この記事では、グスタフ・マーラーのおすすめ代表曲や、
作品の特徴・魅力をサクッと解説します。
マーラーという名前を聞いても、いまいちピンとこない来ない方もいるかもしれません。
そんな方は、こちらも併せてお読みいただくと、
より理解が深まりますので、ぜひご参照ください。
19世紀の後期ロマン派を代表するマーラー。
その大胆なオーケストレーションは20世紀のクラシック音楽に、
大きな影響をもたらしました。
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グスタフ・マーラーのおすすめ代表曲7選
![オーケストラ](https://seven-knives.online/wp-content/uploads/2022/06/music-619256_640.jpg)
指揮者・作曲家として多忙な日々を送ったマーラーですが、
交響曲や歌曲のジャンルにおいて優れた作品を残しました。
壮大なオーケストラ編成や交響曲に歌曲を取り入れるという、
まったく新しいジャンルを確立したことが、マーラーの功績と言えるでしょう。
それでは、おすすめ代表曲を紹介します。
マーラーの代表曲その1、交響曲第1番「巨人」
1884年から1888年にかけて作曲された、
マーラー最初の交響曲です。
「巨人」のタイトルでも知られ、マーラーの交響曲の中でも最も演奏機会が多い作品として愛されています。
発表当初は「交響詩」として発表されましたが、
1896年の改訂を機に交響曲として完成しました。
1889年11月にマーラー自らが初演を指揮したものの、
初演時の評判はイマイチだったそうです。
余談ですが、副題の「巨人」とは、
ドイツの作家ジャン・パウルの同名の小説に由来しています。
マーラーの代表曲その2、交響曲第2番「復活」
2曲目は、交響曲第2番「復活」です。
注目して欲しいのは、
壮大なオーケストラ!!
こうした大胆な構成がマーラー作品の魅力でもあります。
交響曲第1番と同じく、「復活」という副題が付けられていますが、
こちらはマーラー自身によるものではなく、
第5楽章で歌われる詩のタイトルから取られています。
1888年から1894年にかけて作曲され、
1895年に全曲初演が行われました。
初演を行う際にかなり資金がかかったようで、
資金繰りのため、マーラー自身も借金して演奏されたそうです。
その甲斐もあり、初演は大成功を収めています。
全体で90分ほどの大作ですが、
一度は聴いておきたい名曲です。
代表曲その3、交響曲第5番
マーラーの中期を代表する傑作です。
もし一度もマーラーの作品を聴いたことがない方は、
本作から聴いてみるのがよいかもしれません。
「難解にして、長すぎる!」と評されることが多いマーラーの作品ですが、
本作は、わかりやすく親しみやすいメロディーが特徴です。
全5楽章で構成されており、
第4楽章の「アダージェット」は、
ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画『ベニスに死す』で用いられており、
マーラーを代表する作品として広く知られています。
ちなみに、「アダージェット」は、愛する妻アルマへの愛の証として作曲されたそうですよ。「アダージェット」をだけを聴いてみたい方は↓から。
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代表曲その4、大地の歌
マーラーが1908年に作曲した「声楽入りの」交響曲です。
全6楽章からなり、「テノールとアルトとオーケストラのための交響曲」という副題が付けられています。
歌詞には中国の李白(りはく)などの詩が採用されています。
そのため、西洋音楽が東洋的死生観と初めて交わった歴史的作品でもあります。
「生は暗く、死もまた暗い」という歌詞が有名です。
また、タイトルの「大地」とは、アメリカの作家パール・バックの『大地』から取られてたとする説が有力とのこと。
1911年に弟子のブルーノ・ワルター指揮により初演が行われました。
しかし残念ながら、マーラーはこの時すでにこの世を去っていたため、演奏を聴くことはできませんでした。
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代表曲その5、ピアノ四重奏曲「断章」
交響曲ばかりだとお腹いっぱいになってしまいそうなので、
室内楽からも1曲紹介します。
ピアノ四重奏曲「断章」は、マーラーが学生時代に作曲した作品の中でも、
唯一現存している作品です。
マーラーは主に交響曲や歌曲の作曲に取り組んでいたため、
本作は貴重な室内楽とも言えるでしょう。
曲を聴いていただくとわかりますが、
なんと言っても完成度が高い!!
