
オペラ代表曲3:ダナオスの娘たち(1784年)
パリで大成功を収めた、サリエリの代表作の一つです。
全5幕からなる大作で、古代ギリシャ神話を題材にした壮大な物語。
特徴的なのは「トラジェディ・リリック」という、フランスで人気の悲劇的なオペラのスタイルを取り入れていることです。
このオペラには、とても面白いエピソードが隠されています。
実は最初、この作品は大作曲家グルックが作曲する予定でした。
しかしグルックが病気で倒れてしまい、信頼する弟子のサリエリに作曲を任せることに。
当初は「グルックとサリエリの共作」として宣伝されましたが、
実はほとんどすべてをサリエリが作曲しています。
でも、グルックの名前があったおかげで、パリの観客は先入観なく作品を楽しむことができました。結果として大成功を収め、グルックも後に「すべてサリエリが作曲した」と公に認めることになります。
オペラ代表曲4:トロフォーニオの洞窟(1785年)
サリエリの作品の中でも特に人気の高い作品。
全2幕の喜劇オペラで、神秘的な洞窟を舞台にした不思議な物語が展開します。
面白いのは、この作品がモーツァルトの有名なオペラ『コジ・ファン・トゥッテ』に影響を与えたと言われていること。実は『コジ・ファン・トゥッテ』は、もともとサリエリが作曲する予定だった作品だったと言われています。
当時のウィーンで26回も上演され、大ヒット作品となりました。
さらに、ヨーロッパ中の劇場で次々と上演されていきます。
出版社のアルタリア社が、全曲の楽譜を出版したのもこの作品が初めて。
サリエリの生前に楽譜が出版された唯一のイタリア・オペラという、歴史的にも重要な作品となっています。
オペラ代表曲5:はじめに音楽、次に言葉(1786年)
約1時間の短い作品ですが、本作はなんと、モーツァルトとの「対決作品」として作曲されたのだとか。
当時のウィーン宮廷では、イタリア語オペラとドイツ語オペラのどちらが優れているか、という議論が盛り上がっていました。
そこで皇帝ヨーゼフ2世は、両方の言語で短いオペラを作らせることに。
ドイツ語オペラはモーツァルトが『劇場支配人』を作曲。
一方のイタリア語オペラは、サリエリがこの作品を担当しました。
面白いのは、モーツァルトが5曲しか作曲しなかったのに対して、サリエリはたくさんの曲を書いたこと。そのため、謝礼金もサリエリの方が2倍だったというエピソードも残っています!
モーツァルト「劇場支配人」序曲
オペラ代表曲6:タラール(1787年)
サリエリが1787年にパリ・オペラ座で発表した『タラール』は、
フランス語で書かれた5幕構成の抒情悲劇。
ボーマルシェによる台本は、政治的な風刺と異国情緒を巧みに織り交ぜ、
革命前のフランス社会に強い反響を呼びました。
音楽面では、サリエリの師グルックの影響を受けながらも、より斬新な表現を追求。
心理描写の深さと場面展開に応じた繊細なオーケストレーションが特徴です。
初演は大成功を収め、1826年までに131回という記録的な上演回数を達成しています。
後にウィーンでイタリア語版『オルムスの王アクスール』としても上演され、
サリエリの代表作として音楽史に名を残しています。
オペラ代表曲7:ファルスタッフ(1799年)
1799年にウィーンで初演された『ファルスタッフ』は、
シェイクスピアの『ウィンザーの陽気な女房たち』を原作とする2幕のイタリア語オペラです。
原作のユーモアを活かしながら、独自のエピソードも加え、
より洗練された喜劇作品として再構築されました。
特筆すべきは、若きベートーヴェンがこの作品から着想を得てピアノ変奏曲を作曲したことです。20世紀に入ってからは1961年のシエナでの復活上演を皮切りに、
サリエリ作品の中でも特に上演頻度の高い作品となっています。
日本でも1988年に初演され、その音楽的価値が再評価されています。
オペラ代表曲8:ペルシャの女王パルミーラ(1795年)
1795年にウィーンで初演された『パルミーラ』は、古代ペルシャを舞台にした壮大な2幕構成の英雄喜歌劇です。
ヴォルテールの戯曲に着想を得たこの作品は、豪華な舞台装置と東洋的な題材で観客を魅了しました。
物語は3人の王がペルシャの王女パルミーラの婚約をめぐって争うという展開で、
ラクダやゾウまで登場する壮大なスペクタクルとして話題を呼びました。
喜歌劇と英雄オペラの要素を見事に融合させた音楽は高い評価を受け、
1798年までにウィーンだけで39回上演。
各国語に翻訳され、ヨーロッパ中で上演される人気作品となりました。
なんか個人的にはモーツァルトのオペラ『魔笛』の序曲と似てる気がする・・・。
サリエリの作品の特徴や魅力は?
