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バッハ『無伴奏チェロ組曲第1番』の聴きどころと名演奏家!楽曲解説とおすすめCD紹介【無料楽譜あり】

バッハシリーズ第4弾。
今回は不朽の名作『無伴奏チェロ組曲第1番』を紹介します。

前回解説した『G線上のアリア』と同様、一度は聴いたことがある作品だと思います。
記事後半では【無料楽譜】サイトも紹介していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

前回の記事をまだ読まれていない方はコチラか、もしくは☟からどうぞ。

出典:Amazon「ニュー・ベスト・バッハ100」

バッハ『無伴奏チェロ組曲第1番』の解説

バッハの『無伴奏チェロ組曲第1番』にはどんな歴史があるのでしょうか。
この作品も、バッハの死後は忘れ去られていました。

実は、再びこの作品が注目を集めたのは、20世紀に入ってからです

『無伴奏チェロ組曲第1番』の楽曲や作品背景

『無伴奏チェロ組曲第1番は』は、バッハが作曲した、ただ一つのチェロ独奏用の組曲です。
全部で6つの組曲が作曲されており、第1番の「プレリュード」はとくに親しまれています。

普段クラシック音楽を聴かない方でも、きっと一度は耳にしたことがあるでしょう。

6曲のくわしい作曲年代はわかっていませんが、その多くは、バッハがケーテン滞在中(1717-1723)に作曲されたものであると考えられています。

バッハの生涯についてはコチラから

それぞれの作品が前奏曲から始められており、『無伴奏チェロ組曲第1番』の構成は次のとおりです。

前奏曲(プレリュード)
1、アルマンド(フランス語で「ドイツ風」という意味)
  バロック音楽用いられる早いテンポの曲
2、クーラント
  3分の4拍子、軽快で跳ねるようなリズムが特徴
3、サラバンド
  バロック音楽で演奏されるダンスの一種。悲しげな旋律や重々しいテーマが多い
4、メヌエット
  3分の4拍子で、優雅なリズムや軽快さがある
5、ジーグ
  6分の8拍子や12分の8拍子。陽気なリズムや明るい曲調
  アイルランドの民族舞曲が起源とされる

パブロ・カザルスによって再発見される

上述のとおりバッハの死後、この作品は長い間忘れられていました。
しかし、失われた名曲はある一人の少年によって蘇ります。

ある日、父親と新たな楽譜を探しに楽器店に赴いたときのこと。
少年は一つの古い楽譜を手に取ります。
作品のメロディーと奥深さに感動した少年は、楽譜を購入し、以降毎日のように練習に励みます。少年の練習量は凄まじく、13年間毎日のように練習したと伝えられています。

そして成長した少年は、世界中にこの美しい音楽を届けることになるのでした。

この少年こそが、人類最高のチェリストと言われるパブロ・カザルスです。
もしカザルスがこの楽譜を発見していなければ、私たちがこの作品を聴くことがなかったかもしれません。

また、この作品を最初に全曲録音したのもカザルスです。

『無伴奏チェロ組曲第1番』の名演奏家たち

本作は数々の演奏家によって名演が残されました。
その中から、今回はおすすめ演奏家4人の演奏を紹介します。
前回と同様「完成や解釈の違い」に注意して聴いてみてください。

ヨーヨー・マ

一人目は現代を代表するチェリスト・ヨーヨーマの演奏です。
1955年にフランスのパリで生まれ。
4歳からチェロを習い始め、幼少期から天才少年として注目を集めます。
8歳でレナード・バーンスタインが主催するコンサートでアメリカデビュー。

その後、クラシックから現代音楽まで幅広いジャンルを手掛けています。
近年では、アストロ・ピアソラの演奏でも大きな話題となった人物です。

ミシャ・マイスキー

ミシャ(ミーシャ)・マイスキーは、ラトビア(旧ソビエト)に生まれた、現代をもっとも代表するチェリストです。彼の先生はあのロストロポーヴィチ

ヴァイオリニストのギドン・クレーメルやピアニストのマルタ・アルゲリッチによる室内楽演奏でも有名です。

ヨーヨー・マの演奏と比べていかがでしょうか?
テンポも少し早めで、快活な印象を受ける方も多いと思います。

J.S.バッハ: 無伴奏チェロ組曲

ピエール・フルニエ

3人目は20世紀のフランスを代表するチェリスト、ピエール・フルニエです。
幼少の頃はピアノを習っていたフルニエですが、小児麻痺により右足が不自由になりチェロに転向しました。

重厚感と繊細が、絶妙なバランスで両立した演奏が特徴的です。
エコール・ノルマル音楽院で教鞭をとり、日本人の女性と結婚したことでも知られています。

バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲) ピエール・フルニエ(1959年ライヴ)

パブロ・カザルス

前回の『G線上アリア』解説でも登場したチェリストです。
間違いなく、20世紀最高のチェリストと言えるでしょう。
少し録音は古いですが、カザルスの魂の祈りのような演奏をぜひ聴いてみてください。

カザルスはこの組曲(6曲)を13年間、毎日練習したと言われています。

おすすめのCD録音

youtubeでの演奏も素晴らしいですが、実際に高音質で聴いてみたい方もいるのではないでしょうか。

人により好みが分かれるので、「これがおすすめ!」とは一概に言えませんが、
名盤と言われるものを3つ紹介します。

バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲) ピエール・フルニエ(1959年ライヴ)

ピエール・フルニエによる録音です。
チェロの貴公子」と言われた彼の演奏が存分に楽しめます。

バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲)

イタリア出身のチェリスト、エンリコ・マイナルディの演奏です。
ゆっくりとした重厚感があり、一つの音を丁寧に積み重ねる構成が特徴。

バッハ:無伴奏チェロ組曲

そして最後はパブロ・カザルスの録音。
やはり頂点ですね!

『無伴奏チェロ組曲第1番』の無料楽譜は?

チェロを始めたばかりの方にとって、バッハ『無伴奏チェロ組曲』は憧れの曲だと思います。
まだまだ先のことだとはわかっていても、楽譜は見てみたいと思うのではないでしょうか。

現在では、著作権の切れた楽譜を取り扱うサイト(海外サイト)があるので、機会があれば楽譜を見るのも、良い勉強になると思います。

IMSLP

こちらのサイトに行き日本語を選択
検索窓に調べたい作品を入れると、ダウンロード画面へ。
「寄付のお願い」が出ますが、ここはとりあえずおいといて・・・。
15秒ほどすると画面上部にリンクが出ますので、そこから楽譜一覧ページに飛べます。

カザルス版の楽譜もある

より本格的に取り組みたい方には、カザルス版の楽譜もあります。
本作に対するカザルスの解釈を知りたい方にオススメです。

バッハ《無伴奏チェロ組曲》カザルス解釈版 ルドルフフォントーベル編 チェロとバッハを愛する全ての人へ

まとめ

今回はバッハ作『無伴奏チェロ組曲第1番』について解説しました。
ざっくり解説ですが、なんとな〜く知ってもらえれば嬉しいです。
ちょっと(いやかなり)時間がかかったシリーズですが、
これを機会に、ぜひバッハの他の作品に触れてみてはいかがでしょうか。

代表曲についてはコチラでも書いていますので、
ぜひ参考にしてくださいね!

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