ヨハン・シュトラウス2世の有名ワルツ・ポルカ10選!特徴や影響について簡単に解説します。

シュトラウス

    この記事では「ワルツ王」こと、ヨハン・シュトラウス2世の有名ワルツ・ポルカ10選を紹介します。

    クラシック好きな方にとっては、
    新年恒例のニューイヤー・コンサートでお馴染みですよね。
    一方、そんなにクラシック音楽を聴かない方にとっては、
    初めて聴く作品が多いと思います。

    シュトラウス2世の作品は、どの作品も聴きやすく、
    華やかで耳馴染みの良い作品ばかりです。

    なので、この記事や動画を参考にしていただき、
    普段のクラシック音楽ライフに取り入れていただければ幸いです。

    なお、本記事は前回のこちらの記事とリンクしています。
    シュトラウス2世の生涯や豆知識について知りたい方は、
    ぜひそちらも併せてご一読ください!

    シュトラウス
    画像出典:アマゾン:ヨハン・シュトラウス 2世:管弦楽作品全集(52枚組)

    ヨハン・シュトラウス2世の有名ワルツ・ポルカ10選

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    ヨハン・シュトラウスの有名ワルツ・ポルカを紹介します。
    とはいえ、シュトラウス2世が生涯で作曲した数は、
    作品番号付きのものだけでもおよそ480曲

    もちろん、それら全てを紹介することはできません。
    なので今回は、いつもの筆者の独断と偏見により10曲を選んでみました。
    この記事を機会に、より多くの作品に触れていただけることを願います。

    有名ワルツ・ポルカその1:皇帝円舞曲(1889年)

    皇帝円舞曲

    「皇帝円舞曲」は、シュトラウス2世の「三大ワルツ」の一つとして知られる作品です。
    1889年、ドイツ帝国の首都ベルリンに新しいコンサートホールが開場する際に作曲されました。

    100人編成という大規模なオーケストラによって初演され、大成功を収めています。
    他の代表曲と比較しても、より複雑で洗練された和声進行が見られ、
    まさにシュトラウス2世の音楽的成熟の真骨頂と言えるでしょう。

    その壮大な曲調と華麗な旋律は、今日でも多くの人々を魅了し続けています。

    有名ワルツ・ポルカその2:酒、女、歌(1869年)

    酒、女、歌


    「酒、女、歌」は、有名な格言「酒と女と歌を愛さぬ者は、生涯馬鹿で終わる」にインスピレーションを得て作曲されました。

    1869年、ウィーン男声合唱協会のために合唱曲として書かれ、初演で大きな成功を収めました。この曲の特徴は、なんといっても生命力溢れる旋律。

    後にオーケストラ版に編曲され、より広く親しまれるようになりました。
    シュトラウス2世の作品の中でも、特にウィーンの生活を謳歌する精神を体現した曲として評価されています。

    有名ワルツ・ポルカその3:ウィーン気質(1873年)

    ウィーン気質

    「ウィーン気質」は、1873年に重要な二つの出来事を祝うために作曲されました。
    一つはオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の長女の結婚式、もう一つはウィーン万博の開幕です。

    本作は、シュトラウス2世が初めてウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮した記念すべき作品。

    曲調にはウィーンの優雅さと活気が見事に表現されており、
    当時のウィーンの雰囲気を今に伝える貴重な音楽作品となっています。

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    有名ワルツ・ポルカその4:南国のバラ(1880年)

    南国のバラ


    「南国のバラ」は、シュトラウス2世のオペレッタ『女王のレースのハンカチーフ』のモチーフを編曲して作られました。

    イタリア国王ウンベルト1世に献呈されたこの曲は、
    地中海沿岸の南国イタリアをイメージした曲想が特徴です。

    地中海の陽光と青い海を音楽で表現しているかのような、華やかで情熱的な旋律が魅力の1曲。本作も、シュトラウス2世の国際的な名声を示す作品の一つといえるでしょう。

    有名ワルツ・ポルカその5:美しく青きドナウ(1867年)

    美しく青きドナウ

    「美しく青きドナウ」は、シュトラウス2世の最も有名な作品であり、「三大ワルツ」の一つです。

    1867年に作曲されましたが、初演時には意外にも不評でだったそうです。
    しかし、時を経るにつれてその評価は急速に高まり、
    今ではオーストリアの「第二の国歌」とも呼ばれるほどの人気を誇ります。

    美しく流れるような旋律は、ドナウ川の穏やかな流れを思わせ、
    ウィーンの優雅さを見事に表現しています。

    その6:もろびと手をとり(1892年)

    もろびと手をとり

    「もろびと手をとり」は、親友のブラームスに献呈するために作曲を始めた作品です。

    1892年に完成し、当初は国際音楽演劇博覧会のために作曲されましたが、
    シュトラウス2世が無断で先に初演してしまい、博覧会主催者との関係に亀裂が入るというエピソードがあります。

    音楽的には、冒頭とエンディングの強い耽美性が特徴的で、
    シュトラウス2世の晩年の円熟した作風が楽しめます。

    その7:観光列車(ポルカ、1864年)

    観光列車


    「観光列車」は、1864年にオーストリア南部鉄道の開通に着想を得て作曲されたポルカです。トライアングルやホルンを巧みに使って列車の動きを表現しているのが特徴。

    よ〜く聴いていると、蒸気の様子がわかりますよ!
    また、発着の警報や列車の進行など、鉄道旅行の様子が描かれているのも面白いです。

    とはいえ、シュトラウス2世自身は鉄道旅行をあまり好まなかったのは有名な話です。
    嫌いなものにも関わらず、こんなに楽しい作品に仕上げられるのは、
    シュトラウス2世の「プロ根性」なのかもしれません。

