ようやく、ホルスト記事3本目に到達しました💧。
今回は色々とやることが重なり完成までに時間がかかってしまった・・・。
という言い訳は置いといて、いよいよホルストを最も代表する作品、組曲「惑星」について解説します。
「解説読むのめんどくさいわ!」という方も大勢いらっしゃると思いますので、そのような方はyoutube動画だけでも見てください!。
なかでも「木星」は特に有名なので、「知ってる!!」となるハズです。
ホルストの生涯や他の作品を聴きたい方はこちらで紹介していますので、併せてご一読ください。
組曲「惑星」について
組曲「惑星」は1914年から1916年にかけて作曲された、近現代の管弦楽を代表する作品です。
当初は「7つの管弦楽曲」というタイトルで作曲されており、これはアルノルト・シェーンベルクの「5つの管弦楽曲」にヒントを得たと言われています。
元々はピアノ・デュオやオルガン曲として作曲され、のちにこれらを含んだ大規模な管弦楽曲として改訂されました。
作品を聴いていただくとわかる通り、かなり派手で色彩豊かなオーケストレーションが特徴です。
これはイギリス音楽からの影響というより、ストラヴィンスキーといったロシア人作曲家の影響によるものと考えられています。
1918年、非公式ではあるものの、ロンドンのクイーンズ・ホールにて初演され、2年後の1920年に正式に初演されました。
当時としては斬新なオーケストレーションに聴衆は驚き、初演は大成功を収めました。
しかしこの評判に対して、ホルストは「他の作品がことごとく影に隠れてしまう」と不満を漏らしていたそうです。
占星術がヒントとなった作品
タイトルにある通り、組曲「惑星」は占星術にインスピレーションを受けて作曲され、地球と冥王星を除く7つの作品で構成されています。
組曲に肝心の地球が含まれて理由は、「西洋占星術」の守護星に地球が含まれていないためだそうです(諸説あり)。
また、火星と水星が逆になっている理由は、占星術における黄道12宮の最初の正座である牡羊座の支配星が「火星」であるためと言われています。
各作品に標題とそれに対応するローマ神話の神が対応しており、それぞれには次の標題が付されています。()内はローマ神話に登場する神の名です。
- 火星・・・戦いをもたらす者(マース)
- 金星・・・平穏をもたらす者(ヴィーナス)
- 水星・・・翼のある使者(メルクリウス)
- 木星・・・喜びをもたらす者(ジュピター)
- 土星・・・老いをもたらす者(サタン)
- 天王星・・・魔術師(ウラヌス)
- 海王星・・・神秘家(ネプチューン)
次に各曲について簡単に解説します。
全7惑星について解説!!
それぞれのパートごとに解説します。全曲通しで聴くと50分程ある長い作品なので、「そんなに聴いてられない!!」という方は、部分ごとに聴くことをオススメします。
火星、「戦いをもたらす者」(マース)
5拍子がとても印象的な作品です。なんだか「スター・ウォーズ」的な雰囲気が漂っていますが、もしかしたらジョン・ウィリアムズはこの作品をモチーフに作曲したのかもしれません。
タイトルからも連想されるように、全作品の中でもっとも激しい構成となっています。
不安を掻き立てる作風について、「第1次世界大戦による人々の不安を表現している」と言われることがありますが、これについてホルストは完全に否定しています。
弦楽器の弓の背で弦を叩く、コルレーニョ奏法が効果的に使用されているのも特徴です。
金星、「平穏をもたらす者」(ヴィーナス)
冒頭の「火星」の雰囲気から一変、穏やかで静けさに満ちた作風が特徴的です。
宇宙的静けさ、あるいは「宇宙に流れる音楽」を連想させます。
中間部のヴァイオリンやチェロによるソロパートがとても印象的です。
水星、「翼のある使者」(メルクリウス)
わずか296節からなる、組曲中最も短いパートです。
「翼ある使者」のタイトル通り、飛び跳ねている姿が目に浮かびます。
スケルツォ風の曲で、このパートについてホルストは「心の象徴」と表現したそうです。
木星、「喜びをもたらす者」(ジュピター)
「惑星」の中でもっとも有名なパートです。中間部のメロディーには歌詞が付けられ、イングランドの愛国歌「我は汝に誓う、我祖国よ」にも編曲されています。
比較的大きな3部形式で、ハ長調→変ホ長調→ロ長調と次々と楽想が変化するのが特徴です。
ホルスト自身も「木星」に愛着があったと言われています。
土星、「老いをもたらす者」(サタン)
組曲中でもっとも長い作品です。「老いをもたらす者」のタイトルにある通り、「老い」に対する争い難さが表現されています。
しかし作曲者のホルストは「土星」が1番のお気に入りだったそうです。
ゆっくりと「時を刻む」様が見事に表現されています。
天王星、「魔術師」(ウラノス)
冒頭のファンファーレが魔術師の呪文のように聴こえる独創的な作品です。
迫力のある印象的な4音(G, Es, A, H)は、ホルストの名前(Gustav Holst)を表しており、
曲中に何度も登場します。
また、主に6拍子で構成された本楽章は、フランスの作曲家ポール・デュカスの「魔法使いの弟子」に影響を受けて作曲されたと言われています。
海王星、「神秘家」(ネプチューン)
とても神秘的な楽章です。終始低音で展開するこの楽章では女性合唱が加えられ、遥か彼方の雰囲気が醸し出されます(女性合唱は4:10〜)。
女性合唱に歌詞は無く、消えるようにフェードアウトし、長い「惑星」の旅がここで終焉となります。
冥王星がないのはなぜ?
この作品に「冥王星」が含まれていないことに気づいた方も多いと思います。
というのも、ホルストが「惑星」を作曲した当時「冥王星」はまだ発見されておらず、作品には加えられませんでした。
1930年に「冥王星」が発見されると、ホルストは8曲目として加えるため作品に着手しましたが、1934年、完成を待たずにホルストがこの世を去ったため、未完なりました。
ホルストの死後、「冥王星、再生する者」を加える試みがなされ、2000年に初演されましたが、2006年に冥王星が準惑星に新定義されたため、組曲に「冥王星」が必要かどうかは現在も謎です。
帝王カラヤンの影響で再び人気に
発表当時大ヒットしたものの、組曲「惑星」はホルストの死とともに忘れ去られてしまいます。
しかしそんな過去の名作に光を当てたのが、指揮者の帝王ヘルベルト・フォン・カラヤンでした。
1961年、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏会で紹介したことがきっかけとなり、再び「惑星」は注目を集めるようになります。それと同時にカラヤン指揮によるレコードも大ヒットとなり、組曲「惑星」は今日の地位を獲得するに至りました。
カラヤン指揮の「惑星」がこちら↓。すごい迫力です。
まとめ
結構あいだが空いてしまいましたが、これにてグスターヴ・ホルストの記事は終わりです。
今回も少し急いで書いたので、誤字脱字は後日修正します🙏。
これらの記事が、少しでも皆さんの人生を豊かにすることを願いつつ、少しずつ積み重ねていければな〜と思う次第です。
さて、次回は筆者がもっとも好きな作曲家の一人、フランツ・リストを紹介しますので、お楽しみに!!