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【クセ強五人集】「ロシア五人組」作曲家メンバーを簡単に解説!代表曲も紹介!

マリインスキー劇場

この記事では「ロシア五人組」作曲家メンバーについて紹介します。
ロシアの民話や民俗音楽を作品に取り入れた彼らの活動は、その後のクラシック音楽に大きな影響を与えました。

その一方で、「作品は聴いたことがあるけど、作曲者についてそれほど・・・」という方もいらっしゃると思います。

そこで今回は、国民楽派についての解説と、「ロシア五人組」作曲家メンバーと代表曲を解説します。
もちろん、いつものようにざっくり解説なので、入り口としてぜひ参考にしてください!

この記事でわかること
  • 国民楽派について
  • 五人組メンバーの解説と代表曲
  • 各地の国民楽派の作曲家と有名な曲
  • 日本の国民楽派的作品について

国民楽派について

国民楽派(こくみんがくは)とは、19世紀から20世紀のはじめにかけて生まれた音楽の流れのことを指します。

各国(主にヨーロッパ)の作曲家たちが、自分たちの国の伝統や民謡を大切にしながら、新しい音楽を作ろうとしたのが特徴です。

これは、当時のヨーロッパで「自分たちの国の文化をもっと広めよう!」という考えが強まったことが関係しています。

たとえば、ロシアには「ロシア五人組」と呼ばれる作曲家グループがいました。
バラキレフリムスキー=コルサコフムソルグスキーボロディンキュイの5人で、彼らはロシアの民謡や歴史を音楽に取り入れました。

他にも、フィンランドのシベリウス、ノルウェーのグリーグ、チェコのスメタナなど、それぞれの国で国民楽派の作曲家が登場しています。

国民楽派の音楽は、その国ならではの雰囲気やリズムが感じられるのが魅力です。

「ロシア五人組」集 楽譜

「ロシア五人組」作曲家メンバーと代表曲

五人組メンバーは以下の通りです。
ちょっと難しい名前かもですが、代表曲と一緒に覚えておくと覚えやすいですよ!

五人組メンバー
  • ミリィ・バラキレフ
  • リムスキー=コルサコフ
  • モデスト・ムソルグスキー
  • アレクサンドル・ボロディン
  • ツェーザリ・キュイ

ロシア五人組その1:ミリィ・バラキレフ(1837年1月2日 – 1910年5月29日)

「ロシア五人組」の中心人物であり、グループをまとめるリーダー的存在です。
若い作曲家たちにロシアの民族音楽を取り入れるように指導し、国民楽派の発展に貢献しました。

代表曲には、民族的なメロディを活かしたピアノ曲『イスラメイ』や交響詩『タマーラ』があります。バラキレフはピアニストや指揮者としても活動し、リムスキー=コルサコフなどの才能を伸ばしました。

晩年は保守的になり、新しい音楽の流れにはあまり関わらなかったものの、ロシア音楽の基盤を作った重要な作曲家です。

出典:youtube:「イスラメイ」

ロシア五人組その2:リムスキー=コルサコフ(1844年3月18日 – 1908年6月21日)

リムスキー=コルサコフは、色彩豊かなオーケストレーション(楽器の使い方)が特徴の作曲家です。海軍士官として働きながら音楽活動を続け、後に音楽院の教授となり、多くの作曲家を育てました。

管弦楽法についての本も執筆しており、とくにドビュッシーラヴェルなどのフランスの作曲家からも模範とされました。

代表曲には、アラビアンナイトを題材にした交響組曲『シェエラザード』やスペイン風の『スペイン奇想曲』があります。

また、ムソルグスキーやボロディンの未完成の作品を補筆し、世に広めたことでも知られています。彼の華やかなオーケストラの響きは、後のロシア音楽に大きな影響を与えました。

出典:YouTube:熊蜂の飛行

ロシア五人組その3:モデスト・ムソルグスキー(1839年3月21日 – 1881年3月28日)

音楽教育を正式に受けたわけではなく、独学で作曲を学んだムソルグスキー。
彼の作品には、ロシアの歴史や民話をもとにした作品が多く、代表作にはオペラ《ボリス・ゴドゥノフ》、ピアノ組曲『展覧会の絵』、交響詩『禿山の一夜』があります。

しかし、彼の作品は革新的すぎたため、当時はあまり評価されませんでした。
生活が苦しく、アルコールに依存するようになり、42歳の若さでこの世を去っています。
その後、リムスキー=コルサコフらが彼の作品を改訂し、広く知られるようになりました。
ラヴェル編曲による組曲『展覧会の絵』が有名です。

出典:YouTube:「展覧会の絵」オーケストラ版

ロシア五人組その4:アレクサンドル・ボロディン(1833年11月12日 – 1887年2月27日)

ボロディンは、作曲家でありながら科学者(化学者)としても活躍していました
ロシア民族音楽を取り入れつつ、西欧の影響も受けた独自の作風を生み出しています。
代表作には、オペラ『イーゴリ公』や交響曲第2番、弦楽四重奏第2番(「ノクターン」が有名)があります。

とくに『イーゴリ公』の「ダッタン人の踊り」は、クラシック音楽の中でも屈指の名曲として有名です。

科学者として忙しい生活を送りながら作曲を続けたため、多くの作品が未完成のまま残りました。彼の温かく流れるような旋律は、後の作曲家にも影響を与えています。

出典:YouTube:ダッタン人の踊り

ロシア五人組その5:ツェーザリ・キュイ(1835年1月18日 – 1918年3月26日)

