サティ・シリーズ3本目。今回は「ジムノペディ」「ヴェクサシノン」の解説です。
前回・前々回の記事をまだ読んでいない方は、コチラ👇も併せてお読みください!!
ジムノペディについて
まずは動画を聴いてみてください。タイトルを知っている人は少ないかもしれませんが、きっと「これ聴いたことある!!!」ってなると思います。
ゆったりとしたメロディが美しく、作業用BGMなんかにもまとめられてます。
実は3番まであるジムノペディ
ジムノペディは1888年に作曲されたピアノ曲です。ゆったりとしたテンポと、
シンプルなメロディで有名ですが、ジムノペディは3番まで作曲されています。
2番・3番ともに緩やかなメロディで構成され、
それぞれの作品にサティによる指示が添えられています。その指示とは以下のようなものです。
ジムノペディ1番・・・「ゆっくりと苦しみをもって」
2番・・・「ゆっくりと悲しみをこめて」
3番・・・「ゆっくりと厳粛に」
有名な一番の指示に「苦しみをもって」という指示がされているのが意外ですね。
この作品を作曲した頃のサティは、「退屈だ」と言ってパリ高等音楽院を退学した時期であり、新しい作曲様式に果敢に挑戦し始めた時期でもあります。
ジムノペディってどういう意味?
さて、そもそも「ジムノペディ」とはどういう意味なのか気になりますよね?
調べてみたところ、「ジムノペディ」とは、古代ギリシヤの神々を讃えるお祭り「ギュムノパイディア」に由来するそうです。
そして、サティはこの祭りの様子を描いた「壺」からインスピレーションを受けて作曲したと言われています。
お祭りからインスピレーションを受けた割には穏やかな曲調だと思いますが・・・。
他の説では、サティがこよなく愛した作家フローベールの『サランボー』から影響を受けて作曲したとも言われています。
楽器・楽曲編成について
「ジムノペディ」は基本的にピアノで演奏されますが、
友人ドビュッシーによる管弦楽版もあります。それがコチラ👇。
お気づきの方もいるかもしれませんが、ドビュッシーは1番と3番しか編曲しませんでした。
それについて「なぜ2番を編曲しなかったのか?」と問われたドビュッシーは「第2番まで編曲して聞かせるには少し退屈だから」と答えたそうです。
ヴェクサシオンについて
「ヴェクサシオン」という作品名を聴いたことのある方は、かなりのクラシック通です。
たま〜〜にテレビなどで取り上げられることもあるので、知っている方も多いかもしれません。
👆が「ヴェクサシオン」です(1時間バージョン)。
タイトルの意味は「嫌がらせ」
ヴェクサシオンは、1895年ごろに作曲されたピアノ曲です。ヴェクサシオンとはフランス語で「嫌がらせ」や「自尊心を傷つけるもの」などの意味があります。
タイトルについて「?」と思われた方もいると思いますが、その直感は正解です。
実はこの「ヴェクサシオン」、ギネス・ワールド・レコードにより「世界一長い作品」に認定されており、その演奏時間は18時間〜25時間と言われています。
どういうことかというと、「52拍からなる1分程度の曲を840回演奏する」という鬼のような作品です。
実際作曲したサティ自身も「このモチーフを連続して840回繰り返し演奏するためにはあらかじめ心の準備が必要だろう もっとも深い沈黙と真剣な不動性の姿勢によって」と楽譜に記しています。
楽器・楽曲編成について
ジムノペディには管弦楽版がありましたが 、ヴェクサシオンにはもちろんありません。
1分程度のピアノ曲で、一人で弾くのはほとんど不可能。
なので、数人で交代で演奏するのが一般的なようです。
しかし近年ではホルン、トランペット、チェロ、ハーモニカなどのコラボとして演奏されることもあるそうです。
初演について
ヴェクサシオンは1963年9月9日、ニューヨークのポケット・シアターにて、ジョンケージ他数名の演奏家で初演されました。この時は10人のピアニストと2人のアシスタントで演奏されたようで、夕方18時から演奏開始となり、840回に達成したのは翌日の午後12時40分だったと言われています。
また、4年後の1967年にはイギリスのリチャード・トープという人物が、24時間かけて単独演奏に初成功しています。
「ジムノペディ」まとめ
いかがでしたか?
今回はサティの名作「ジムノペディ」と迷作?の「ヴェクサシオン」について解説しました。
ヴェクサシオンは弾くことは難しいですが、ジムノペディは初心者の方でも比較的簡単に演奏できる作品ですので、ピアノを弾いてみたい方にはうってつけだと思います。
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