サリエリのオペラ作品8曲を紹介しました。
残念ことに歌詞がついてないので、物語はわかりにくいかもしれません(ごめんなさい)。
でも、作品の雰囲気やサリエリの才能が存分に発揮されていますので、
ぜひ音楽だけでも流して聴いてみてください!
ここからはサリエリの作品の特徴や魅力を簡単に紹介します。
サリエリの再評価と注目度の高まり
アントニオ・サリエリは、長年「モーツァルトの宿敵」というイメージで語られてきました。
しかし、近年の音楽学研究により、その評価は大きく変わりつつあるようです。
実際、サリエリは当時のウィーン宮廷で最も影響力のある音楽家の一人として、4
0作以上のオペラを作曲。その多くが大成功を収めていました。
21世紀に入り、世界的な歌劇場での再演や、著名な指揮者・演奏家による録音が増加。
特に2000年以降、チェチーリア・バルトリなど、一流歌手たちがサリエリのアリアを積極的に取り上げています。
その結果、技巧的かつ表現力豊かな声楽作品の作曲家として、
サリエリの真価が広く認識されるようになってきました。
サリエリの生涯と音楽的特徴
1750年、イタリアのレニャーゴで生まれたサリエリは、幼少期から優れた音楽的才能を発揮。ウィーンに招かれた後は、グルックの後継者として認められ、
宮廷楽長という最高位に上り詰めました。
その音楽は、イタリアオペラの伝統的な美しさとウィーン古典派の形式美を見事に融合させたのが特徴です。
彼の作品の大きな特徴は、声楽パートの扱いの巧みさ。
人声の特性を完璧に理解し、劇的な表現と技巧的な華麗さを両立させました。
また管弦楽法も革新的で、時代の先を行く豊かなオーケストレーションは、
後世の作曲家たちにも大きな影響を与えています。
サリエリのオペラ作品の魅力
サリエリのオペラの最大の魅力は、ドラマティックな展開と美しい旋律の融合にあります。
当時の一流の台本作家と組んで創作された作品群は、
物語の展開に沿った効果的な音楽表現で観客を魅了します。
特に、喜劇的な要素と深い人間ドラマを織り交ぜた作風は、
同時代の作曲家たちと比べても独自の個性を放っていると言えるでしょう。
声楽パートは、技巧的な難しさと表現の豊かさを兼ね備え、
歌手たちに絶好の表現の場を提供。
また、管弦楽による描写的な音楽は、物語の進行を効果的に支えます。
時代背景や登場人物の心理描写まで、音楽で巧みに表現するその手腕は、
現代の聴衆をも魅了し続けています。
現代に甦るサリエリ:作品を楽しむためのガイド
上述したように、21世紀に入ってからサリエリの評価が再び高まっています。
コンサートなどでも演奏機会が徐々に増え、作品を身近に味わえるチャンスが増えているようです。
サリエリ作品のコンサート情報
2025年は、サリエリ没後200年。
ということで、各地でコンサートが開かれる可能性が大です。
日本におけるサリエリ情報については、
日本ロッシーニ協会様の情報が有益です。
もし、サリエリの演奏会情報や文献、作品集について知りたい場合は、
日本ロッシーニ協会様をご参考ください!
そのほか、クラシックコンサート情報をお探しの方は、
ぶらあぽONLINE様やコンサートスクウェア様などで検索すると、
見つけやすいですよ!(どちらもウェブサイトに飛びます)
文献から読み解くサリエリの生涯
この記事をきっかけに、
「サリエリについてもっと知りたい!」という方もいらっしゃるかもしれません。
18世紀半ばに生まれ、ベートーヴェンやリストに影響を与えてサリエリ。
そんな彼の生涯や音楽的立場についてガッツリ知りたいなら、読書もおすすめです。
やや学問的な書籍ですが、じっくりと知りたい方には最適だと思います。
サリエリのオペラ代表曲:まとめ
ということで、今回はサリエリのオペラ作品に絞って紹介しました。
どの作品もドラマチックでありながら明快なのでサリエリ作品の大きな特徴かなと思います。
オペラ作品以外にも、ピアノ協奏曲や宗教音楽など、
素晴らしい作品がたくさんありますので、
この記事をきっかけにぜひ他のサリエリ作品も聴いてみてはいかがでしょうか。
無限に音楽を楽しむなら、アマゾン・ミュージック・アンリミテッドがおすすめ!
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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