ツェーザリ・キュイは、作曲家でありながら軍事技術者としても活躍した人物です。
音楽の分野では批評家としても活動し、「ロシア五人組」の考えを広める役割を担いました

彼の作風はフランスの影響を受けた洗練されたもので、他のメンバーほど民族色は強くありません。代表作には、オペラ『ウィリアム・ラトクリフ』やピアノ曲『25の前奏曲』があります。

また、子どものためのピアノ曲や歌曲も多く作曲しました。
軍事技術の分野では要塞設計の専門家として高い評価を受け、音楽と軍事の両分野で異色の経歴を持つ人物でした。

5人の中ではかなりマイナーですが、その才能はピアノの魔術師フランツ・リストからも絶賛されました。

出典:YouTube:オペラ「ウィリアム・ラドクリフ」

その他の国民楽派の作曲家と有名な曲

ここまでロシア5人組の作曲家メンバーと代表作を紹介しました。
上述の通り、国民楽派の動きはロシア以外でも展開され、ヨーロッパ各地で優れた作曲家が登場しています。

今回は、その中から6名の国民楽派の作曲家を見てみましょう。

ジャン・シベリウス(1865年12月8日 – 1957年9月20日)

フィンランドを代表する作曲家。
祖国への愛を音楽に込めた代表作『フィンランディア』は、フィンランド独立運動の象徴として広く知られています。

交響曲を多く残し、とくに『交響曲第2番』は壮大な響きが魅力です。
彼の音楽は北欧の自然を感じさせるもので、静けさや厳しさが表現されています。
晩年は作曲活動から遠ざかりましたが、国民的な作曲家として今も親しまれています。

出典:YouTube:フィンランディア

エドヴァルド・グリーグ(1843年6月15日 – 1907年9月4日)

ノルウェーの民謡を生かした音楽を多く作った作曲家です。
代表作『ペール・ギュント組曲』には、美しい「朝」や幻想的な「山の魔王の宮殿にて」が含まれています。

また、《ピアノ協奏曲 イ短調》はロマンあふれる名曲として人気です。
ノルウェーの大自然や民族の雰囲気を取り入れた彼の作品は、温かみと情熱を感じさせ、多くの人々に愛されています。

出典:YouTube:ペール・ギュント「山の魔王の宮殿にて」

マヌエル・デ・ファリャ(1876年11月23日 – 1946年11月14日)

スペインを代表する作曲家で、情熱的なリズムや民族色の強い音楽を多く作りました。
代表作『三角帽子』や『恋は魔術師』には、フラメンコの要素が取り入れられています

『火祭りの踊り』は特に有名で、スペインらしい力強いリズムが特徴です。
フランス印象派の影響も受けながら、スペインの伝統を生かした独自の音楽を作り上げました。

出典・YouTube:恋は魔術師より「火祭りの踊り」

オットリーノ・レスピーギ(1879年7月9日 – 1936年4月18日)

イタリアの作曲家で、オーケストラを華やかに響かせる技法に優れていました。
代表作『ローマ三部作』(《ローマの松》《ローマの噴水》《ローマの祭り》)は、イタリアの風景や歴史を音楽で描いた壮大な作品です。

レスピーギは古い音楽にも関心があり、ルネサンスやバロック時代の音楽を現代風にアレンジした作品も残しています。リムスキー=コルサコフから作曲指導を受けています。

出典:YouTube:ローマの松

ベドルジハ・スメタナ(1824年3月2日 – 1884年5月12日)

チェコの国民楽派を代表する作曲家で、チェコの文化や自然を音楽で表現しました。
代表作『わが祖国』には、有名な「モルダウ(ヴルタヴァ)」が含まれ、川の流れを音楽で見事に描写しています。

オペラ『売られた花嫁』も親しみやすい旋律で人気です。
彼は晩年に聴力を失いましたが、それでも作曲を続けました。

出典:YouTube:わが祖国より「モルダウ(ヴルタヴァ)」

アラム・ハチャトゥリアン(1903年6月6日 – 1978年5月1日)

ロシア(アルメニア出身)の作曲家で、情熱的なリズムや民族的な旋律が特徴です。
代表作『剣の舞』は力強くダイナミックな曲で、世界的に有名です。

また、バレエ『ガイーヌ』や『スパルタクス』も名作とされています。
アルメニアの民族音楽を取り入れながら、独自のスタイルを築き、ソ連時代の音楽界で重要な役割を果たしました。
ちなみに、有名な『剣の舞』は一晩で作曲したそうですよ。

出典:YouTube:剣の舞

日本の国民楽派:武満徹(1930年10月8日 – 1996年2月20日)

日本を代表する作曲家で、伝統音楽と現代音楽を融合させた独自の作風で知られます。
代表作『ノヴェンバー・ステップス』では、琵琶と尺八という日本の伝統楽器をオーケストラと組み合わせ、東洋と西洋の音楽の融合を試みました

世界的にも高く評価され、日本の音楽が国際舞台で注目されるきっかけとなった作品です。
『ノヴェンバー・ステップス』は、指揮者で作曲家のレナード・バーンスタインの依頼により作曲。1967年に小澤征爾さんの指揮でニューヨーク・フィルの演奏で初演されました。

出典:YouTube:ノヴェンバー・ステップス

「ロシア五人組」作曲家メンバーまとめ

「ロシア五人組」や他の国民楽派の作曲家たちは、各国の伝統音楽を大切にし、独自の音楽を生み出しました。

彼らの作品には、民族音楽の魅力や歴史が詰まっており、その国ならではの情熱や風景が音楽に表現されています。

作曲家の出身国や歴史背景も深掘りすると、クラシック音楽がもっと楽しくなりますよ!

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