でもこの作品、作曲科の試験で提出するために作曲した作品とのこと。
しかも作曲したのは16歳らしいです。
そんな話を知ると、なんだか若かりしマーラーのエネルギッシュさを感じるような・・・。
副題の「断章」とは、完成された楽章がたった1つしかないことに由来しています。
演奏時間は10分程度です。
代表曲その6、さすらう若者の歌
マーラーは交響曲のほか、優れた歌曲作曲家でもありました。
本作は、そんなマーラーを代表する作品です。
統一的なテーマで作曲された最初の連作歌曲集で、
声楽とピアノのために作曲されています。
マーラーが持つ、内面的な精神性が存分に発揮された名曲です。
全4曲で構成されており、それぞれのタイトルは以下の通りです。
- 恋人の婚礼の時
- 朝の野を歩けば
- 僕の胸の中には燃える剣が
- 恋人の青い目
通しでの演奏時間は15分程度と短いため、
マーラーの歌曲を聴いてみたい方にうってつけだと思います。
代表曲その7、亡き子をしのぶ歌
おすすめ代表曲の最後も、マーラーの歌曲から。
『さすらう若者の歌』と同じく、本作も5曲からなる連作歌曲です。
異なる点といえば、こちらは声楽とオーケストラのために書かれた作品であること。
そのため、『さすらう若者の歌』よりも規模の大きな作品となっています。
フリードリヒ・リュっケルトの同名の詩から歌詞が採用されており、
こちらもマーラーのロマン派的作風や雰囲気が存分に楽しめます。
1901年から1904年にかけて作曲されましたが、
完成から4年後に最愛の娘マリアを失うという悲劇がマーラーを襲いました。
5つの作品は以下の通りです。
グスタフ・マーラーの作品の魅力や特徴について
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筆者の独断と偏見によるおすすめ作品を紹介しました。
クラシック音楽ファンの方にとっては、大いに異論があるかと思いますが、
その辺は温かい目でご容赦ください。
さて、大胆な構成を試みたマーラーですが、彼の作品の魅力や特徴はどんなところにあるのでしょうか。以下ではそれぞれについて簡単にサクッと紹介します。
作品の魅力と特徴その1、 感情の深み
マーラーの音楽は、内面に激しい感情を抱えた人間としての生活経験から生まれたものです。
実際に、マーラーは兄弟の半数を失い、幼くして深い悲しみを経験しています。
その一方で、18歳も歳の離れた美しい妻アルマを伴侶としたことは、マーラーの人生にこの上ない幸福をもたらしました。
そのため、彼の交響曲や歌曲には喜び、悲しみ、絶望、希望、愛、怒り、といった豊かな感情表現で溢れており、聴衆はその感情の深みに引き込まれます。
特に、『第2交響曲「復活」』のフィナーレは、感情の高揚と共感を呼び起こす傑作として、
今もなお多くの聴衆に愛されています。
その2、大規模な楽曲構造
マーラーの交響曲は、その壮大で複雑な楽曲構造によっても知られています。
彼は異なる楽想やテーマを織り交ぜ、多層的な音楽的要素をつなぎ合わせ、
聴衆に深い洞察と感響を提供します。
それはまるで音楽の宇宙旅行のようであり、毎回新たな発見が待っているかのようです。
楽章の間にテーマ性が織りなされ、全体が統一感を持っていることが、彼の作品の特徴の1つと言えます。
また、当時ではあまり使用されなかったカウベルや鞭、マンドリン、鉄琴などを用いたのも、
マーラー作品の大きな特徴です。
その3、自然と人間の共鳴
マーラーの音楽を聴いていると、自然と人間が対話しているように感じるのは筆者だけでしょうか。マーラーの交響曲の中には鳥のさえずり、風のそよぎ、山々の壮大さが音楽的に表現されており、自然と人間の共鳴が美しく描かれています。
またマーラーの音楽は、その感情の深み、楽曲構造の複雑さ、そして自然と人間の共鳴によって、作品を愛する人に感動的で意義深い体験を提供します。
日々の感情に向き合う機会を与えてくれたり、
ときには、哲学的な問いかけを考えるきっかけになるのも、
マーラーの作品の魅力かもしれません。
グスタフ・マーラーのおすすめ代表曲まとめ
今回はマーラーのおすすめ代表曲と、作品の魅力や特徴について解説しました。
初めて聴く方にとっては、なかなか難しい作品も多いと思います(長いし)。
しかしマーラーが生み出した作品には、人間の内面性や繊細さ、あるいは苦悩など、さまざまな側面が反映されおり、
聴く人の心に刺さる魅力が感じられます。
この記事を機会に、ぜひマーラーの作品に触れてみてはいかがでしょうか。