ピアノソナタK332(モーツァルト)を簡単解説!難易度は?

ピリス

    ピアノソナタK.332)(第12番)は、モーツァルトの陽気さと遊び心が秘められた作品です。
    軽快な第1楽章、穏やかで優雅な第2楽章、そして活気に満ちた第3楽章の3つの楽章で構成されています。
    このソナタは、モーツァルトがウィーンに移住した頃の作品とされ、当時の流行やモーツァルト独自の作曲技法が反映されています。

    「華やかなんだけど、どこか影がある」
    そんな作品に魅力を感じる方も多いのではないでしょうか。

    一方で、ピアノを習っている方にとっては「どれくらい難しいの?」「難易度は?」などの疑問を抱えている方も多いと思います。

    そこで今回は、K.332の構成や特徴、演奏の難易度、そしておすすめの演奏について解説します。

    「いろんな作品をレベル別で弾きたい!」という方はこちら!

    モーツァルトのピアノソナタK332(第12番)について

    モーツァルトのピアノソナタ K.332は、1783年頃に作曲されたと考えられています(諸説あり)。
    この作品は、ピアノソナタ第10番(K.330)、第11番(K.331)とともに一組の作品として出版されました。

    特にK.332は、自筆譜と初版譜(アルタリア版)に大きな違いが見られる作品です。
    モーツァルトの自筆譜では細かい装飾やフレージングが異なり、新モーツァルト全集ではその両方を収録する形が取られています。

    そのため、演奏者によって楽譜の解釈が異なり、演奏に個性が出やすいのが特徴です。

    ピアノソナタK332の構成と特徴

    このソナタは3つの楽章からなり、それぞれに異なる魅力を持っています。
    第1楽章は明るく快活な性格を持ち、第2楽章では穏やかで優雅な雰囲気が漂います。
    最後の第3楽章は、技巧的で生き生きとした華やかなフィナーレが特徴的です。

    それぞれの楽章について見てみましょう。

    第1楽章

    出典:wikipedia

    Allegro(アレグロ)

    軽やかでエネルギッシュな楽章です。右手の流れるようなメロディと左手のリズミカルな伴奏が特徴的で、ウィーン古典派の典型的なスタイルを示しています。

    展開部では短調の劇的な展開があり、モーツァルトの作曲技法の巧みさが感じられます。

    アレグロ・・・速く

    出典:YouTube

    第2楽章

    出典:wikipedia

    Adagio(アダージョ)

    この楽章は、しっとりとした歌うような旋律が特徴です。流れるような装飾音が加えられ、ロマンティックな雰囲気を持っています。演奏においては、フレーズの繋ぎ方やペダルの使い方が重要になり、より表情豊かな解釈が求められます。

    アダージョ・・・ゆっくりと

    出典:YouTube

    第3楽章

    出典:wikipedia

    Allegro assai(アレグロ・アッサイ)

    活気に満ちた、技術的にも難易度の高い楽章です。右手の細かいパッセージや急速な動きが要求され、スリリングなフィナーレとなっています。モーツァルトらしい軽快さとユーモアが詰まった楽章であり、フィナーレにふさわしい華やかさがあります。

    アレグロ・アッサイ・・・十分に速く

    出典:YouTube

    ピアノソナタK332の難易度や演奏のポイント

    ピアノソナタK-332の難易度は中級程度

    K.332は、中級程度の難易度を持つピアノソナタです。
    具体的には、ツェルニー30番が弾けるレベルであれば取り組めますが、より滑らかで完成度の高い演奏を目指すならツェルニー40番程度のテクニックがあると良いでしょう。
    全楽章を通して演奏すると約20分程度あるので、演奏体力も必要となる作品です。

    ちなみに、中級程度は全音ピアノピースで「C」〜「D」難易度程度です。

    ですが、これはあくまでも技術的な話です。
    表現力やフレージング、自分を表現する難しさとはまったく別ものなのでご注意ください。

    演奏のポイント

    第1楽章では、右手の流れるようなフレーズをなめらかに演奏することが求められます。
    細かいニュアンスをつけることで、よりモーツァルトらしい軽やかさを表現できます。

    第2楽章では、テンポの揺れやペダルの使い方が重要になります。
    旋律の歌い方を意識しながら、しっとりとした雰囲気を作りましょう。

    第3楽章では、細かいパッセージの正確さが問われます。
    速いテンポでもクリアな音を保ち、勢いのあるフィナーレを演出しましょう。

    ピアノソナタK332のおすすめ演奏3選

    伝統的な演奏から現代の演奏家まで、3人のピアニストの演奏を紹介します。
    それぞれの個性がよくわかると思うので、きっと参考になりますよ!

    1. アルフレッド・ブレンデル

    端正で洗練されたモーツァルト演奏が特徴。装飾音やフレージングの明確さが際立つ。

    出典:YouTube

    2. マリア・ジョアン・ピリス

    柔らかく繊細なタッチで、表情豊かな演奏が魅力。
    特に第2楽章の美しさは鳥肌ものです。

    出典:YouTube

    3. 藤田真央

    現代のピアニストの中でもモーツァルト演奏に定評あり。軽やかで流れるような演奏が特徴的。

    出典:YouTube

    「1曲だけ欲しいのにな・・・」という方にもおすすめ

    ピアノソナタK332の楽譜3選

    さまざまな出版社の楽譜がありますので、ご自身にあった楽譜で練習してみてください。

    1.モーツァルト: ピアノ・ソナタ集 第2巻/ヘンレ社/原典版

    楽譜が見やすく、運指も的確。
    ちょっとお値段高めですが、ずっと使える教科書です。

    2.ウィーン原典版(227) モーツァルト ピアノソナタ集2 新訂版 (ウィーン原典版)

    巻末にヴァイオリンソナタのピアノ編曲版がついているのも嬉しいところ。

    3.モーツァルト集2 (世界音楽全集ピアノ篇) 

    筆者はこの版で練習していました。
    紙が真っ白で見やすいです。

    ピアノソナタK332の解説・難易度:まとめ

    モーツァルトのピアノソナタK.332は、華やかさと深みを兼ね備えた名曲です。演奏の難易度は中級程度ですが、各楽章の特徴をしっかり理解し、表現力を高めることでより魅力的に演奏することができます。
    ぜひ、おすすめの演奏を参考に自分に合った解釈を見つけてみてください。

    こちらでも、モーツァルトのピアノソナタを解説しています。

    ピアノソナタ16番

    参考:日本モーツァルト協会(外部リンクです)