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    その8:狩り(ポルカ、1875年)

    狩り

    「狩り」は、シュトラウス2世のオペレッタ『ウィーンのカリオストロ』の音楽を編曲して作られたポルカです。

    1875年に作曲された本作は、狩りの情景を音楽で巧みに描写しています。ホルンとトランペットによる狩りの合図、鞭の音、鉄砲の音など、具体的な音の描写が特徴的です。

    オペレッタの一場面から独立した作品として、
    シュトラウス2世の描写音楽の才能を示す好例といえるでしょう。

    その9:ピツィカート・ポルカ(1869年)

    ピツィカート・ポル

    「ピツィカート・ポルカ」は、1869年、シュトラウス2世が弟のヨーゼフと共同で作曲した作品。

    その名の通り、弦楽器のピツィカート(弦をはじく奏法)のみで演奏される点が特徴的です。

    中間部では鉄琴が加わり、さらに華やかな雰囲気を醸し出します。
    初演後しばらくは演奏されませんでしたが、
    再演後に人気を博し、今日ではウィーンフィル・ニューイヤー・コンサートの定番曲として親しまれています。

    その10:新ピツィカート・ポルカ(1892年)

    新ピツィカート・ポルカ

    「新ピツィカート・ポルカ」は、1892年にシュトラウス2世が単独で作曲した作品です。
    オペレッタ『ニネッタ侯爵夫人』の間奏曲として書かれ、
    後に単独の演奏会用作品としても人気を博しました。

    先の「ピツィカート・ポルカ」よりも音楽的内容が発展しており、
    シュトラウス2世の作曲技術の進化を感じさせます。

    中間部では鉄琴とトライアングルが加わる点は前作を踏襲しつつも、
    全体的により洗練された印象を与える作品となっています。

    ヨハン・シュトラウス2世の特徴や影響について

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    数多くの傑作を残し、もっとも成功した作曲家として現在も愛され続けている、ヨハン・シュトラウス2世。以下ではその作品の特徴について簡単に紹介します。

    ヨハン・シュトラウス2世の作品の特徴や影響その1:ワルツ王として

    シュトラウス2世といえば、まっさきに出てくるのが「ワルツ王」という愛称です。
    彼は生涯でおよそ170曲ものワルツを作曲し、さらにポルカも160曲以上の作品を残しています。

    シュトラウス2世が生み出すワルツは、どの作品も聴衆を虜にし、
    上流階級から一般大衆に関わらず、絶大な人気を獲得しました。

    ポルカとは?

    ポルカとは、19世紀初頭にチェコで生まれた民族舞曲のこと。
    ワルツが3拍子であるのに対し、調子の良い2拍子が特徴です。

    特徴や影響その2:オペレッタでも大成功

    上記の通り、ワルツやポルカなどで大成功を収めたヨハン・シュトラウス2世。
    しかし、彼が活躍した分野はそれだけではありません。

    1870年以降、数々の身内の不幸を乗り越えて、
    妻ヘンリエッテの勧めにより、オペレッタの作曲を始めます。

    作曲当初は、当時人気を博していたオッフェンバックほどの人気は出なかったものの、
    徐々に作品が評価され、やがてオッフェンバックを凌ぐほどのオペレッタ作曲家へ転身。

    彼が作曲したオペレッタ『こうもり』はオペレッタ史上最高傑作と称され、
    「ワルツ王」とともに「オペレッタ王」とも称されるようになりました。

    全音スコア ヨハン・シュトラウス二世:オペレッタ《こうもり》序曲

    特徴や影響その3:同時代の作曲家たちからも称賛

    ヨハン・シュトラウス2世は、まさに今で言うスーパースタ的存在。
    演奏会はもちろん、作曲の依頼もひっきりになしに来るほどの人気ぶりでした。

    しかも、その人気は一般大衆だけにはとどまらなかたようで、
    同時代に活躍していた大多数の作曲家からも一目・・・、というか憧れの的だったようです。

    たとえば、親友のブラームス。
    ブラームスはシュトラウス2世について「シュトラウスこそウィーンの血であり、ベートーヴェン、シューベルトの流れを直接受けた主流である」と述べています。

    さらに、ブラームスと敵対していたワーグナーでさえ、
    彼はヨーロッパ音楽の最高峰の一つである。われわれの古典はモーツァルトからシュトラウスまで一筋に続いている」と述べ、さらには「シュトラウスは魔法の腕をもつヴァイオリン弾きで、きっすいのウィーン音楽の魂をもった天才である」と絶賛しています。

    音楽的立場を超えた、シュトラウス2世の人気ぶりがよくわかりますね。

    ワーグナーCD

    特徴や影響その4:後世への遺産

    シュトラウス2世の影響は、その後の作曲家たちにも及んでいます。
    たとえば、チャイコフスキーの有名なワルツ「花のワルツ」は、
    シュトラウス2世の作品に倣い作曲されました。

    また、伝統的にウィーン宮廷歌劇場ではオペレッタが上演されることはありませんでしたが、
    マーラーにより、初めてオペレッタ『こうもり』が正式にレパートリーとなりました。

    チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番
    マーラー

    ヨハン・シュトラウス2世のワルツ・ポルカまとめ

    ということで、今回はヨハン・シュトラウス2世のワルツ・ポルカ、特徴について解説しました。

    いつもながらのざっくり解説ですが、
    なんとな〜くでも伝わりましたでしょうか・・・。

    どの作品も洗練されていて、華やかなものばかりですので、
    ぜひ、この記事を機会にヨハン・シュトラウス2世の作品に触れてみてください!

    シュトラウスシリーズ、もう少し続きます。

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